《櫻井ジャーナル》

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2022.02.16
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カテゴリ: カテゴリ未分類

 イスラエルやアメリカを後ろ盾とするジョージア軍は北京で夏季オリンピックが開かれていた2008年8月に南オセチアを奇襲攻撃、アメリカ政府はロシアのソチでオリンピックが開催されていた2014年2月にウクライナでクーデターを実行している。北京の冬季オリンピックで中国とロシアは同盟関係をアピールしたが、そのオリンピックが開催されている間にアメリカがまた何らかの軍事行動を起こすと懸念する人もいた。

 ジョー・バイデンがアメリカ大統領に就任して以来、アメリカ政府はロシアに対する恫喝を強めている。イギリスやアメリカにとってロシアの制圧は19世紀から続く長期戦略の目標。ロシアを支配できれば世界の覇者になれると両国の支配層は考えてきた。

 バイデンが副大統領だったバラク・オバマ政権は2014年2月にネオ・ナチを使い、ビクトル・ヤヌコビッチ大統領を排除することに成功したが、その際にヤヌコビッチの支持基盤だった東部のドンバス(ドネツクやルガンスク)や南部のクリミアの制圧には失敗している。

 その時にも西側の政府や有力メディアはロシア軍がウクライナへ侵攻したと偽情報を流していた。キエフの状況を知ったクリミアの住民は素早く対応、ロシアと一体化する道を選んだが、この素早い動きは西側の支配層にとって計算外だったのだろう。

 クリミアのセバストポリはロシア海軍の黒海艦隊が拠点としている。ロシアはウクライナと1997年に分割協定を結び、ロシア軍が基地を使用し、2万5000名までの兵士駐留が認められていた。2014年のクーデター当時、この条約に基づいて1万6000名のロシア軍が実際に駐留していたが、西側の政府やメディアはこの部隊をロシア軍が侵略した証拠だと宣伝している。

 キエフのクーデターはアメリカ/NATOを後ろ盾とするネオ・ナチが主力。その政権に従属することのできない軍や治安機関のメンバーは少なくなかったと言われている。結果として、戦闘能力の高い人びとがドンバスの反クーデター軍へ合流することになった。

 そこでアメリカ/NATOはネオ・ナチの武装勢力やアメリカの傭兵会社アカデミー(ブラックウォーター)のような傭兵会社の戦闘員を東部へ派遣、最近になってCIAが2015年からウクライナの特殊部隊をアメリカ南部で訓練、また軍事物資をウクライナへ運び込んでいると報じられている。

 西側のメディアはアメリカ政府やイギリス政府は軍事的な緊張を緩和させようとしていると宣伝しているが、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は逆のことを言っている。

 例えば1月の下旬、​ ロシアの侵略が差し迫っているという間違った警告はウクライナの経済を危険な状態にするとゼレンスキーは記者に語った ​。その直後、ウクライナの内務大臣は暴動を計画した人びとを逮捕したと発表している。アメリカが2014年の再現を狙った可能性は否定できない。

 また、​ 2月12日にゼレンスキー大統領は「ロシアが2月16日から侵略してくる」という情報を教えてほしいと記者に質問 ​している。ロシア軍が侵略してくると「報道」している記者への皮肉なのだろう。ウクライナにとってドンバスの局地戦であっても、絶対に避けたいことだ。ドイツやフランスも戦乱がヨーロッパを破壊すると認識しているようだが、その他のEU加盟国の支配層はアメリカに従属することしか考えていないようだ。

 バイデン政権は「ロシアが攻めてくる」と言い続け、国務省のネッド・プライス報道官は2月3日の記者会見で、ウクライナ軍が攻撃しているように見せかけ、ロシア軍の攻撃を正当化させようとロシアが計画していると語る。

 それに対して​ APのマット・リー記者は主張を裏付ける証拠を示すように求めた ​が、プライス報道官はアメリカ政府の情報機関が機密解除した情報だという言うばかりで証拠は示せない。リー記者は主張と情報は違うと指摘、イラクを攻撃する前にアメリカ政府が宣伝していた「大量破壊兵器」の話を持ち出したが、それでもプライスは答えなかった。

 アメリカ/NATOはウクライナへ軍事物資を運び込んだり兵士を訓練するだけでなく、ウクライナの周辺で軍事演習を繰り返し、ロシアを挑発してきた。その挑発にロシアが乗れば、それを利用して求心力を取り戻し、ロシアや中国に対する「制裁」を正当化するつもりだったのだろう。

 ロシアは挑発に乗らなかったが、アメリカ/NATOが一線を超えたなら動く態勢を整えた。ウクライナへ軍事侵攻するには圧倒的に足りない戦力だが、アメリカ/NATOにダメージを与えることができる態勢だと言えるだろう。陸上だけでなく、ロシア軍はクリミアを守るように艦船を黒海へ入れた。巡洋艦3隻、フリゲート艦4隻を含む約30隻が地中海から移動したようだ。地中海へはバルチック艦隊や北方艦隊から艦船が入った。

 一方、西側はアメリカの空母「ハリー・S・トルーマン」、フランスの空母「シャルル・ド・ゴール」、イタリアの空母「キャブール」を含む相当数の艦船が地中海へ入っているが、ロシアの構えを考えると、攻撃は難しそうだ。






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最終更新日  2022.02.16 01:58:33


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