《櫻井ジャーナル》

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2015.07.03
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カテゴリ: カテゴリ未分類
【国民投票】



 7月5日に実施すると発表した国民投票は賛成と反対が拮抗しているようで、緊縮財政の強化に反対する意見が多ければ、ギリシャ政府はトロイカとの「交渉」に使うつもりかもしれない。が、譲歩する意思のない相手には無駄なこと。「交渉」を続けるということは、ギリシャ政府がトロイカに恫喝の場を与えるだけだ。ユーロ圏に留まれば、ギリシャは奈落の底へと落ちていくだけのことであり、同じ道をイタリアやスペインだけでなく、EU、そして西側全域が追いかけることになる。TPP/TTIP/TISAは庶民を地獄へ送り込む仕掛けだ。ギリシャ国民を地獄から救い出すために政府がなすべきことはユーロ圏からの離脱、アメリカ支配層との決別だろう。

 IMFの見通しによると、GDP(国内総生産)は2010年に−4.0%、11年は−2.6%と減少するが、12年には+1.1%へ好転、13年は+2.1%になるはずだったが、実際には−4.9%、−7.1%、−7.0%、−4.2%と下がり続けた。この間、27%の下落ということになる。このように経済状況が悪くなれば当然だが、雇用環境も悪化した。IMFは失業率を11.8%、14.6%、14.8%、14.3%と予測していたが、実際は12.6%、17.7%、24.3%、27.3%。国民が怒るのは当然だ。

 ギリシャ国民のトロイカに対する怒りは限界に近づいている。国民投票は怒りの「ガス抜き」になるという見方もあるが、緊縮財政を拒否する国民の意思が明白になった場合、それを無視すると混乱に拍車をかけることになる。国民の意思、いわゆる民意を封印したいトロイカとしては、国民投票を実施させたくないだろう。日本人とは違って反骨精神のあるギリシャ国民の意思は国際金融資本にとっても怖い存在だ。

【NATOの秘密部隊】

 しかし、アメリカの支配層は西ヨーロッパを支配する暴力装置を持っている。第2次世界大戦後、アメリカは軍事力でソ連を包囲する一方、西ヨーロッパでは巨大資本のカネ儲けに邪魔な存在を抹殺する仕組みとして「NATOの秘密部隊」を組織した。例えば、イタリアのグラディオは1960年代から1980年代にかけて「極左」を装って破壊活動を続け、左翼勢力にダメージを与えると同時に治安体制を強化している。「緊張戦略」だ。

 NATO加盟国である以上、ギリシャにも秘密部隊は存在、その中心は特殊部隊のLOKだ。ギリシャでは1967年5月に選挙が予定され、アメリカの支配層は左翼勢力の勝利を恐れていた。軍事クーデターがあったのは4月で、1974年まで軍事体制が続く。そのクーデターにLOKも参加していた。LOKだけでなくギリシャの軍部は全体としてCIAと緊密な関係にある。

 アメリカとイギリスの電子情報機関、NSAとGCHQはUKUSAなる連合体を組織、アングロサクソン系のカナダ、オーストラリア、ニュージーランドの機関も参加している。この連合体はNSAとGCHQの命令で動く組織で、各国政府はコントロールできない。つまり「国家内国家」なのだが、「NATOの秘密部隊」も同じ。やはりアメリカとイギリスの破壊活動部門が指揮している。

 この秘密部隊の歴史は第2次世界大戦までさかのぼることができる。1941年からドイツ軍はソ連への軍事侵攻(バルバロッサ作戦)を開始するが、1942年から43年まで続いたスターリングラードの攻防戦でドイツ軍は壊滅、ソ連軍が反撃に転じる。それまで傍観していた米英は慌てて動き始め、1944年の初夏にノルマンディー上陸作戦を実行しているが、同じ頃、アメリカとイギリスの破壊工作機関、つまりSOとSOEはフランスでゲリラ戦を展開するために部隊を編成している。これがジェドバラ。ヨーロッパでドイツ軍と戦っていたレジスタンスはコミュニストの影響が強く、その対策だったという見方がある。

 ジェドバラ人脈はCIAの破壊工作部門を作り、特殊部隊へも流れていった。CIAと特殊部隊の関係が深いのは、こうした歴史があるからだ。



 OASの一部は1962年にド・ゴール暗殺を試みて失敗、実行グループのリーダーだったジャン・マリー・バスチャン・チリー大佐は処刑された。暗殺未遂の4年後、フランスはSHAPE(欧州連合軍最高司令部)をパリから追放する。フランスがNATOへ完全復帰したのは、2009年、ニコラ・サルコジ大統領のときだ。

 OASへ資金を供給していた会社のひとつがパーミンデックス。1958年に設立された会社で、当時の社長兼会長はSOEに所属していたことがある。同社は1962年にイタリア政府から追放され、本部をヨハネスブルクへ移している。パーミンデックスの理事に含まれていたクレイ・ショーは、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺に絡んでジム・ギャリソン検事が起訴した人物だ。

【JFKの平和】

 1963年6月、暗殺される5カ月前にケネディ大統領はアメリカン大学の卒業式で「平和の戦略」と呼ばれる演説をしている。冷戦の最中、キューバ危機を話し合いで解決した大統領は「世界平和」について語ったのだ。

 その平和とは「アメリカの兵器によって世界に押しつけられる『パックス・アメリカーナ』ではありません。墓場の平和でも奴隷の平和でもありません。私は本当の平和、地上で生きるに値する人生を過ごせる平和、人と国が成長し、希望を持ち、子どもたちのためによりよい生活を築くための平和、単にアメリカ人のためでなく全人類のための平和、単にわれわれの時代だけではなく、全ての時代の平和」だった。ネオコン/イスラエル第一派をはじめとする好戦派とは正反対の主張だ。





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最終更新日  2015.07.03 19:37:20


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