・久手堅 司『自律神経 これ1冊ですべて整える』、 本書は2025年に東洋経済新報社から刊行された、久手堅司による健康実用書。著者はせたがや内科・神経内科クリニック院長で、気象病・自律神経関連の診療にも取り組んできた医師。本書では、慢性的なだるさ、不眠、頭痛、めまい、便秘、イライラなどを「自律神経だけ」の問題として捉えず、自律神経・気象・骨格(姿勢)の三つを関連づけて考える。
・ 本書の出発点は、「なぜ休んでも疲れが取れないのか」という問いだ。朝から身体が重い。仕事を始めても集中できない。眠っているはずなのに回復した感じがしない。こうした状態を、単純に「年齢のせい」「根性が足りない」「ストレスのせい」と片づけない。著者は、まず自律神経の基本を説明し、そのうえで 骨格・生活リズム・食事・天候・気圧・仕事中の姿勢などを含めて、身体全体を整える という道筋を示す。目次も、10の基本習慣から骨格コンディショニング、生活リズム、食習慣、天候との付き合い方、オフィスでの習慣、漢方まで広がっている。
・ 「自律神経だけ」を疑わない。 本書で最も重要なのは、タイトルとは少し逆説的だ。 不調を何でも「自律神経の乱れ」と説明しない。 自律神経だけを整えようとして、食事、運動、入浴などを次々試しても改善しない場合がある。そこで著者は、 自律神経 × 気象 × 骨格 という三つの視点を提示する。これらは互いに関係しているため、一つだけを整えても不調が長引く場合があるという考え方だ。ここに本書の独自性がある。
・ 身体は「生活の履歴」を記憶している。 30代、40代のビジネスパーソンにとって、とりわけ重要なのが姿勢だ。長時間のデスクワーク。スマートフォン。運動不足。睡眠不足。こうした小さな習慣が毎日積み重なる。本書では、運動が苦手な人でも取り組める 骨格の乱れを整えるコンディショニング習慣 を重視している。つまり、身体を「もっと鍛える」だけではなく、まず 身体の使い方を修正する 。これは、忙しい世代には現実的な発想だ。
・ 健康は「一発逆転」ではなく「小さな習慣」。 本書の実践論は派手ではない。生活リズムを整える。食事を見直す。天候の変化に備える。仕事中にもできる小さな習慣を取り入れる。こうした行動を積み重ねる。第1章から第7章まで、まさに「毎日の生活に埋め込める小さな行動」へと落とし込む構成になっている。この地味さが、本書の強みでもある。健康に関して本当に難しいのは、知識を得ることではない。
知っていることを、疲れている日にも続けること だからだ。
・ 『自律神経 これ1冊ですべて整える』は、「頑張って健康になる」のではなく、「崩れにくい身体と生活をつくる」ための本だ。 30代・40代になると、仕事の能力だけでは長く走れない。集中力も、判断力も、気力も、結局は身体の状態に支えられている。だから本書が最後に問いかけているのは、単に「自律神経をどう整えるか」ではない。 自分の身体を、仕事のために消耗する道具として扱うのか。それとも、人生を長く走るための土台として扱うのか。 その選択を迫る本として読むと、タイトル以上に深い意味が見えてくる。
自律神経 これ1冊ですべて整える [ 久手堅 司 ]
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