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「キャメロットを覆う影」のデザイナー、Bruno CathalaとSerge Lagetのペアによる新作。Serge Lagetが単独で作った「マレ・ノストルム」の交易・建設フェイズを抜き出し、イベントと特殊カードで味付けしたゲームと思ってもらえば、まあ間違いはない。
プレイヤーは16世紀スペインの富豪となる。大航海時代なので、当然プレイヤーもさらなる富を求めて海外進出を図る。毎ラウンド得られる資源を他プレイヤーと交換して、それを使ってさまざまな能力を得られる発展カードを取ったり、収入を得たりする。
プレイエリアに発展カードが5枚(発展カード列)、資源カードが3枚(市場)置かれた状態でゲームを開始する。発展カード列の1番目のカードにイベントアイコンがあったら、そのイベントが発生する(1ラウンド目はアイコンを無視してイベントなしとする)。イベントは5種類あり、通常は1枚しか取れない発展カードを複数取れるようになる「国王の援助」以外の4つはすべてプレイヤーに悪影響を及ぼす。特に収入が大きく減る「原住民」、狙った発展カードを取りづらくなる「嵐」の2つは凶悪なので注意したい。
イベントを確認したら、各プレイヤーに5枚ずつ資源カードを配る。これがそのラウンドの基本資源となる。そのあと、発展カードの「キャラベル船」を持っているプレイヤーがいる場合、その総数に等しい資源カードを山からめくって場に表向ける。たとえば3人が「キャラベル船」を1、2、3枚持っている場合、6枚の資源カードを表向ける。これは船団が遠い異国から持ち帰った資源だ。各プレイヤーはこれを、自分が持っている「キャラベル船」の数だけ取ることができる。枚数が多いほどいいに決まっているが、問題は取る順番だ。「キャラベル船」カードにはそれぞれ番号が振られている。持っている「キャラベル船」の数値を合計したものを艦隊値と呼び、この艦隊値が小さいプレイヤーから順に、必要な枚数の資源カードをすべて(1枚ずつではなく)取る。小船団ほど小回りがきくということだろうw 船団が大きいほど(つまり「キャラベル船」カードが多いほど)多くの資源カードが得られるが、取る順番は最後になるので、不要なカードが残りがちだ。このゲームではラウンド終了時に余った資源カードは(「倉庫」がない限り)すべて捨て札にしなければならないので、むやみに船団を大きくするのも考えものだ。
こうして資源カードを得たら、前ラウンドの交易長が交易する資源カードの枚数を決める(2~4枚)。全プレイヤーは指示された枚数を手札から選び、同時に公開する。各カードには1~10の価値が定められており、出したカードの価値合計が一番大きいプレイヤーが新たな交易長となる。交易長が他プレイヤーからカードを取って交易を開始する。カードを取られたらそのプレイヤーの手番となり、また他プレイヤーからカードを取る。こうして資源カードを交換していくのだが、取ったカードをそのまま手札にすることもできるし、取ったカードを「市場」に置いて、「市場」から別のカードを取ることもできる。ここが「マレ・ノストルム」とは大きく違うところ。
交易が終わったら発展する。同種の資源カードセットを出すと、列に並んでいる発展カードを取ることができる。安い資源を少ししか出さないと列の1番目にあるカードしか取れず、選択肢が少なくなる。高価な資源を出したり、安い資源でも大量に出したりすれば少しずつ選択肢が増え、列のどのカードでも選べるようになったりする。
すべて異なる資源カードセットを出したら、その枚数に応じてダブロンが得られる。もちろん枚数が多いほどたくさん収入が得られる。このお金はゲーム中で使うことはできず、単なる勝利点だが、だからこそいつかは獲得しなければならない(当たり前だw)。
この時点で余ったカードはすべて捨て札だが、「倉庫」を持っていればその分だけ次ラウンドに持ち越せる。「キャラベル船」と違って手札が余らなければ役に立たないが、1ラウンドしゃがめば狙ったカードを持ち越せるとも言える。両方バランスよく持つのがよさそうだ。これを繰り返し、ラウンド終了時に誰かが75ダブロン持っているか、10種類の資源カードを手札に持っているかしたらそのプレイヤーの勝ち(プレイヤーの状態によってゲームが終わるので、当然引き分け判定は細かく設定されている)。発展カードの山が尽き、利用可能なカードの枚数が足りなくなってもゲームは終了し、この場合は一番多くのダブロンを持っているプレイヤーが勝つ。
「マレ・ノストルム」の一部を抽出してゲームに仕上げてるので、当然「マレ・ノストルム」よりはずっと軽い。しかし毎ラウンドの状況を少し変化させるイベント、交易に別の選択肢をもたらす「市場」、揃えたカードの価値と枚数によって取れるカードが制限される「発展カード列」など、1つのゲームとして成立させるための追加要素がどれも機能しており、濃厚なプレイが充分に楽しめる出来となっている。軽く遊べるが、戦略ゲームをプレイしたという満足感が得られる良ゲー。
強いて言えば、「マレ・ノストルム」では支配地域によって獲得できる資源が決まったが、こちらは山札から引くので完全にランダム。その点がちょっと気になるか。先日のプレイでは、いつものように私はダメダメで交易が全然上手くいかず、ちっともダブロンを稼げなかったが、カードを8枚引けるようになったラウンドにいきなり8種のカードが揃った。前ターンから「倉庫」にため込んでいたインカの秘宝カード(同種セットを作るときにワイルドとして使えたりするので人気が高い)2枚のうち1枚を交易に出し、不足していたもう1種類を楽々確保してカード10種による勝利条件達成という流れになった。まあこんなことは稀だろうから、実際には運の要素が強すぎということもないだろうが、運の要素が強すぎと“感じる”人はいるかもしれない。
資源カードを多く手に入れ、交易の効率を上げるために、当然序盤は発展カードの獲得に注力しなければならない。そこからいつ勝利点(ダブロン)の獲得にシフトするか。あるいは10種全揃えの勝利条件を目指すのか。その判断が的確かどうかが勝敗を分けるだろう。「七不思議」方式で人数に応じて発展カードの枚数が変化するので、何人でも楽しめそうだし、3人なら慣れれば1ゲーム1時間もかからない。カードゲームなので箱も比較的コンパクト。フランスのゲームの例に漏れず、アートワークは超美麗と来たら、こいつはもうマストバイだ!
BGGの和訳ルール
国内では ゲームフィールド
で販売されている。
ゲームフィールド:ムンドゥスノーヴス - 新世界(Mundus Novus)
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