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2008年01月31日
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カテゴリ: 日本文学


「山の民」に置き去られた赤ん坊。この子は村の若夫婦に引き取られ、のちには製鉄業で財を成した旧家赤朽葉家に望まれて輿入れし、赤朽葉家の「千里眼奥様」と呼ばれることになる。これが、わたしの祖母である赤朽葉万葉だ。――千里眼の祖母、漫画家の母、そしてニートのわたし。高度経済成長、バブル崩壊を経て平成の世に至る現代史を背景に、鳥取の旧家に生きる3代の女たち、そして彼女たちを取り巻く不思議な一族の血脈を比類ない筆致で鮮やかに描き上げた渾身の雄編。2006年を締め括る著者の新たなる代表作、桜庭一樹はここまで凄かった!





第60回日本推理作家協会賞受賞作。第28回吉川英治文学新人賞受賞
このミステリがすごい2008年版 国内編 第2位
第137回直木賞候補作



図書館予約1ケ月半で手許にきました~~。
すぐにも読みたくてジリジリ待っていたかいありました。
とっても読みやすかったです。いたずらに主人公を可哀そうがらずに読めました。

横溝正史 京極夏彦 のような連続殺人事件やドロドロのお家騒動の物語を想像してましたが、真面目な?不思議ちゃん系女三代記でした。製鉄一族の60年。”製鉄で栄えた町”が舞台なんで「華麗なる一族」のような熱気と、戦後から現代への時代のうねりがすごく感じられました。


第一部「最後の神話の時代」1953年~1975年 赤朽葉万葉

第三部「殺人者」2000年から未来 赤朽葉瞳子


・赤朽葉万葉(あかくちば まんよう) は、山に隠れ住む”サンカ「辺境の人」”と呼ばれる人をルーツに持つ。幻のような人達で、たたら製鉄の伝承者であり、自殺した死者を弔う謎の集団です。万葉が未来を見たり、遠くの出来事を幻視できる能力は、この一族から受継がれたものなのか、逆に、それゆえに村に捨てられたのか、、など一族は直接登場せず謎のままで、かえって興味が残りました。この辺の神秘的な民俗学の香りが大好きです。この謎の異族に、非常に魅かれるものを感じました。 参考文献『サンカの末裔をたずねて』和田敏、『幻の漂白民サンカ』沖浦和光、小説『風の王国』五木寛之 など、読んでみたくなりました。でも、一番は、桜庭さんの描く世界観での”サンカ”の人々を読みたいです。普通の女三代記違うのが、万葉の幻視能力。 空飛ぶ隻眼の男、首がぽーんと飛んでいく老人、出産時の幻視した我が子の生涯、と様々。不思議の予感に満ちた第一部でしたし、出産のシーンでは泣けましたし、その後の万葉の気持ちが切なかったです。あんな思いで20年過ごすなんて耐えられません。


・赤朽葉毛鞠(あかくちば けまり )の、激的に走り抜けた人生は尾崎豊の「15の春」、10代の迷走を感じました。彼女は1966年生まれ。自分がこの世代にあてはまるんですよね。でも、ちょっと上の人たちの感覚かな?「スクール・ウォーズ」や「ビー・バップ・ハイスクール」の不良たち世代。暴走族《レディーズの頭》から《人気少女漫画家》へ。 この長きに渡っての人気を持ち続けた漫画家さんっていうのが、『ガラスの仮面』の美内すずえさんが思い浮かびましたし、一条ゆかりさんや、里中満知子さんなどなど、、少女漫画全盛期に育った自分を、いろいろ振り返る思いでした。もちろん、レディースはやってませんが!(笑)第一部とはガラッと違い、毛鞠はドラマや少女漫画の主人公がそのまま抜け出たよう。「強い」「美しい」。リアルさに欠ける設定なのに不思議とスンナリ受け入れられたのは世代背景に共感をおぼえるから。彼女の青春時代は「ぱらりらぱらりら」というバイクの音と共に、キラキラしてました。


・赤朽葉瞳子(あかくちば とうこ)。 彼女は、自分と自分の子どもたちの間くらいの年齢です。この彼女の感覚は、現代に生きるわたしたちの象徴のようです。とにかく普通で平凡。可もなく不可もない。真面目で堅実。夢や熱意を持たずに生きていることに負い目を感じ、常に自問している。劇的に生き、伝説を感じさせる祖母や母の人生と引き比べ「自由とはなにか。自分はこれからどう生きればいいのか。」と。現代のおはなしは短く、瞳子はあるきっかけで過去の殺人を調べます。ミステリとしてはゆるいですが、瞳子はきちんとそうしたことに向き合ってます。一族に関わる逸話や不思議と秘密を知ることが大事で、継承していくことなんではないかと思いました。



映画『三丁目の夕日』では戦後の復興と人々の温もり、映画『魍魎の匣』では、戦後昭和の不気味でオカルティックな雰囲気が描かれてました。こうした戦後から現代への移り変わりが舞台の物語に、昨年から随分出会ってきたように思います。いま、昭和ブームですね。

著者の桜庭一樹さんは、はじめ男性かと思ってましたら、なんと女性。これまでライトノベルズで少女向けの小説を多くかかれていらっしゃるんですね。外国小説など読書量はかなりなものだそうで。直木賞受賞作『わたしの男』はまたちょっとドロドロ系を想像させますが、、読んでみたら意外な読後感を得られるのかも?

「このミス」1位の『警官の血』と同じ設定同じ時代です。甲乙付けがたいですが、こっちが一位でもおかしくないですよね~。


著者からのコメント

 この『赤朽葉家の伝説』は2006年の4月から5月にかけて、故郷の鳥取の実家にこもって一気に書き上げました。わたしは山奥の八墓村っぽいところで生まれ育って、十八歳で東京に出て、小説家になりました。昭和初期で時が止まったようにどこか古くて、ユーモラスで、でも土俗的ななにかの怖ろしい気配にも満ちていて。そんな故郷の空気を取り入れて、中国山脈のおくに隠れ住むサンカの娘が輿入れした、タタラで財を成した製鉄一族、赤朽葉家の盛衰を描いたのが本書です。不思議な千里眼を持ち一族の経済を助ける祖母、万葉。町で噂の不良少女となり、そののちレディースを描く少女漫画家となって一世を風靡する母、毛毬。何者にもなれず、偉大な祖母と母の存在に脅えるニートの娘、瞳子。三人の「かつての少女」の生き様から、わたしたちの「いま」を、読んでくれたあなたと一緒に、これから探していけたらいいなぁ、と思っております。
ガルシア=マルケスの『百年の孤独』のように国の歴史と混然一体となった一族の話を書きたかった。そうした一族が日本にいるなら山陰のような地方都市だろうって……。

             【Amazon.co.jp特別企画】著者からのコメントより



第138回芥川賞・直木賞 桜庭一樹さん 『私の男』

『 少女には向かない職業 』

『 青年のための読書クラブ 』












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最終更新日  2008年01月31日 17時47分15秒
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