《櫻井ジャーナル》

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2015.08.13
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 安倍晋三政権は国会を無視して「安全保障関連法案」を成立させようとしている。日本を法治国家だとは考えていないわけで、その安倍政権が描く日程表に基づいて防衛省が部隊の編成計画など立てたとしても不思議ではない。

 この法案を成立させる目的は集団的自衛権の行使、つまり、アメリカの戦争マシーンに自衛隊を組み込むことにある。2000年にジョセフ・ナイとリチャード・アーミテージが作成した「米国と日本-成熟したパートナーシップに向けて(通称、アーミテージ報告)」が公表されたが、その中で日本に対して武力行使を伴った軍事的支援を求め、「日本が集団的自衛権を禁じていることが両国の同盟協力を制約している」と主張、「この禁止を解除すれば、より緊密かつ効果的な安保協力が見込まれる」としている。

 アメリカで大統領選挙があった2000年にはネオコン系シンクタンクのPNACが「米国防の再構築」という報告書を公表、東アジアの重要性を謳い、オスプレイの必要性も強調していた。この報告書の基になったのが 1992年にアメリカの国防総省で作成されたDPGの草案 、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」。

 アメリカを「唯一の超大国」と認識したネオコン/シオニストが中心になって書き上げられたもので、潜在的なライバルを潰して覇権を確たるものにしようとしている。潜在的なライバルには旧ソ連や中国だけでなくEUや日本も含まれる。さらに、地球規模に影響力を及ぼせる強国を生む出すのに十分な資源を抱える西南アジアも支配の対象だ。

 ネオコンが東アジア重視を打ち出した一因はロシアを属国化したという安心感があったはずだ。1991年の段階でネオコンの大物、 ポール・ウォルフォウィッツはイラク、イラン、シリアを殲滅すると語っていた が、2001年9月11日の出来事を受け、攻撃対象の国はイラク、イラン、シリア、リビア、レバノン、ソマリア、スーダンに広がった。その後、ロシアが再独立、ネオコンはウクライナでネオ・ナチ(ステファン・バンデラ派)を使ったクーデターを起こしてロシアを脅しにかかる。

 中東や北アフリカで使われたのがアル・カイダ。1997年から2001年までイギリスの外相を務めた ロビン・クック によると、アル・カイダとはCIAから訓練を受けた数千人におよぶ「ムジャヒディン」のコンピュータ・ファイル。アル・カイダはアラビア語で「ベース」を意味、「データベース」の訳としても使われている。この指摘をした次の月にクックは保養先のスコットランドで心臓発作に襲われ、急死した。享年59歳。



調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2007年3月5日付けニューヨーカー誌で、アメリカ、イスラエル、サウジアラビアの「三国同盟」がシリア、イラン、そしてレバノンのヒズボラに対する秘密工作を開始した書き 、その中心にはリチャード・チェイニー米副大統領、ネオコン/シオニストのエリオット・エイブラムズ国家安全保障問題担当次席補佐官、ザルメイ・ハリルザド、そしてバンダル・ビン・スルタンがいるとしている。

 この記事が出る前年、イラクで活動していたアル・カイダ系武装集団のAQIが中心になってISIが編成され、今ではIS(イラクとレバントのイスラム首長国。ISIS、ISIL、IEIL、ダーイシュとも表記)と呼ばれている。

 シリアに対する攻撃が始まった2011年3月以来、反シリア政府軍に拠点を提供してきたのはトルコ。同国にある米空軍インシルリク基地で反政府軍を編成、訓練してきたが、その教官はアメリカの情報機関員や特殊部隊員、イギリスとフランスの特殊部隊員。それ以降、現在に至るまでトルコは反シリア政府軍の拠点であり、ISへの兵站線はトルコ軍が守ってきた。

 ISが密輸している石油はレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領の息子が所有するBMZ社が扱い、ISの負傷兵はトルコの情報機関MITが治療に協力、秘密裏に治療が行われている病院はエルドアン大統領の娘が監督しているとされている。

 昨年10月2日、ジョー・バイデン米副大統領はハーバード大学でISとアメリカの「同盟国」との関係に触れ、ISの「問題を作り出したのは中東におけるアメリカの同盟国、すなわちトルコ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦だ」と述べ、その「同盟国」はシリアのバシャール・アル・アサド政権を倒すために多額の資金を供給、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領は多くの戦闘員がシリアへ越境攻撃することを許してISを強大化させたと語っている。

 そしてここにきて DIA(アメリカ軍の情報機関)が2012年8月に作成したISに関する文書 が公表され、アメリカ政府がISの勢力拡大を自分の意思で決断したことが明確になった。その中で、シリアにおける反乱の主力はサラフ主義者、ムスリム同胞団、AQIであり、反シリア政府軍を西側(アメリカ/NATO)、湾岸諸国、そしてトルコが支援しているとしている。反シリア政府軍を支援すると言うことはアル・カイダ系武装集団を助けることを意味し、現在の状況は予想されていた。文書が作成されたときに DIA局長だったマイケル・フリン中将 は文書が本物だと認めた上で、そうした勢力をDIAの警告を無視して支援してきたのは政府の決定だとしている。

 アル・カイダ系、あるいはISのような武装集団が勢力を拡大することを承知でアメリカ政府はリビアやシリアの反政府軍を支援、今でも方針を変えていない。現在、トルコとの関係が強いISにしても、本気で叩こうとしていないことは兵站ラインを放置していることでも明らかだ。こうしたアメリカの戦争マシーンへ日本を組み込もうとしているのが安倍政権だ。





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最終更新日  2015.08.13 17:20:11


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