《櫻井ジャーナル》

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2015.12.01
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カテゴリ: カテゴリ未分類
 トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン体制がアル・カイダ系武装集団やそこから派生したIS(ISIS、ISIL、ダーイッシュなどとも表記)へ武器弾薬を含む物資を供給する一方、盗掘石油を市場価格の半額で購入していることは広く知られるようになった。こうした事実はロシアのウラジミル・プーチン大統領にも航空写真などの証拠付きで指摘されているが、エルドアン大統領は「もっと証拠を出せ」と開き直っている。

 ISなどが盗掘した石油の輸送、精製、販売で中心的な役割を果たしている人物がエルドアン大統領の息子、ビラル・エルドアンであり、この人物が所有する海運会社、BMZ社を介して売りさばかれている。燃料輸送車やパイプラインでレバノンのベイルートやトルコ南部のジェイハンへ運ばれ、そこにある秘密の埠頭から日本へ向かうタンカーで運んでいると、ジャーナリストの ウィリアム・イングダールは報告 している。

 また、ジェイハンからタンカーでイスラエルへ輸送、そこで偽造書類を受け取ってEUで売りさばくという情報も伝わっているが、こうした盗掘石油を扱っていると言われている会社のひとつがエクソン・モービルだとされている。ロシア軍は盗掘石油の精製施設や燃料輸送車を空爆で破壊、こうした石油の流れを止めたということだ。

 石油はイラクやシリアからトルコへという流れだが、逆にトルコからシリアへ運ばれているのが武器弾薬を含む物資。この兵站ラインもアメリカ軍は攻撃しなかったが、ロシア軍は空爆を始めている。

 トルコ国内でもエルドアン体制のアル・カイダ系武装勢力やISへの支援に批判的な人は少なくない。昨年1月にはアンカラのウブラフム・アイドゥン憲兵少将、ハムザ・ジェレポグル憲兵中将、ブルハネトゥン・ジュハングログル憲兵大佐が武器を満載したトラックを止めたことがある。法律に違反し、トルコからシリアの武装勢力へ運ぶ途中だったのだが、その輸送はトルコの情報機関MITが黒幕だった。この摘発をした3人の軍人をトルコの治安当局は今年11月28日に逮捕している。「国家秘密」を明らかにしたことが逮捕理由のようだ。

 日本と違い、トルコには政府の違法活動を取り上げるメディアが存在、ジュムフリイェトという新聞は今年5月、トルコの情報機関がシリアの武装勢力へ供給するための武器を満載したトラックを憲兵隊が摘発した出来事を写真と ビデオ 付きで記事にした。同紙の編集長を含む複数の編集者が逮捕されたようだが、新聞社の周辺には編集者を支援するために1000人とも2000人とも言われる人が集まっていたともいう。

 支配体制の揺らぎを強権で封じ込めようとしているのだが、そうした強硬策を支えているのはアメリカ/NATOだろう。11月24日にトルコ軍のF-16戦闘機がロシア軍のSu-24爆撃機を撃墜したが、事前にロシア軍はアメリカ/NATO軍へ攻撃に関する詳しい情報を提供、ロシア軍機がどのようなルートを飛行するかを伝えていた。その情報はトルコへ伝えられていたはずで、トルコ側はロシア軍機だということを承知で撃墜した可能性が高い。



 以前からネオコン/シオニストなどはシリアとトルコとの国境地帯に「飛行禁止空域」を設定すべきだと主張していた。つまり、シリア軍機(後にロシア軍機も含まれる)の飛行を禁止、アル・カイダ系武装集団やISが安心して活動できる地域を作ってそこから軍事侵攻しようと目論んでいたわけだ。

 シリアへトルコ軍、あるいはNATO軍を侵攻させるという計画があり、その準備としてロシア軍を排除するためにSu-24を撃墜したという推測も流れている。ロシア軍はNATOとの軍事衝突を恐れるだろうと考えたというのだ。本ブログでは紹介済みだが、ジョン・マケイン上院議員たちはエルドアン大統領に対し、アメリカの国防総省はバラク・オバマ大統領と対決する用意ができていて、これを知っているロシアはシリアから手を引くと伝えたとする情報も流れていた。

 ところが、ロシア軍は怖じ気づくどころかミサイル巡洋艦のモスクワを海岸線の近くへ移動させ、最新の防空システムS-400を配備、約30機の戦闘機を「護衛」のために派遣、アメリカの対戦車ミサイルでも破壊できないT-90戦車も送り込んだ。約15万人の予備役兵をシリアへ投入する準備をロシア政府はしているという話まで流れている。トルコとの国境に近い地域はロシア軍によってコントロールされた。

 ロシアとトルコとの対立には深刻な背景がある。アメリカ軍の情報機関DIAの動きを見ても推測できるが、すでにアメリカ軍の内部でもネオコンにコントロールされた好戦派に対する反発は強まっている。今回の撃墜はEU内部の亀裂を深めるだろう。安倍晋三政権をはじめ、日本の「エリート」が服従しているアメリカの好戦派は孤立しつつある。現在の国際情勢を理解したければ、「アメリカ情報」に頼ってはならない。





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最終更新日  2015.12.01 16:39:25


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