今日もプレイミス

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2016.01.09
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カテゴリ: ボードゲーム

 いろんなゲームの翻訳を担当させていただいているご縁で、ホビージャパンの中の人から「『メガシヴィライゼーション』やろうと思うんですけどどうですかね? フルメンバーで」とお声をかけていただいたので、ほいほいと参加してきた。さすがに18人は集まらず、12人でのプレイとなったが、それでも貴重な体験だった。何しろホビージャパンの重役陣の他、 日本での「マジック・ザ・ギャザリング」普及の立役者 漫画家 TRPGデザイナー ボードゲームデザイナー アイドル とそうそうたるメンバーである。末席に加えていただいた市井の民にできることは、部屋の片隅で12時間小さくなってることだけだったw

●メガシヴィライゼーション
20160109メガシヴィライゼーション1.JPG

 詳しくはこちら↓
[SPIEL’15]総重量10kg越えの超大作「MEGA CIVILIZATION」はいかにして生み出されたのか。ゲームデザイナーに聞く,その狙いと手応え

 ↑の記事でも触れられているが、このゲームは1991年にアバロンヒルから出た「アドバンスド・シヴィライゼーション(以下「アドシブ」)のリメイクだ(リンク先では1980年発売の「シヴィライゼーション」を元にしているとあるが、「アドシブ」の要素も含まれている)。このゲームは当時画期的な内容で、今でもファンが多いが、想定プレイ時間が10~12時間ともともと長い上、終盤に足の引っ張り合いが発生して冗長になるという欠点があった(この欠点を持つマルチゲームは多いけどね)。8年の歳月をかけ、細かいバランス調整を行ったり、この欠点を解消したりして、18人までプレイできるようにしたのがこの「メガシヴィライゼーション」ということになる。

 私も「アドシブ」は大好きで、結構やったことがある……20年以上前になw さすがに何も思い出せなかったので、 こちら のサイトでルールを読んでみた。

 で、マップのつながりとか、人口上限とか、各種文明カードの効果とかの細部の変更を除くと、大きな違いはたぶん2つ。1つは勝利点。ゲーム終了条件は「誰かが年表上で最後のマスに到達したとき」で変わらないが、「アドシブ」では年表上の1マスごとに100点。文明カードの点数はそのコストに等しい(45点~250点)。終了トリガーを引いたことによるボーナスはなし。このため、たとえ年表上で1マス遅れていても、最安カード2枚ちょっと差でしかなかった。いけてる文明カードを充分に持っていれば余裕で勝つことができ、このため終了トリガーを自分で引く理由はそんなになかった。

 これが「メガシヴィライゼーション」では大きく変わる。得点が大きく切り下げられ、年表上の1マスごとに5点。なんと1/20だw そして年表の最後のマスに単独で到達し、終了トリガーを引いた場合にはボーナスの5点が与えられる。文明カードの方はおおざっぱなコスト別に3段階に分けられ、コスト100未満のものは1点、100~199のものは3点、200以上のものは6点となった。この場合、誰かが単独で終了トリガーを引くと、2位との差は年表上で少なくとも10点になる。これはもうとんでもない差だ。何しろ最高得点カードを余分に2枚持ってないと追いつかないんだからw このため、ゲームを自分で終わらせるモチベーションが極めて高くなっており、多少は早く終わるようデザインされてる……のだろう。少なくとも基本ゲームでは。上級ゲームだと、そもそも「1点カードを11枚以上、かつカードの総得点56点以上」という条件を満たさないと最後の年表マスに進めないので、最低でも19枚の文明カードを取る必要があるから(所持数上限はなくなった)、むしろ長くなってるかもしれんw

 もう1つの大きな変更点は、文明カードの枚数と構成。まず枚数は、24種類から51種類へと倍以上に増えた。そして構成。1点、3点、6点カードが3枚1組となってグループを作ってはいるが、前提条件という概念がなくなった。たとえば“三種の神器”の1つである「農業」(あと2つは「貨幣」と「建築」)を得るためには、「アドシブ」では大して役に立たない「窯業」を必ず取らなければならなかったが、「メガシヴィライゼーション」ではいきなり「農業」を取れるようになった。もちろん、それは簡単なことではないし、カテゴリーごとの値引きや特定のカードへの値引き(「窯業」があれば「農業」のコストが10減る、など)はあるので、順番に取った方がトータルコストは安くなるのだが、終盤に高得点カードを直接取れるようになったのは大きいだろう。

20160109メガシヴィライゼーション2.jpg
 文明カードの種類とつながりはこんな感じ。わざわざ言うまでもないが、自分の担当国の特色や、戦略にあったカードを適切なタイミングで獲得するのが重要だ。


 さて、この日のプレイだが、おおざっぱな流れはこちらの Togetter にまとめられている。全体的な見所はここを見ればほぼすべて分かるので、以下は私が担当したエジプトの動きについて、簡単に記すだけにとどめる。

 確か国を選んだ順番は3番目くらいだったかな。記憶に残ってないとはいえ、一応「アドシブ」経験者だったし、隅っこの国でおとなしくしておくつもりだったが、1番手と2番手が普通にいい国押さえていくので、私も大人げなくエジプトをゲットw まあマルチゲーだしね! 担当国選びからすでにゲームは始まってるわけだし、仕方ないねw

 その後の数ターンはセットアップみたいなもの。このゲーム、人口がおよそ倍々に増えていくのだが、最初は1ユニットしかないので、序盤はただ空き地に広がって人口を1、2、4、8……としていくしかないのだ。で、普通は32までいっぱいいっぱいにひろがりきったところで(総ユニット数が55なので、これ以上は効率が悪い)一気に都市を造り、そこからまた広がっていく(そしてようやく都市から交易品を得て取引を始める)のがセオリーだ。ところが、これをすっかり忘れ(忘れててもすぐ気づきそうなものだが……)、ユニットが8になったところでいきなり都市を1つ造ってしまい、早速伸び悩むことに。たいていのマルチならいきなりここで脱落だが、幸いにも他プレイヤーの半数弱が同じ過ちを犯したため、それほど大事にはならなかった。

 エジプトは土地が肥沃で極めて有利なのだが、なにぶんナイル川周辺地域は災害の「洪水」に弱い。この災害が交易品4の山にあり、都市を4つ造るまでに対策する(文明カードの「工学」を取る)のは極めて困難だと思われたので、しばらくナイル川沿岸は放置して北上し、アッシリアの南側1/3くらいをいただくことにした。なぜかこれがアッシリアにとがめられることはなかったため(たぶんバビロンやヒッタイトの相手で手一杯だったのだろう)、最後まで都市建設用地には困らなかった。

 問題はエジプトの南東にいるヌビアで、シバ王国側ではなくエジプト側へとぬるぬる広がってきた。放っておくとナイル川まで来そうだったので、慌ててとって返すこととなった。この問題のシーンが こちら (アカウントの方はペルシャ担当)。「ナイル来たんですか?」じゃねーよ、ナイルは神話の昔からエジプトのものって決まってんだよw

 こうしてナイル川最上流の1エリアを奪われてしまったが、実はエジプトがらみで多少なりともドラマチックな展開があったのはここまで。あとは植物のように穏やかな発展を続けることになった。まず、私自身がほとんど災害のターゲットにならなかった。自分で交易不可の災害を引くこともなければ、よそから回ってきた災害を処分し損なうこともなかった。対して、南で国境を接しているカルタゴとヌビアはかなりひどい目に遭ってた。ヌビアは頑張って領土を広げては災害で削られを繰り返し、ついにエジプトの本拠に届くことはなかったし、カルタゴは主としてローマと戦っていたため、エジプトーカルタゴ間の土地は最終盤まで空き地だったw

 全員で致命的なルールミスを犯していたのも、エジプトが安泰だった理由の1つだろう。「他プレイヤーの都市を攻め落としたら、相手から交易品カードをランダムで1枚奪い、さらに国庫を3増やす」というのをすっかり忘れてたw これがなきゃ、他プレイヤーの都市を攻める意味がほとんどないしなー。エジプトは1エリアあたりの人口上限が高いこともあり、見た目にあまり広がってないので目立たないというのもよかったね。まあ中盤以降は「工学」があったので、攻めて来にくいのは確かだったが、たぶんこの文明カードの能力に気づいてた他プレイヤーはいないと思われるw

 うまく発展していたのはヒッタイトとシバ。当然目をつけられてはいたが、ヒッタイトは軍事系カードを取って備えは万全。シバは「農業」の力で少々の災害のダメージはすぐ回復してたし、ペルシャ・バビロン側は土地が痩せてて攻めるうまみが(「農業」を持ってない他国にとっては)あまりなく、ヌビアはエジプト方面に広がってたため、どちらもあまりひどい目には遭わなかったようだ。前述のルールミスもあり、このままこの2国がワンツーフィニッシュ。エジプトは善戦したつもりだったが、途中で年表上の進行に引っかかり、交易もあまりうまくできずにカードを買えなかったため3位。エジプトで3位とか、「ディプロマシー」にたとえるなら「オーストリア担当で負けた? 勝つまで帰ってくんな」ってレベルだよw シバは国境接してなかったから仕方ないにしても、ヒッタイトにはもう少し積極的に攻め込むべきだったな。反省。

20160109メガシヴィライゼーション3.JPG
 最終盤面(エジプト周辺のみ)。最後の最後、9都市持ってたのは自分だけだったので、金がかぶってくれればもう1枚カードを買って詰め寄ることができたが、それでもトップにはなれなかった。その上引いたのは「海賊」で、交易での処分にも失敗して被害を自分で受けることになり、首都に海賊旗がたなびくこととなったw


 休憩を2回挟んで12時間、実プレイ10時間といったところで、さすがに疲れたが、プレイする価値のあるゲーム体験だった。「もう1回やろう」といわれたら、ぜひ参加したいところだ……が、この記事を読んでる人の中には買うかどうか迷ってる人もいるだろう。そんな人にはぜひこう言いたい。「やめとけ」とw

 値段、物理的重量、プレイ時間、プレイ人数、必要なプレイエリア……どれを取ってもまっとうな人間が簡単に越えられるハードルじゃないw 特にプレイ時間とプレイエリアは大きな問題となるだろう。マップを広げるだけで畳1畳分は必要だ。一般家庭やちょっとしたゲームショップ程度では、まずこれが不可能だw そのうえ、10人以上の人間がうろうろするスペースに、カードやユニットを置くスペースもいる。これらを10時間以上に渡って置きっぱなしにしなけりゃならないんだから、もうどこかの旅館で合宿でもするしかないw

 プレイ自体も、確かに「十数人でマルチゲームをプレイする」というのは楽しいが、「エクリプス」9人プレイでも感じたように、大味になるのは否めない。交易で誰にどの災害を渡すべきか、誰がどの品物を集めてるのかを把握するのはほぼ不可能だ。そもそも、国境が接してなくて地理的に絡みようがない国もあるしなw マルチゲームとしての神髄を存分に味わいたいなら、やはり適正人数の7人程度までが限度だろう。そしてそれなら、多少プレミア価格でも「アドシブ」買った方が安いw

 それでも。数々の困難を乗り越えられる手段と強い意志があるなら、一度は大人数でのプレイに挑戦してみて欲しい。きっと他では得られない何かがあるはずだ。






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Last updated  2016.01.20 14:13:26コメント(0) | コメントを書く


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