《櫻井ジャーナル》

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2011.10.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 サウジアラビアの駐米大使をイランの特殊部隊が暗殺しようとしたとアメリカ司法省は主張、バラク・オバマ政権は世界に対して 「反イラン」で団結 サウジアラビアが報復を宣言 、民主化運動に対する暴力的な弾圧が問題になっている湾岸独裁産油国の バーレーン 、あるいは イギリス政府 もイランを批判している。

 しかし、起訴が発表された直後からアメリカ側のストーリーに対する疑問が相次いでいる。直接的な証拠がないうえにシナリオが不自然だとなれば、当然のことであり、こうした指摘が出てこない方が不思議だ。例えば、 ガーディアン紙 は疑問点を列挙、 クリスチャン・サイエンス・モニター誌 は捜査当局の筋書きに疑問を呈している。

 米司法省のシナリオはリスクとメリットのバランスがとれていないうえ、麻薬業者という「暗殺の素人」に仕事を依頼するのも説得力に欠ける。イランの特殊部隊に限らず、暗殺のような工作は何らかの組織や人物を介在させ、失敗したときに自分たちが指弾されないように細心の注意を払うものだ。



 イスラエル国防軍の情報機関ERD(対外関係局)に所属、機密情報に触れる立場にいたアリ・ベンメナシェによると、実行グループを動かすまでに何段階かの手順を踏んでいる。

 アキレ・ラウロ号をハイジャックしたグループを指揮していたのはアブル・アッバスという人物だが、この人物に資金と命令を出していたのはシチリア島のドンを装ったイスラエルの情報機関員。アッバスはマハメド・ラディ・アブドゥラなる人物のコネクションに含まれていたのだが、このラディはイスラエルのコントロール下にあった。

 ラディは元々ヨルダンの軍人。1970年の内戦でヨルダン軍が約5000名のパレスチナ人兵士を虐殺したことに反発して国を離れ、イギリスへ移住している。そこで一緒にビジネスをはじめた相手がアンソニー・ピアソン。このピアソンはイギリスの特殊部隊SASの元将校で、イスラエルに情報を提供していた。

 一方、ラディは武器をアブ・ニダルなど武装勢力へ売っていたのだが、そうした取り引きで得た情報をピアソンはモサド(イスラエルの情報機関)へ伝え、その情報に基づいてイスラエルはパレスチナ人を殺している。その結果、「ラディはイスラエルに協力している」という話が広まり、信用を失ったラディの生活は破綻する。そうした窮状を利用してイスラエルはラディを支配下に置いていたのである。

 イランの特殊部隊「コドス」が暗殺工作を実行するにしても、それなりの手順を踏むと考えるのが自然であり、実際にそうしたことが行われていると言われている。

FBIの文書 を見ると、イラン系アメリカ人のマンソール・アルバブシアとコドスの隊員だというゴラム・シャクリはメキシコの麻薬業者でDEA(麻薬取締局)の協力者であるCS-1と接触して暗殺を依頼、そしてシャクリの許可を得た上でアルバブシアは約10万ドルをアメリカのある銀行口座に送金したという。

 なお、このCS-1は麻薬に絡んで起訴されていた人物だが、当局へ協力することの見返りとして起訴は取り下げられ、情報提供者として雇われている。こうした経歴から信頼性に欠けるとも指摘されている。

 今後、この事件がどのように展開するかは不明だが、「羊頭狗肉」と言うことになる可能性は小さくない。事件の実態が明らかになる前にイランを攻撃したならば、アメリカの崩壊を早めることになるだけだ。





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最終更新日  2011.10.14 03:38:03


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