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2007年01月25日
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カテゴリ: 海外文学
資産家の老婦人、マチルダ・ギレスピーは、浴槽に横たわって死んでいた。睡眠薬を服用し手首を切るというよくある自殺の手段。だが、現場は異様な光景で自殺死に疑問が。野菊や刺草で飾られた禍々しい中世の鉄の拘束具「スコウルズ・ブライドル」が、死者の頭に被せられていた。これは何を意味するのか?英国推理作家協会ゴールドダガー賞受賞作。










表題の「スコウルズ・ブライドル」とは、中世における鉄製の拘束具で、当時の口やかましい女に罰として頭にかぶせ、咬ませもので舌を押さえつけるために用いられた。

ふたたび”館”もの。 かなり性格のねじれた老婆、その周囲の人々との関係、過去です。

やがて他殺と判明していくが、莫大な遺産は娘と孫娘にいかず、生前親交のあった女医セアラに贈るとの遺言。不可思議な殺され方、遺産問題、動機、

ヒロインのセアラは 事件と別に夫ジャックとギクシャクしているので、このカップルはしょっぱなから壊れるのだろうか、と思うのだけど、単純ではなかったのうれしかったです。夫のジャックはいわゆるヒロインに協力するとかかっこいいといったヒーローらしい範疇には無いのだけど、はじめから夫婦での登場だし、一癖も二癖もある芸術家タイプ。犯人でもあり得る設定もあり。クーパー警部や上司チャーリー、隣人夫婦、孫娘、、それぞれのキャラクターも、味がありました。わたしは、「女彫刻家」の犯人と同じような犯人を予想していて、外れてしまいました。

中盤ころからが 面白くなりました。

シェイクスピア作品(とくに『リア王』)の頻繁に引用。

性格のねじくれた老婆、の内面が徐々にはがれて行く。彼女がそうなってしまった理由は悲しい。ジャックの絵を見て

「本来のわたしは、こうだった筈」

と涙するシーンは、胸が痛みました。ラストのページも、あれが彼女の人生のその後を決定づける出来事。人生の原点ともいう核たる場面。 日記が逆行していく手法で、彼女の内面が語られる。   『屍鬼』 小野不由美  の”若御院”の内面が、時折挿入される作中作より、はるかに分かりやすかったです。 






■著作
・ 『氷の家』 CWA 英国推理作家協会最優秀新人賞(1992)
・ 『昏い部屋』
・ 『女彫刻家』 MWA アメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(1993)
・ 『囁く谺』
・ 『鉄の枷』 CWAゴールドダガー賞(1994)
『蛇の形』 Pelle Rosenkrantz Award(2002 デンマーク)






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最終更新日  2007年01月28日 00時31分52秒


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