幕張本郷の小さなフレンチレストラン   サンク・オ・ピエのオーナーシェフ、中村雅信の日記ページ

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Aug 5, 2016
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カテゴリ: シェフの雑記帳





 サン・ヴェラン2013、ジャン・マルク・モネです。サン・ヴェランはマコンとボージョレの境目あたりで、プイィ・フイッセと道を隔てて隣の地区です。この作り手のジャン・マルク・モネは、本当に小さなメーカーで、赤ワインは大樽3つ白はこのサン・ヴェランを大樽1つだけしか作っていません。サン・ヴェランはわずか1300本(年産)で、三ツ星レストランのジョルジュ・ブランと相川さんのグループで分け合っているそうです。そんな小さなメーカーですから、資金もなく畑のブドウの植え替えができないため、今だに古い小粒のシャルドネ品種を使っていることで、逆に差別化できる独特の味わいのワインができます。とてもミネラル感があり、樽を強調していないので妙な甘みもなくすっきりした味わいで鶏のコンソメの旨味や香ばしさをうまく引き立ててくれます。まずワインを一口、その余韻でスープを一口と繰り返し、最後にトマトのピクルスを食べて残りのワインを飲み干すという感じで合わせていただきたいですね!



 Cote de cochon de ≪ SUINO DI NERO NEBRODI ≫ fume et Chorizo IBERICO BELLOTA domiracion avec Ratatouille et Legumes a ma jardin シシリア島の黒い豚“シーノ・ネロ・ディ・ネブローディ”の自家製ハムと 最高級チョリソ・イベリコ・ベジョータ、ラタトゥイユなど自家菜園の野菜料理色々添えです。
 ほとんど、野生のシチリア豚の自家製スモークハムは、イノシシ並みに赤身が強くてみためはワイルドですが、意外にきれいな味わいです。特にくせのないさっぱりした脂は魅力ですね!イベリコチョリソはピメントン(スペイン産パプリカ)が効いていて熟成感と旨味が素晴らしい!ラタトゥイユ、自家製セミドライトマトのマリネ、焼きなすのマリネ、焼きピーマンのマリネなど添えてあります。この皿には、、、



 【シャトー・バ】コトー・ディクサン・プロヴァンス ピエール・デュ・シュッド ロゼ 2012です。南仏プロヴァンスのロゼワイン、グルナッシュ、サンソー、シラーで仕込まれた辛口ロゼです。ハムやサラミ、南仏風野菜料理には完璧なマリアージュですね!言うことなし!




Foie gras chaud avec puree de pommes de terre Parfume sel truffee フォアグラのソテー、自家菜園のジャガイモのピュレ添え トリュフソルトの香りです。この時期、サマートリュフも出ているのですが、キロ当たり3万以上する割にはたいした香りもなく結局こういったトリュフソルトやトリュフオイルなどで香りを補強しないと使えないんです。





 【ドメーヌ・ド・ラ・プローズ】コトー・ドゥ・ラングドック カディエール ルージュ 2011です。フランスのフォアグラの一大生産地であるラングドック地方のワインですね。普段サンク・オ・ピエではフォアグラに合わせて甘口や半甘口の白ワインをお勧めすることが多いのですが、これは赤ワインで、しかも甘口ではありません。ラングドック地方は、フォアグラの生産地であり、さらにトリュフも良く採れる地域です。現地ではフォアグラをたくさん焼いてメインディッシュで食べるときにこういうタイプの赤ワインを飲みます。グルナッシュ主体のこのワインは、濃厚なのに渋くなく、果実味があるのにフルーティー過ぎず、樽の香りと合わせてそこはかとなくトリュフ的なニュアンスもあり、この皿にベストマッチです!



 Collier de Boeuf de KUMAMOTO AKAUSHI Braisee au tomate avec Risotte aux courgettes leger
熊本赤牛のトマト煮込み、さっぱりしたズッキーニのリゾット添え、メインディッシュです。熊本赤牛のネックを白ワインとトマトで煮込みました。肉は噛む必要がないくらいトロトロです。仕上げにうちの庭の朝取りのハーブ(タイム、ローズマリー、マジョラム)を散らして華やかな香りも楽しんでいただきます。添えたズッキーニのリゾットはバターやチーズを控えてやや軽めの味わい、ズッキーニは、、、



 こんなチーズ用のおろし金を使って、ラぺ(せん切り)にしてたっぷり入ってます。このおろし金は、ほかにもニンジンやキュウリや大根などサラダやなますや浅漬けなどにするのに便利です。包丁で切ったものと違い断面に独特の粗さがあるので塩や調味料が浸み込みやすいです。アマゾンで¥800くらいで買えますけど、結構重宝してます。さて、メインのワインは2種類、、、



 【ドメーヌ・ド・ラ・ペリエール】サンセール ルージュ 2011です。フランス一の大河ロワールの一番上流の地域でロワール渓谷といった風情です。サンセールというと主にソーヴィニヨンブラン種の辛口白ワインが有名ですが、少しだけピノノワール種の赤ワインも作られています。ブルゴーニュ最北のシャブリに近く、共通した石灰質の土壌があるためブルゴーニュのピノと違って引き締まった酸と完熟前の木苺ややはり少しわかめのサクランボの香りがあって、とても上品なワインです。その引き締まった酸がトマト煮の酸味と良くマッチします。もう1本は、、、



 【エルバルーナ】バルベーラ・ダルバ ラ・ロジーナ 2010です。トマト煮込みにリゾット添えというイタリアンな乗りの料理ですから、トマトソースに相性が良いバルベーラ種のワインです。濃厚ながら渋みがなく、やはりきれいな酸がトマトによく合います。とても葡萄らしい滑らかな果実味とほんの少し感じる獣的ニュアンスも魅力です。
 サンセールは、上品系マリアージュ、バルベーラは、カジュアル系マリアージュでしょうか?どちらも美味しいですよ!




Creme brulee aux peche jaune Financier aux noisettes roti Sorbet aux raisins sauvage
黄桃入りのクレーム・ブリュレ、ロースト・ヘーゼルナッツ入りフィナンシェ、山形産山ブドウのソルベ、デザートですね。これにはもちろん、、



 さかもとこーひーの8月9月のコース専用ブレンド!これが、とくにクレーム・ブリュレとフィナンシェにとてもよく合って試食していて、うちのマダムとヘラヘラしてしまいました。クレーム・ブリュレはバニラを利かせた生地自体はやや甘さを抑えめで、しっかりカソナード(フランスのブラウンシュガー)をまぶしてしっかりと焦がします。黄色い桃が入っていて美味いですよ!山ぶどうのソルベは、野生種だけに酸味が特徴で葡萄らしい香りも効いてます。フィナンシェは、しっかり焼きこんだヘーゼルナッツを砕いて少し塩をして使ってあります。反則級の美味しさです。これにこーひーがまた何んとも上品なマリアージュです。もちろん、デザート用のワインも、、、






 面白いのが、このデザートに合わせてさかもさんが作ってくれたこーひーとこのデザートに合わせて相川さんが選んだワインが、デザートを挟んでワインとこーひーがマリアージュしてしまうという現象ですね。二人の専門家が同じものに合わせるワインとこーひーを選ぶと、そのワインとこーひー自体も合ってしまうんですね。当然と言えば当然なのかもしれませんが、よくよく考えると、ワインとこーひーが合う、少なくとも喧嘩しないし心地よく同居するというのは稀有なことだと思います。

 昨夜が8月9月のコースの初日で、夜のお客様は全員このコースでした。みなさん、完食!お料理もワインも好評でした!ありがとうございます。







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Last updated  Aug 5, 2016 03:04:27 PM


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madame-H@ キッシュに入れてます。 相かわらず、手間のかかるスープを楽しん…
ゆり777 @ こんにちは。 美味しそうですね~。 チキンがジュージ…
おかめ@ Re:食べる姿(10/31) なるほど!私も無粋な行為をしていた一人…
mermerada @ はじめまして! エスカルゴは好きで、メニューに有ると頼…
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