南仏風の魚のスープなんです。ブイヤベースのスープですね。私が作るものは本場マルセイユのものとはだいぶ違います。本場のものはpoissons de rocheポワソン・ド・ロッシュというんですが、岩陰の小魚というような意味なんですが、取れたての新鮮な小魚をウロコやエラや内臓ごと炒めて出汁をとるんです、当然内臓ごとですからかなりワイルドな味わいになります。はっきり言って結構魚臭い感じです。作ったスープをムーランmoulinという回転式の濾し器で魚をつぶしながら濾すので、スープは少しドロッとしていて魚のそぼろが入っているような感じです。そのため、かなりニンニクを利かせるし、パスティスというアニスのリキュールを利かしたり、フェンネルという香りの強いハーブも利かせます。薬味として、アイオリというニンニクマヨネーズのようなソース(それも半分おろしニンニクみたいな強烈なやつです)をたっぷり入れて食べるんですね。昔のラルース料理辞典という古い本には、「マルセイユではアイオリソースをたっぷり食すため、人々の吐く息が臭くてテーブルにハエも寄り付かない。」というような記述があったそうな、、。まあ、音楽でいうとfffフォルテが3つも4つもつくくらいの料理なんですね。臭いものを臭いものでねじ伏せるというワイルドな漁師料理なんです。荒ぶる漁師魂ですね。実はこのタイプのものは私は苦手です。それで、全く違う作り方をします。