幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Dec 8, 2015
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カテゴリ: シェフの雑記帳

 まずは、もう20年余り続く土曜日の午後の伝統のワイン会。

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 北海道厚岸産生牡蠣と同じく北海道噴火湾産の北寄貝。牡蠣は剥いて、ゲランドのフルール・ド・セルをパラりと振り、北寄貝は生きたものを剥いてはらわたを掃除してからごく軽く湯ぶりして氷水にとったものにオリーヴオイルをかけて、ゲランドの塩をわきに添えました。ワインはシャンパーニュ、ブラン・ド・ブラン(シャルドネ100%)のグランクリュ、ファルニエ・ヴァニエール。貝の海の香りとシャルドネは間違いない組み合わせ。そこにゲランドの塩のミネラル分が加わるとさらにマリアージュが良くなる。塩分の少ない汽水域の厚岸の牡蠣と湯ぶりした後もまだ生きていて動くようなごく新鮮な北寄貝じゃないと成立しない料理。

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 自家製塩鱈のブランダード仕立て。これもシャンパーニュで。ワインに合わせるためにオリーヴオイルは控えめにして、普通は入れないバターを仕上げに入れることでシャルドネと響きあう料理になります。

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 奥が自家製のエゾ鹿のスモークハム、左手前が宮崎産のイノシシの皮無しソーセージとりんごのモスタルダ、右が自家製イノシシのパンチェッタを軽くあぶったもの。これには、珍しいボージョレのロゼ泡、ベル・ビュール(美しい泡という名のワイン)ガメイィ種100%で瓶内2次発酵をさせたシャンパーニュ方式のちゃんとした泡です。黒葡萄ですから力強さもあり、ほんの少し甘みがあってこういうジビエの加工肉にもよく合いました。ソーセージに添えたモスタルダは甘酸っぱいリンゴのコンポートにピリッとマスタードをきかせたもので、北イタリアの人がハムやパテやジビエ料理などに添えて食べるものなんですが、日本ではあまり手に入らないので私が作りました。甘いリンゴにマスタードなんて変な気がしますが、合わせてみると意外に美味いんですよ!

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 エゾ鹿モモ肉のタリアータ仕立てです。ワインはボージョレ・ヌーヴォー、ジャン・モルテ。今年のヌーヴォーは結構濃いです。しかも、フランスではボージョレトップの作り手といわれるモルテのワインは、こういうさっぱり仕立てた鹿肉なら全然負けてません。バルサミコソースとガーリックオイルとパルミジャーノチーズのパウダーを散らしてあります。

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 宮崎産イノシシの肩ロースのローストとフォアグラのソテーにブルーベリーとフランボワーズのグランヴヌールソースです。これには、ボージョレ・ヴィラージュ・ヌーヴォー、キュベ・ア・ランシェンヌ、ラ・プティット・メゾン・オートです。この料理なら普通はローヌの重たいシラーなどをもってくるんですが、このボージョレに合わせるために肉はごく丁寧に柔らかく焼き上げて、ソースも果実味を重視してあまり重くならないようにすれば、このワインで行けます。要は濃度のバランスの問題です。1000年も続く畑の古木からとれた特別キュベのヌーヴォーはかなりパワーがありましたよ!

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 デザートはゆずの皮と自家製ゆずチェッロを入れた特性生チョコと自家製ゆずチェッロ。甘くて薫り高いゆずの皮のリキュールがゆずの香りのチョコレートにドンピシャですよ!甘いチョコを食べて甘いリキュールを飲むと不思議なことに甘さがさっぱりとしてあとにゆずの香りとチョコの香りだけが心地よく残るんです。そして、またチョコを一口、リキュールを一口とスパイラルが、、、

 最後にさかもとこーひーでゆっくり食後を楽しんでいただきました。

 今年最後の〆のワイン会も楽しく和やかでした。

 日曜日には、20年以上お付き合いさせていただいているお客様のワインで、

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 なんと!1961年のシャトー・ラトゥール・ア・ポムロールかつてロバート・パーカーが90点くらいつけていました。ボルドーの1961年は20世紀でも最高のヴィンテージといわれています。御年54歳のワイン、私は55歳です。ちなみに私の生まれた1960年は20世紀で最低のヴィンテージです。天候が悪くろくにワインができませんでした。良い悪い以前にワインができなかった年です。さらに参考までに1959年も61年に並ぶくらいのビッグヴィンテージです。最高!最低!最高!!と続いたわけなんですね。

 開けてみると、熟成したワイン独特の森の奥の湿った黒土やマッシュルームや少しトリュフも香り、なめし皮や墨汁やインクを思わせるニュアンス、そんな中にもフレッシュではありませんが干したプルーンやドライフラワーなどのややこもりながらも華やかな香りもあって、素晴らしかった。味わってみるとタンニンはもうすっかり滑らかになり、酸味も上品で柔らかく非常にバランスもよかったです。久しぶりにボルドー右岸の偉大な古酒を味合わせていただきました。

 お料理は、プレクリスマスコースと同じマンガリッツァ豚のローストにフォアグラを添えてフランス産マッシュルームのソースでした。マリアージュばっちりです!

 もう1本、

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 シャトー・ラフォリー・ペラゲ1986年。ソーテルヌの貴腐ワインです。これも良かった!完璧な熟成感で健全そのもの。アプリコット、ピーチ、蜂蜜、アカシアの花、少しユリの花、レーズンやプルーンの風味も、、、。味わってみると、甘みの陰で結構しっかりした酸味がありそのおかげでとても引き締まった飲み飽きしない好ましいバランス。私が飲んだソーテルヌの中でもトップクラスに美味しかったですね!

 〆にゆずチョコとゆずチェッロで楽しんでいただきました。






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Last updated  Dec 8, 2015 09:07:25 PM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
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