《櫻井ジャーナル》

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2015.07.26
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 現在、西側の支配層は3つの協定、つまりTPP(環太平洋連携協定)、TTIP(環大西洋貿易投資協定)、TiSA(新サービス貿易協定)に関する協議を同時に、秘密裏に進めている。巨大資本間での対立はあるだろうが、「国境なき巨大資本」が国を支配、庶民から搾り取る仕組みを作っているということは間違いない。

 TPPとTTIPで最大の問題とされているのはISDS(投資家対国家の紛争解決)条項で、アメリカの巨大企業が「将来に期待された利益」を企業が実現できなかった場合、各国政府に対して賠償を請求できるようにする仕組み。つまり、企業活動や金融システムに対する規制、食糧の安全、環境汚染の防止、労働者の権利保護などを各国の政府や議会で決定しても、巨大資本が気に入らなければ損害賠償の対象になり、その決定は巨大資本とつながっている法律家が下す。協定参加国の政府、議会、裁判所は手足を縛られるわけで、例えば、安倍晋三政権の政策を選挙で覆すということは困難になる。

 TiSAは金融,電気通信,流通,運送,建設,教育,観光などが対象になるとされているが、大きな問題のひとつは、公共性の高いサービスの私有化。医療、福祉、水道、教育など人の生きる権利と深く結びついている分野を強欲な巨大資本が支配した場合、庶民はその権利を奪われることになる。

 社会を維持するためには必要だが、儲からないという仕事もある。日本を共同体と考えるなら、いわゆる僻地に住む人にも交通や通信の手段を提供しなければならないが、ビジネスと考えれば違ってくる。生物である人間は生きる上で安全な食糧、そして水が絶対に必要だが、それをカネ儲けの対象だと考えれば、命に関わる問題が生じる。ロマン・ポランスキーが監督した映画「チャイナタウン」(1974年公開)でもロサンゼルスで起こった事件の背景として私的に所有された水道の問題が描かれていた。

 かつてなら一揆や革命という形で体制を揺さぶることになっただろうが、そうした事態を押さえ込むため、洗脳、監視、反乱鎮圧といったシステムを支配層は強化、対策を講じてきた。1998年には欧州議会が「政治的管理技術の評価」というタイトルの報告書を出し、そうした問題を分析している。その中で、監視のターゲットは反体制派や人権擁護の活動家、ジャーナリスト、学生指導者、少数派、労働運動指導者、政敵が中心になるとしていたが、その通りだ。(Steve Wright, "An appraisal of technologies for political control," Europearn Parliament, 19 January 1998)

 TPP/TTIP/TiSAといった協定は国と国との関係を決めるものではなく、巨大資本や富裕層が圧倒的多数を占める庶民を支配する仕組みを作り上げるもの。アメリカで問題になるのも当然で、 協定の内容を国民へ示すべきだとする文書 をふたりの上院議員、シェロード・ブラウンとエリザベス・ウォーレンがバラク・オバマ大統領へ突きつけている。

 両議員によると、アメリカ政府が設置しているTPPに関する28の諮問委員会には566名の委員がいるが、そのうち480名、つまり85%が大手企業の重役か業界のロビイスト。交渉をしているのは大手企業の「元重役」。当然、交渉には業界や大手企業の意向が反映される。委員会の構成自体がTPPの本質を示している。勿論、TTIPやTiSAでも同じことが言える。

 こうした仕組みを世界全体へ広めるため、巨大資本はアメリカの軍隊や情報機関を使ってきた。NATOはアメリカが西ヨーロッパを支配する役割を持つ組織であり、日米安保にも日本を支配する仕組みという側面がある。安倍晋三政権が推進している集団的自衛権/安全保障関連法案は自衛隊をアメリカ軍、つまりアメリカの巨大資本の手先として使うためのもの。こうした巨大資本に従わないBRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)やSCO(上海協力機構/中国、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ウズベキスタン)などの国々と戦う手駒のひとつにするということだ。勿論、日本が担当させられるのは中国。

DPGの草案 (ウォルフォウィッツ・ドクトリン)。

 このドクトリンではアメリカを「唯一の超大国」と位置づけ、潜在的ライバル、つまり西ヨーロッパ、東アジア、旧ソ連圏、南西アジアを潰すという方針を示している。 ウォルフォウィッツは1991年にシリア、イラン、イラクを殲滅すると話していた とウェズリー・クラーク元欧州連合軍(現在のNATO作戦連合軍)最高司令官は話している。

 ソ連という国が消滅、いくつかの国々に解体されたが、その中心的な国はロシア。そのロシアで大統領を務めたボリス・エリツィンは西側の傀儡で、その娘は西側資本とも手を組んでロシアの富を略奪、巨万の富を築いている。ロシアはアメリカの属国になり、ネオコンは重点地域を東アジアへ移したのだが、このシナリオを狂わせたのがロシアのウラジミル・プーチン。エリツィンを排除し、ロシアを再独立化させ、今では中国との連携を強めてアメリカに対抗している。

 1970年代からアメリカは金融化を推進、国内の生産活動を衰退させてきた。替わって生産活動の中心になっているのがBRICSやSCO。TPP/TTIP/TiSAで巨大資本が支配する体制を作り上げても世界制覇は難しく、中国とロシアの体制を倒す必要がある。そこで軍事的な緊張を高めて圧力をかけ、アル・カイダ系武装集団、IS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)、ネオ・ナチなどを使って戦争を仕掛けているわけだ。





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最終更新日  2015.07.26 18:00:32


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