スローモーション（その１）

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2006/03/31

(18)

テーマ：社交ダンス(9447)

カテゴリ：ワンポイントレッスン

結婚式とレッスンが重なった春分の日から２日後、私たちはもう一度キャロル先生のレッスンを受けるチャンスがありました。今度は平日ですから、『食べ過ぎのみ過ぎ』なんてこともなく、とどこおりなく予定は進行するはずでした。

ところが....。

秋葉原の電気街と、つくば研究学園都市を最速４５分で結ぶ電車『つくばエクスプレス』が去年開通し、ダンス教室の最寄り駅はその沿線にあります。私たちは仕事帰り、彼は東京方面から私は茨城県方面からやってきて、その駅のカフェテリアで待ち合わせることにしていました。

木曜日、私が到着したとき彼はすでに、たこ焼きをつまんでいました。

そこからはバスに乗って行きます。私は職場の食堂で夕飯をすませて来ていたのですが、甘いソースの香りに、ついつい手が出てたこ焼きを二つもらいました。
（ダイエットはどうなったんだ～）←守護天使の声

エスカレータを降りてバスターミナルに向かう途中、私たちの乗る予定のバスがウィンカーを点滅して出発する気配なのが遠くに見えました。

「走って止めてこい！」

え？　あたし？　

地方のローカルバスなので、１本逃すと次まで20分待たなければなりません。

ゆっくりエスカレータを降りて来た小人の大将が私を責めます。

「なんで止めないの。」

私はちょっとむっときました。自分が止めればいいじゃん。わたしは家来の小人さんじゃないんだからね。

彼はまだひざが痛くて走れないんだそうです。そういうことならしょうがないね。

私たちは20分後のバスに乗り込み、発車を待つことにしました。レッスンまでまだ１時間ありましたから、このバスでも充分間に合います。

ガソリンの匂いがするバスの中で、彼がポケットや鞄をなにかゴソゴソ探し始めました。私は、『何探してんのかな。』なんて、ボーっとしていると彼が急に立ち上がりました。

「大変だ。携帯、電車で落とした。」

え－っ！？個人情報満載じゃない。これはまずいことになりました。私の変な写真も入ってます。

私たちは慌ててバスを飛び降り、また駅に逆戻りしたのでした。

（つづく）