2021/09/09
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テーマ: 社交ダンス(8731)
人工衛星が地球の周りをおとなしく回っていられるのは、月が地球の周りを回っているのと同じで遠心力と引力が釣り合っているからです。

衛星が積んでる燃料は姿勢制御のためのほんの少しのガスジェットくらいで、飛行機みたいにエンジンふかして宇宙をすっ飛んでるわけではないんですね。

遠心力の方が大きければどこか宇宙の彼方に飛んでいってしまいますし、向心力の方が大きければ地球に落ちてきます。





遠心力は、人工衛星の重さmにスピードVの二乗を掛けて、地球中心からの距離Rで割ったものです。

引力は、万有引力定数Gと人工衛星の重さmと地球の重さMをかけて、地球中心からの距離Rの二乗で割って求められます。





遠心力 = 引力ですから上の式を変形すると

V 2 X R = G X M (一定)となります。


つまり 人工衛星のスピードは地球からの距離によって決まる

スピードが決まるということは、1周する時間が決まるということですね。

これって実は有名な天文学者 ケプラーの第3法則 です。





そもそも 静止衛星とは何か というと、地球の自転と同じスピードで1周24時間で回るのであたかもずっと真上にいるように見える衛星のことです。

気象衛星ひまわり みたいな1周する時間がちょうど24時間になる距離が、 高度36000キロ というわけです。





人工衛星の重さに関係なく、ひまわり1号から9号までみんなこの高度。

地球からの距離が近くなるほど引力が強くなるので遠心力を稼ぐために速く回る必要があって、国際宇宙ステーションは高度400キロのところを90分で一周しています。





参考までに概算で周期とスピードを出してみました。ご興味ない方はすっ飛ばしてください。

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2 = GM / R     ・・・ (1)

G (万有引力定数) = 6.67 x 10 -17 (N・m 2 / kg 2 )
24 (kg)

GM = 398332 (km 3 / s 2 )

R = 6378 (地球半径)+ 36000 (衛星高度)(km)

これらの数値を使って(1)を計算すると、
V = 3.066 (km / s) ← 高度36000キロでの衛星のスピードは1秒間に3キロ!

高度36000キロでの衛星の周期T は、

T = 2πR(軌道一周の距離) / V = 86805.6秒 = 約24時間  ・・ (2)


(1)に(2)のV = 2πR / Tを代入して変形すると、

T 2 = ((2π) 2 / GM) X R 3

周期の2乗と半径の3乗の比は一定 ( ケプラーの第3法則 )となります。

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さて、その高度36000キロの静止軌道に宇宙太陽光発電システムを作ろうという話が、温室効果ガスの削減に絡んで持ち上がっています。

2022年度から実証実験を開始し、いかにローコストで宇宙にパネルを運ぶか、宇宙で発電した電気をどうやって地上で受け取るか、研究課題は山積ですが宇宙はいつも晴れてますから実現すれば発電効率は良さそうですね。





2.5キロ四方の巨大パネルを展開して、 スペースデブリ の被害は大丈夫かというところも気になります。

36000キロは地球上のどの国にとっても静止軌道ですから、衛星も割と密に飛んでる気がするんですよ。

中国やアメリカも宇宙太陽光発電に関して、研究開発を加速させているそうです。

結構遠いので、そう簡単に修理なんてできませんから、後々のメンテナンスも含めてデザインや素材にも知恵をしぼる必要があるでしょうね。







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Last updated  2021/09/09 07:53:51 PM
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