「踊るお父さん」の「踊る情報局!」
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つかこうへいさんが亡くなった・・。 初めてその作品を見たのは・・ 高校生の頃、当時付き合っていた彼女が、『すっごい、泣けたいい映画があったの・・一緒に見よう!』と言われ、見たのが『蒲田行進曲』だった。 当時、売れないジャニーズJr.で、テレビドラマのちょい役をやっていた俺を、平田満が演じる、『ヤス』とダブらせて見ていたらしい。 何故、『銀ちゃんじゃないんだろう・・?』 彼女に聞いて見ると・・ 『明(本名)はそんな事しないでしょ!』 と帰って来た。 つまり、妊娠させた相手を自分の取り巻きに『貰ってやってくれ!』と、渡すような事はしないと言う事だ。 有名な台詞・・ 『コレがコレなもんで・・』 と、小指を立てて、お腹を覆う仕草で・・ エヘッへ・・と笑いながら、大怪我をしながら、エキストラの死に役、切られ役、吹き飛ばされる役を取って来る。 怪我しても、笑いながら『コレがコレなもんで』と笑う。 そんなシーンを見て泣いていた。 大女優だった『小夏』も、いつしかヤスに惹かれて行く。 俺も不覚にも階段落ちのシーンでは涙を零しながら見ていた。 役者になったら、『銀ちゃんをやりたい』と思ったものだ。 それにしても、良い作品で脚本家『つかこうへい』さんて、凄い人だと思った。 まさかその後、仕事をする事になるとは思わなかった。 それから10年余り過ぎた1994年。 その前年に、お笑いタレントを辞めた俺は、友人から頼まれた、ダンサーの代役の仕事を引き受けた。 1日だけ、群馬県の桐生市にある劇場で、1曲だけ、踊る代役の仕事であった。 作品の名は『熱海殺人事件・~妹よ~』であった。 群馬県桐生市の大きな会場で、当日の稽古が始まった。 付けられた振りの確認をしていると、マイクを通した大きな声で、『そこ!変えよう!』と言う声が響き渡った。 つかこうへいさんだった。 舞台上にぱっと上がり、『お前、こっちから出て来て見つめ合え!』 先輩のダンサーが、役者と見つめ合う。 『よし!抱き合え!』 抱き合う。 『よし!キスしろ!』 えっ!・・と思った。 男同士で濃厚なラブシーンだ。 最初のインパクトは計り知れなかった。 奇想天外な演出をする。 しかし、舞台が始まって、音楽と照明に照らし出され、重いストーリーと相俟って、そのシーンは見事に情緒たっぷりに役処の心理描写に組み込まれて行く。 勉強になる仕事をした。 しかし、それで終わらなかった。 その、一ヶ月後、事務所からオファーがあった。 7月のスケジュールは開いているか聞かれ、答えると、つかこうへい、作・演出の『飛龍伝94・~いつの日か白き翼にのって~』への出演オファーだった。 主演は『石田ひかり』 銀座セゾン劇場での一ヶ月公演の出演が決まった。 『ダンサー』として4人同じ事務所から出演があり、その作品で踊るものだとばかり思っていたが・・・ 主演の石田ひかりさん以外は、筧利夫、春田純一、山本明、及川以造、等看板俳優をはじめ、男性ばかり50人近い。 異様な稽古場だ。 その、50人を束ねるのが、長い机の真ん中に陣取るのは、天然パーマにサングラス、常に煙りを吐き続けるチェーンスモーカ・・『つかこうへい』その人だ。 稽古が始まり一週間が過ぎると、ダンサーも役者も関係無くなっていた。 稽古場には必ず、シンセサイザーとオープンデッキが持ち込まれ、役者が殴り合えば、『バシッ』と言う効果音が流れ、『赤ん坊の泣き声だ!』と言う台詞を言うと、『オギャー』と言う具合に必ず効果音が芝居に組み込まれて行く。 音を出す音響さんも、稽古から真剣勝負だ。 芝居は毎日、変わっていく。 朝、稽古が始まるとおもむろに、つかさんが『筧!俺はあんたの為に死にたい!死にたいけどやりたい!』言え。 すると主役の筧利夫さんが直ぐに言う。 と、『ひかり!全共闘5万人の命を預かる委員長の私と敵対する機動隊隊長のあなたと出来る訳無いでしょう!』 言え。 と、直ぐに、石田ひかりさんが台詞を口にする。 『おい。あれかけろ。』 長い台詞のラブシーンに、BGMで、『浜田省吾・もうひとつの土曜日』の曲が流れる。 音響さんも、出演者もつかさんの言葉一つで直ぐに動き、芝居が出来て行く。 ある日、突然『おい!お前!赤いTシャツ!』と座って見ている30人はいる役者に上手から『早稲田大学バンザイ!』と言って走って来い!と指示が出る。 指された役者が言われた通りに大声で叫びながら走り出すと、ズダダダダダッー!とマシンガンの掃射音が鳴る。 音に合わせて役者は蜂の巣のように打たれる芝居をする。 物凄い迫力だ。 おもむろに目が合うと、『次、お前やれ!』と指名された。 見よう見真似でやってみる。 緊張感と緊迫した空気に、全神経を集中し、大声を出す。 マシンガンの掃射音が聞こえる。 自然に『う゛わぁー!!』と絶叫する。 自分でも信じられないぐらい気持ちよく、自然に演技が出来た。 快感だった。 それまで理屈で芝居を考えていた俺は、全身で表現する芝居の楽しさを感じた。 今、ショーにおいても、リアリズムやMC、メンバー紹介などは、つかさんの芝居に出演させて頂いたお陰だと深く感謝しています。 稽古の終わりになる、ある日、稽古中に突然、『お前、8月は何してるんだ!九州で芝居やるから来い!』と言われた。 8月から、『ショーパブ・アルカザール』に出演する事になっていた俺は『申し訳ありません、来月からショーの仕事が入っていまして・・・』と、断ってしまった。 あの時、ショーの仕事を断って、九州へ行っていたら、俺の人生はどう変わっていたのだろうか・・・ 心よりご冥福をお祈り致します。 合掌。
2010.07.13
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