《櫻井ジャーナル》

PR

キーワードサーチ

▼キーワード検索

カレンダー

サイド自由欄

寄付/カンパのお願い

巣鴨信用金庫
店番号:002(大塚支店)
預金種目:普通
口座番号:0002105
口座名:櫻井春彦

2015.07.27
XML
カテゴリ: カテゴリ未分類
 TPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)は「国境なき巨大資本」が国を支配する専制的な体制を作り上げる協定であり、その体制を全世界へ広げるため、その巨大資本は一種のカルト集団であるネオコン/シオニストと手を組み、軍事的な緊張を高めてきた。現在、巨大資本が広めようとしているのは原始的な資本主義で、一般に新自由主義と呼ばれ、フリードリッヒ・ハイエクやミルトン・フリードマンの「理論」に基づいている。この新自由主義は暴力と親和性が強い。

 1929年に株式相場が暴落した後、1930年代にハイエクは私的な投資を推進するべきだと主張し、政府が介入すべきだとするジョン・メイナード・ケインズと衝突した過去がある。ハイエクに学んだ学生の中にはデイビッド・ロックフェラーも含まれていた。

 1918年に第一次世界大戦が終わった後、アメリカは不景気になり、戦場から兵士が帰還してきたこともあって街は失業者で溢れ、ストライキやデモが続発した。1917年11月にロシアで「十月革命」(資本家/イギリスが主導権を握った「二月革命」とは区別する必要がある)が成功してボルシェビキ政権が誕生、アメリカの富豪/資本家は危機感を強めた。

 そうした中、1919年にマサチューセッツ州で現金輸送車の襲撃未遂事件があり、その容疑者としてアナーキストのニコラ・サッコとバルトロメオ・バンゼッティが逮捕されるが、これは労働運動にダメージを与えるために行われたもので、ふたりは冤罪だと信じられている。この時期、社会主義者は一斉に検挙されていた。

 その裏では富豪たちが紙幣を印刷する権利を手にしようと画策している。1910年11月22日に巨大金融機関の代表がジキル島クラブで秘密会議を開いたのが始まりで、13年12月23日に連邦準備法が成立、銀行家が紙幣を支配する連邦準備制度ができあがった。

 ケインズの理論を取り入れ、大企業の活動を規制、労働者の権利を認めたフランクリン・ルーズベルト大統領の政策を富豪/巨大資本は第2次世界大戦後、壊しにかかる。この富豪たちは1933年から34年にかけてルーズベルトを排除し、ファシズム政権を樹立させるためにクーデターを計画していた。これはスメドリー・バトラー海兵隊少将の議会証言で明らかにされている。

 そうした流れの中、1970年代半ばに宣伝されたのが新自由主義。1974年にハイエクが、76年にフリードマンがそれぞれノーベル経済学賞を受賞している。西側の支配層が「強者総取り」の新自由主義を推進すると宣言したように見える。

 この新自由主義が初めて実際の政策に使われたのはチリ。1973年9月11日にCIAを後ろ盾とするオーグスト・ピノチェトの軍事クーデターが成功、民主的に選ばれたサルバドール・アジェンデ大統領はクーデターで死亡し、後に設置される「チリ真実と和解委員会」によると、軍事政権の時代に殺されたり「行方不明」になった人は少なくとも2025名、一説によると約2万人が虐殺され、新自由主義の導入に反対するであろう勢力は壊滅状態になる。ピノチェトは議会を閉鎖、憲法の機能を停止、政党や労働組合を禁止、メディアを厳しく規制する。

 その一方、フリードマンの経済政策を採用、大企業/富裕層を優遇する政策を実施している。社会や福祉の基盤を私有化し、労働組合が弱く、低インフレーションで、私的な年金基金の、低賃金で輸出型の小さな国を目指した。1979年には健康管理から年金、教育まで、全てを私有化しようと試みている。その政策を実行したのはフリードマンの弟子たち、いわゆる「シカゴ・ボーイズ」だ。



 新自由主義の広まりに合わせたかのように、オフショア市場/タックス・ヘイブンはロンドンのシティを中心に張り巡らされている。そのネットワークはかつての大英帝国が中心。それに対抗してアメリカは1981年にIBF(インターナショナル・バンキング・ファシリティー)を開設、日本では1986年にJOM(ジャパン・オフショア市場)をオープンさせた。

 現在、西側では巨大資本という「私的権力が自分たちの民主的国家より強くなるまで強大化」し、民主主義は瀕死の状態。フランクリン・ルーズベルトの定義によると、西側はファシズム化しつつある。

 ちなみに、アメリカの独立宣言によると、すべての人間は平等につくられ、生存,自由そして幸福の追求を含む、侵すべからざる権利を持っている。政府がそうした権利を確実なものにしようとせず、相反することを始めた場合、また人民を絶対専制のもとに帰せしめようとする企図が明らかな場合、そのような政府をなげうち、自らの将来の安全を守る新たな備えをすることは人民にとっての権利だというだけでなく、義務。こうした覚悟がなければ、民主主義を守ることはできないのだろう。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2015.07.27 06:27:58


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Site
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: