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サンカシャガヒトリオオイ・・・あり得ない現実に御庭番を除く一同の不安は募るばかりであった。トモヨが再び人数を数え始めた其の時、「I am not a participant!」と、ゲラゲラ笑いながら飛び出して行ったオナゴが一人。御庭番の横に立っていた女性である。何のことは無い、トモヨがガイド仲間とハグしている間に、ミルフォードサウンドから帰ってきたバスの中の一人がコッソリ紛れ込んでいたのであった。「No!I counted twice too!!」トモヨが苦笑いしながらホッとした表情で叫ぶと、一同爆笑。無事笑顔を作って集合写真を撮ることができたのであった。集合写真を撮り終え、御庭番一行は再びバスに乗り込んで一路テ・アナウ湖の北端へ。ミルフォードトラックの入口に入るには、テ・アナウ湖を船で渡らなければならない。小半刻程バスに揺られ、テ・アナウ湖の北端に着いた御庭番はフェリーに乗り込んでミルフォードトラックへと向かった。船の中で船長が何やらガイドしているが、相変わらずサッパリわからないので、御庭番は甲板に出た。天気は良いが、湖の上を結構なスピードで奔るので風が冷たい。と、御庭番の傍らに、背の高い若いヤンキーが。先程合流した男性ガイドである。「Good wether.but It is cold for a moment.・・・What your name?」」『いやぁ、いっと めぃ びぃ ふぁぃん。・・・まぃ ねぇぃむ ぃず ゆりのすけあそー。だす ゆぁ ねぇぃむ?』「Chris.How do you do.」クリスは弐拾参才の大学生で、来年学校の先生になると言うヤンキーであった。御庭番とクリスが挨拶している所に激しい波飛沫が飛んできて、全身にかかるので、二人で慌てて客室に戻った。フェリーは半刻弱で目指すミルフォードトラックの入口に辿り着き、簡素な桟橋に横付けした。下船の際は誰の物でも良いから荷物を持って降りる様に言われたが、御庭番すぐ目の前に置いてあった自分の荷物を持って下船した。ミルフォードトラックの入口に繋がる桟橋には薬品を満たしたコンテナがあって、入山者はここで靴を消毒しなければならない。御庭番は一行の誰よりも魁て靴を消毒し、遂にミルフォードトラックの地を踏んだのである!!と同時に・・・御庭番サンドフライに襲撃される!!が、こずえさんに薦めて貰った虫除けクリームがバツグンの効果を発揮し、サンド・フライは御庭番の周辺を飛び交うも刺されることは無かった。「サンドフライは、何故か写真を撮りたい所とか景色の良い所に沢山いますから余り長く立ち止まらない方がいいですよ。」と言うトモヨの言葉に従い、御庭番はそそくさと歩き始めた。目指すグレイド・ハウスはここから半刻程の距離である。御庭番が参加したトランピングツアーはガイド付きとは言え、ガイドはピッタリくっついて歩く訳では無く、先頭と中間、最後方に分散する。故に歩く人も銘々気侭に歩けば良く、英語が喋れなくて協調性が無い御庭番には好都合なトレッキングであった。御庭番は久々の登山であったが、歩くことにかけては自信があったので最後方を歩いた。従って、御庭番は、本日の殿番であるエミリー(美人)と歩くことに。エミリーはニュージーランド出身の、所謂”キーウィー”で、鳶色の瞳のスレンダーな美人ガイドであった。「It sees, and duck's wing. 」暫く御庭番が歩いていると、エミリーが不意に後ろから声を掛けてきた。御庭番は気が付かなかったのだが、平坦なコースの傍らの草むらに、鴨の羽が落ちていたのである。『随分、羽が落ちておるな。ここで獣に食われたのかな?』「No, there is no carnivorous animal in New Zealand. The wing was repaired here. 」『?・・・お主日本語が判るのかね?』「ワタシ、キュシュースンデイマシタ。・・ベンキョウアマリシナイ。japanese very difficultネ」ペロっと舌を出してそう微笑むエミリー。御庭番はこのツアーでエミリーから衝撃の一言を言われるのだが、それはまだ後の話。手にした鴨の羽を帽子に括り付けて御庭番は再び歩き始めた。本日の宿であるグレイド・ハウスまでは平坦な林道が続き、まだ湖の近くであるので、期待していた自然の美しさも鳥の囀りも無い。しかし、空気は日本の都会とは比べ物にならない程清清しく、お江戸の汚れた空気にうんざりしていた御庭番にはこれだけでも十分満足な環境であった。グレイド・ハウスはすぐ目と鼻の先であることは判っていたので、ゆっくり歩いていたのだが、すぐに前を歩いている老人二人に追いついてしまった。一人は鼻髭が如何にもガイジンらしいカイン。もう一人も鼻髭を蓄えているが、こちらは年齢の割にはヤンチャ坊主みたいなオジサンのイアンである。御庭番は少しペースを落して歩いたが、カインとイアンが立ち止まって道を譲ってくれたので先に行くことに。エミリーは老人二人の面倒を見なければならないので、最後方を歩いた。そこから小半刻もしない内に―。本日の御宿に到着。ここ、グレイドハウスは、クリントンリバーの畔に開けたコテージ風の建物である。今回の四泊五日のトランピングは、毎日この様なロッジに宿泊するのだが、各ロッジには食堂と共用のトイレは勿論、シャワー室や乾燥室まである。グレイドハウスは過去4回程火災に遭って建て直したのだとクリスが言っていたが、前回の火事の時は乾燥室が原因らしい。御庭番がクリスに割り当てされた部屋行くと、後からイアンとカインが入ってきた。今日は彼らと相部屋である。部屋に荷物を降ろし、全員軽装のまま再び外へ。この日は早く到着したので、ガイドの案内でネイチャーウォークをするのである。銘々が四人のガイドに分散したが、トモヨちゃんには当然のことながら、御庭番を含む日本人ご一行様で固まった。トモヨは流石ガイドだけあって、様々な植物や動物に詳しかった。平坦な道を歩いて来たが、このネイチャーウォークは結構な急勾配を昇り降りする。途中、イタチの罠があった。ニュージーランドのイタチは外来種であり、本来鼠等の疫病を持つ小動物を退治する為に連れて来られたものであるが、逆にニュージーランドの固定種であるキゥイやウェカ等の飛べない動物を襲ったり、卵を食べたりするので、逆に駆除されているのだと言う。一行はトモヨの後にくっついて林の中を歩いて行くと、やがて渓流に出た。今日のネイチャーウォークはここまで。御庭番は持ってきた携帯灰皿を手に一服すると、沢の水を飲んだ。初夏のこととて、雪解けの水は冷たく、汗をかいた身体に心地良かった。「帰りは気侭に帰って下さい。」と言うトモヨの言葉に従い、御庭番は独りで登ってきた道とは違う下山道を下ることに。踏み跡も乏しく、日本の登山道の様に目印のテープも無い林道を歩いて下ると、やがてグレイドハウスの乾燥室の建物に出た。昨年火災の原因となった乾燥室は、ロッジと棟が分かれて建て直されていたのである。御庭番は本日の宿泊部屋に戻り、夕食まで少々時間潰し。グレイドハウスのロッジには、ここミルフォードトラックを開拓したドナルド・サザーランドやクインティン・マッキンノン、アーネスト・ミッチェルの写真や開拓の遺品、歴史的文献のレプリカを展示した記念館の様な物がある。多くの日本人が訪れている為、壁の掲示ボードには日本人のカキコミが一杯あった。夕食までの間は、コーヒーや紅茶、ハーブティー、果ては緑茶やオレンジジュース等で寛ぐのだが、これも飲み放題です。実に至れりつくせりなのだが、アルコールのみ有料。御庭番はニュージーランド産のビール・SPIGHTSを片手に夕食を待った。今日のメインは鹿肉のステーキ。ニュージーランドと言えば羊ばっかり食っているイメージがあるが、実際には羊は年々減ってきており、最近では比較的飼育し易く、単価も高く売れる鹿肉の需要が高まっているのだと言う。御庭番は鹿肉初体験でございます。夕食までの半刻を御庭番はビールを飲んで時間を潰し、夕食を待った。トランピングツアーはコースの日程・宿泊場所を、DOC(環境保護省)の管理下で定められたスケジュールを守って歩かなければならない。当然就寝の時間や食事の時間もキッチリ決まっていて、御庭番達が夕食にありついたのはまだ外が明るい19:00頃。昼飯を中途半端に終わらせてしまったので、御庭番は飢えていた。夕食は自然と日本人同士で集まり、この旅始めてツアーに参加したもう一組の日本人夫婦と会話をした。大阪から来たRYOTAROさん夫婦である。MASAJIさん夫婦と共に食事した際に昨夜のデキゴトを説明したら爆笑されて打ち解けることができましたよ。そこまで身を削って打ち解ける必要も無かったけど(T▽T)。さあ、お待ちかね―。鹿肉のステーキ登場でございます。それでは・・・いっただきま~す。( ̄ー(  ̄ )はむはむ。。。( ̄ー(  ̄ )はむ・・・・・・(--;)う~んなんて言ったらいいんですかね・・・ちょっとビミョーな味ですね。決してマズくは無い。山小屋でこんな豪勢な食事ができることを考えると、仮に若干肉が古かったとしても十分過ぎる味である。ただ、新鮮なレバーを食べていると思うにしても(実際牛肉や豚肉よりも肉質に歯応えが無く、少々臭います。まあ、新鮮な鹿肉はまた違うんだろうけど)この物足り無さ感は何なんでしょうか。御庭番以外のMASAJI嫁以外のニッポンジンも全員鹿肉のステーキを選んでいますが、何か言いたそうです。(・・・・何が足り無いのだろう(--;)。。。?)さてさて、人生初の体験である鹿肉のステーキに、御庭番は如何にして対峙するのでありましょうか、続きは次回をご覧下さい。
2007年12月24日
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知らない街を 歩いてみたいど~こか遠~くへ 行き~た~い♪知らない海を~ ながめて~い~たい♪ど~こか遠~くへ 行き~た~い♪遠~い~街~♪ 遠~い~海~♪ 夢~は~る~か~ 一人旅~♪麻生百合之介世界の旅~君は南の空にウソ十字星を見たか~ 其の陸長月壱拾九日 卯之刻 之頃ニュージーランド到着初日からやってしまった御庭番。翌日の朝は7:00(日本時間だと丑の刻)に眼を覚ました。前日の夜に準備は済ませていたので、後はトランピングの間ホテルに預ける荷物の整理だけであったので、参拾分でホテルに預ける荷物を鞄に詰めて部屋を出ると、地下一階のレセプションに向かった。朝早い為か、ロビーの人影はまばらで、御庭番がカウンターにいたジョアンと言う受付嬢に、五日後に戻って来るまで荷物を預かっておいて欲しいと告げた。ジョアンは最初御庭番の英語がよく判らなかった様であったが、やがて無愛想に荷物を受け取り、預り証を発行すると、クロークに姿を消したので、御庭番は安堵してホテルを後にした。本日も晴天である。早朝のクィーンズタウンは空気が冷たく清涼で、ワカティプ湖の波音だけが響いている。御庭番はあからさまに登山者の格好で、クィーンズタウンの中心地へ向かった。店は何処も格子を下ろしていたが、一軒だけ茶店の様な所が開いていた。アルティメットハイクス社への集合時間にはまだ時間があったので、御庭番はこのと言う店で朝餉を採ることに。紙幅の関係で書かなかったが、ニュージランドに着いて最初の朝食は実はマクドナルドのビッグマックセット。日本のビッグマックよりビーフパテが旨かった様な気がする。ニュージーランドで初めての朝食がマクドナルドと言うのは侘しかったが、ハワイでもマクドナルドに入った(詳しくは2005年1月の日記”憧れのハワイ航路 其の弐”を参照)ので、ちと食べ比べてみたかった。が、ニュージランドに来て二日目、よーやっと海外に来たことを実感した朝餉であった。優雅な朝食を済ませた後、御庭番は昨日説明会が開催されたアルティメットハイクス社に向かった。目的地のステーションビルは、VUDUからはほんの十分程の距離である。長月壱拾九日 辰之刻 之頃アルティメットハイクス社に着いたのは8:00を廻った頃。昨日御庭番が美人のこずえさんに薦められるがままに帽子だの足袋だのを購入した登山用品店の前には異様に元気な年寄りの軍団が群れを成していた。御庭番は、カレー臭が漂うハイテンションな老人の群れをかわしながら、ステーションビルの中へ。すると、MEGUMIと森三中の村上知子と亀田大毅を足して八で割った様なチビっ娘が出てきた。「あのー・・・」「あー!麻生さんですねー!おはよーございまーす!!」と、朝から凄い元気な娘である。しかもこちらから名乗る前に勝手に名前呼ばれました。『あー、・・・。』「あ、ごめんなさーい!私今日から皆さんにくっついて行くTOMOYOです!ヨロシク~!!」・・・・・(゜ー゜;)。。。ごめんよTOMOYO・・・御庭番こずえさんと一緒に四泊五日の旅に出かける夢見てました(T▽T)。御庭番の淡い期待は物の見事に打ち砕かれたが、トモヨと名乗るチビっ娘日本人女性ガイドの異様なまでのハイテンションに、昨日の夜の出来事と朝早いことで少々滅入っていた御庭番は何故か突然もよおしてしまったので、『あー、すみませぬが厠は・・・。』「お手洗いですかーっ!あっちですー!」御庭番はトモヨちゃんの指差す方向に向かった。朝の定期便を済ませた御庭番が再び集合場所に戻ると、何時しか大きな観光バスが店の前に横付けにされ、バスの横っ腹に参加者の荷物がどんどん運び込まれている。御庭番も背中に背負った背嚢を運転手に預けた。昨夜確認した旅程表だと、ミルフォードトラックがあるフィヨルドランド国立公園の玄関ロ、テ・アナウまではバスに揺られて一刻半程度かかる。車内で呑む飲料を買おうとステーションビルの中に入った所で、またあの元気なチビっ娘にとっつかまった。「あそーさーん!これ着けて下さーい!」と言って渡されたのは”YURINOSUKE”と書かれた名札。参加者の交流を図る為、全員がこのファーストネームを記した名札を着けるのだと言う。御庭番は童の頃から名札が大ッ嫌いなのだが、Do in Rome as Romans do なので、身に着けることに。自動販売機があるか尋ねたが、「ニュージーランドは自動販売機ありませんよー。」と言うので断念し、バスに乗り込んだ。バスの中は既にガイジンで一杯。年齢層は高く、パッと見、平均年齢伍拾伍歳超。遅刻する不届者も無く、バスは定刻通りに出発。発車するとすぐに運転手が何やら喋っている。時折老人軍団が喝采を上げているが、御庭番にはサッパリわかりません。と、思ったら先程のトモヨちゃんがマイクを持ち始め、運転手の話を日本語に訳してくれた。バスはクィーンズタウンを出てテ・アナウへ向かっている。所要時間は2時間程度であり、途中、モスバーンで休憩を取った後、テ・アナウで記念撮影をして、他のガイドと合流し、フェリーでテ・アナウ湖を渡って、ミルフォードトラックの出発点に向かうと言う。喝采が上がったのは、今日の天気が”曇り後晴れ”と言う行であったのだろう。バスの中で御庭番は独り、ずーっと窓の外を眺めていた。クィーンズタウンを出てワカティプ湖沿いにバスは走る。途中荒野の様な広い牧場の羊や鹿、牛の群れや黄色の花が目に鮮やかな、満開の金雀枝(エニシダ)の輝きに驚きながらバスに揺られて、御庭番は何時しか眠りについてしまった。ガヤガヤと言う音で御庭番は眼を覚ました。どうやら休憩場所のモスバーンに着いたらしい。御庭番も一旦降りてドライブインで水を購入。外で一服していたら何やらガイジン共が御庭番の方を見て目を円くしている。どうやらこのツアーに参加している中で喫煙者は拙者だけらしい。クィーンズタウンでも街中には灰皿スタンドが等間隔で設置されていたので、てっきり喫煙者に優しい国かと思っていたが、これはポイ捨てをさせない為の配慮だと言うことは後で知った話。何とも気まずい中、御庭番は再びバスに乗り込んだ。モスバーンから一時間程でテ・アナウに到着。モスバーンでは曇っていて肌寒ささえ感じたものだが、テ・アナウに着いた頃には空は晴れ、むしろ暑く感じた程。御庭番とジンガイ軍団御一行様は、ここで昼食タイムである。御庭番は朝餉をたらふく食っていたので余り腹は減っていなかったのだが、テ・アナウ湖の畔のロッジに入った。入口の席に腰掛けたら、日本人夫婦の二人の他、中年ヤンキー御一行様参名(♀♂♀)と一緒の席になってしまった。御庭番、ジンガイと同じ席で食事するの初体験でございます。会話が続くか心配だったが、とにもかくにも食事を採る事にした。一緒に座った中年ヤンキーは男性がマイケル、女性はジルとソフィアと言った。三人は仕事仲間でオーストラリア在住だと言う。どう言う仕事なのか具体的には教えて貰えなかったが、マイケルは筑波万博の時に日本に来たことがあると言う。因みに日本人夫婦は茨城在住のMASAJIさんご夫婦。御庭番が話のついでで、『この中じゃ、拙者が一番若僧でござろうな。』と言ったら、「私、参拾歳ですけど。」とMASAJI嫁がちょっとムッとしてました(^▽^;)。日本人ともヤンキーともまだ打ち解けることのできない御庭番、カタコトの英語で挑戦したものの、やっぱり会話が続きません。昼食もそこそこに御庭番は外に出て、テ・アナウ湖を眺めることに。テ・アナウ湖はニュージーランドの南島では最大、国内でも北島のタウポ湖に次いで2番目に大きい湖である。時間を追う毎に空は晴れ渡り、向こう岸にはケプラー山脈、マーチソン山脈の峰々が連なっていた。御庭番はまだ指定時間には早かったが、集合場所へと戻った。食事の後は全員で集合写真を撮影する予定であった。「あそーさーん!夕ご飯の選んで下さ~い。」声のデカイトモヨちゃんに促されるまま、御庭番は渡された紙に書かれているメニューを見た。今夜の宿・グレイドハウスでの夕食は肉か魚のいずれかを選ぶことができる。御庭番は肉料理を選択し、集合写真の撮影場所へ。ヤンキー共の中でも御庭番は背が高い方なので、一番後ろへ。すると御庭番達が乗ってきたバスに横付けする様にして別のバスが停車した。どうやら御庭番達の前に開催されたトランピングのメンバーが戻ってきたらしい。バスからまず降りてきたのは♂のヤンキー。続いて二人、♀のヤンキーが降りてきて、トモヨちゃんとハグしている。彼らもまた、アルティメットハイクス社のガイドで、四泊五日のトランピングが終了したばかりだと言うのに、続け様に御庭番達のツアーに参加する為、ここテ・アナウで合流したのだった。後から来たガイド仲間との挨拶が終わると、ともよちゃんは、これから集合写真を撮る御庭番達の人数を数え始めた。集合写真に来ていないメンバーがいないか確認した訳だが・・・「あれー?おかしぃなぁ・・・1、2、3・・・・あれー?」ともよちゃんてば一生懸命数えてますが、何度数えても数が合わない様です。御庭番は実はその謎を知っていたのだが・・・オモロイから黙ってました(⌒∇⌒)「おかしー!人数が多いー!!」トランピングの参加者はトモヨちゃんの反応を不思議に思い、自分達の周囲をキョロキョロと見回していた。御庭番は腕組みをしたまま台の上に佇立していた―。腹の底で笑いながら(⌒∇⌒)(悪)さてさて、参加者が一人多いと言うホラー映画か心霊写真紛いのこのアクシデントの真相はいかなものでありましょうか。続きは続きをご覧下さい。
2007年12月24日
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知らない街を 歩いてみたいど~こか遠~くへ 行き~た~い♪知らない海を~ ながめて~い~たい♪ど~こか遠~くへ 行き~た~い♪遠~い~街~♪ 遠~い~海~♪ 夢~は~る~か~ 一人旅~♪麻生百合之介世界の旅~君は南の空にウソ十字星を見たか~ 其の五長月壱拾質日 亥之刻 之頃日中は汗ばむ程の陽気とは言え、陽が落ちれば暖房を入れる程温度差が激しいクィーンズタウン。御庭番は、ホテルのバルコニーで途方に暮れていた。時刻は既に23:00。幾ら陽が落ちるのが遅いとは言え、人通りは日中のそれと比べればめっきり少ない。ニュージランドに着いたその日から、窓ぶっ壊して部屋に乱入するのも憚られるので、御庭番は何とか穏便にこの危機を脱しなければならなかった。ふと、下を見ると、1階下のバルコニーに人影が見える。どうやら1階のバルコニーは、部屋続きになっているらしく、人影は階下の宿泊客と思われた。だが、日本人ではありません。どうやってこの状況を説明して助けを呼んだらいいか、迷った挙句へぃ!へるぷみーさー(T▽T)!!と大声で叫んでみたのでござるがシカトしやがったぞこのジンガイめが。2、3回声を掛けたが、気がつかないフリして部屋に戻ってしまいました。(あんなに目と鼻の先にいたのだから聞こえねー筈がねー。)他にもホテルの前の通りを歩いていたヤンキーに声掛けてみたのだが、誰も気づいて下さりません(T▽T)。こうしている間にも時間は刻一刻と過ぎて行き、半袖シャツ姿の御庭番の身体はしんしんと冷えて行った。(やばい・・・このままでは本当にこの場で一夜を明かすことになってしまう・・・(ーー;)。。。)明日の集合時間は8:30。その時間までに今日の説明会が開催されたアルティメットハイクス社に行かないと、この旅の最大の目的であるミルフォードサウンドのトランピングに参加できません。それより何より、この寒さに耐えて寝るのイヤ過ぎだろ。(この状況では最後の手段を選ばなければなるまい(--;)。。。。)御庭番は遂に腹を括り、ある方法でこの状況を脱出することに決めたそれは―バルコニーから下の階に降りて行くしかないじゃん。御庭番はバルコニーの横に上の階から下に伸びている雨樋を掴んだ。御庭番の体重に耐え得るか不安であったが、思った以上にしっかりしていたので―脱出開始。3階から2階のバルコニーまではおよそ3m程度の高さ。山登りのフリークライミングからすれば、この程度の高さを降りることは御庭番には容易であった。むしろ問題になるのは人に見られやしないかと言うことです。だが、幸いなことに深夜であったので、往来の人通りは少なく、時折ホテルの前をヘッドライトを点した車が物凄いスピードで走り去って行くのみ。無事階下のバルコニーに下りた御庭番、しかしここで新たな問題が。雨樋何処(T▽T)?2階のバルコニーは複数の部屋に跨る広いテラスの様になっていて、そのテラスの周囲を囲う様にして、排水溝があるのみ。御庭番が降りたのはテラスのど真ん中で、5部屋の内、2部屋はまだ室内の照明が点いている。テラスをウロウロしながら雨樋を探したりしていたら、挙動不審人物として、警察に通報されてしまいそうです。かと言って、テラスから勝手に他人の部屋に入って行ったらただの変態だろ。どっちにしても明日のニュージーランドの新聞のベタ記事に載ってしまいかねません。その時、御庭番は閃きました。非常階段って無い(゜▽゜;)?これだけ大きなホテル。テラスも広いのだから、きっと非常階段もある筈。右か左か迷ったが、御庭番の部屋の位置からして近いのはホテルに向かって右の方。しかし、左側の部屋は二つとも明かりが漏れているじゃあーりませんか(T▽T)。しかし、ここでまごまごしている方が危うい。御庭番は、ここでも苦渋の決断をしなくてはならない!!さあ、行くぞ!!の 惨!!(頼むから”惨め”と読んでくれるな)御庭番は風の様に広いテラスを横切り、テラスの端っこまで人に気づかれずに辿り着くことができた。が―今度は非常階段がありません(T▽T)。(嗚呼・・オチまみれの人生)(こ、ここまでかっ(T▽T)!!)と思ったが、よく見ると、手摺りが付いている壁の向こう側に暗くて良く見えないが、階段の様な物が見える。どうやら影の中の階段は下の階まで続いているらしい。その暗闇の中にぼんやりと見える階段に降りる為、御庭番は手摺りを果敢に乗り越えた。ここまで来たらもう一か八かではない。やれるのかーッ!をいっ!!と言う気持ちである!!・・・でもね―。脚が届かなかったんだなコレが(T▽T)レセプションがあるB1階は、ホテルのロビーがある為、宿泊フロアより階層が高いのです。恐らく6m以上の高さであったでしょう。こっから落っこちたら間違い無く骨折します。(ニュージランドまで来て骨折ってトランピング参加しなければこれがホントの骨折り損)御庭番は両手でテラスの手摺りを掴んだまま、必死で脚を伸ばしてもがいていた。しかし、無情にも脚は地面に触れることができない!!もう駄目かと思った時、暗闇に慣れた御庭番の眼に―(あ、あれは・・・(T▽T)。。。!!)綺麗なお花が見えるじゃありませんか。最初は暗かったので良く見えなかったが、どうやら御庭番が飛び降りようとした階段の所は花壇になっているらしい。花の位置からして、足元の花壇までは残り50cm程度。地獄に仏とは良く言ったモンだ。御庭番が勇を鼓舞して、己の全体重を支えていた掌を離すとあっさりと着地。そのまま階段まで飛び降り、正面の入り口まで廻って、レセプションのカウンターに飛び込んだ。『ぃ・・・ぃくすきゅーずみぃ。まぃ るぅーむず ばるこにー ぃず ろっくど。いてぃず のっ ぽっしぼー つぅ えんたぁ だ るぅむ。ぷりーず れんと みぃ あなだきー?』血相変えて外から飛び込んで来た半袖漢に、レセプションのシンディーは最初怪訝な表情をしていたが、事情を理解したらしく笑いを堪えながら新しい鍵を作ってくれた。こうして御庭番は222号室の新しい鍵を手に入れ、よーやっと奇蹟の生還を果たしたのである。部屋に戻って室内に置いてあったルームキーを持ち、新たに作って貰った鍵はレセプションに返して、再び魔の222号室に戻った御庭番は、事件の現場検証を行ったのだが、バルコニーに続く横引きの扉は、上から下にハンドルを下ろして施錠するタイプでは無く、下から上にハンドルを上げて施錠するタイプつまり―何回やっても勝手に施錠されることはありませんでした(T▽T)(・・・・もう寝よう。。。)時計の針は0:00を廻っている。御庭番は全てを忘れる為に日本から連れてきたトモダチのシーバスリーガルを呑んで泣きながらベッドに潜り込んだ。こうして御庭番のニュージランド一日目の夜は更けて言ったのであった―。
2007年12月18日
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知らない街を 歩いてみたいど~こか遠~くへ 行き~た~い♪知らない海を~ ながめて~い~たい♪ど~こか遠~くへ 行き~た~い♪遠~い~街~♪ 遠~い~海~♪ 夢~は~る~か~ 一人旅~♪麻生百合之介世界の旅~君は南の空にウソ十字星を見たか~ 其の四 長月壱拾陸日 未之刻 之頃 ホテルに到着して一息つく間も無く、御庭番はニュージランドから祝電を打つ為、クィーンズタウンの中心地目指して突っ走っていた。ミッションコンプリートの為に御庭番に与えられた時間は30分。時間内に郵便局を探し出し、不慣れな英語で電報を打たなければならない!! クィーンズタウンは風光明媚なリゾート地であるが街自体は非常に小さく、半径2km以内にほとんどの行政施設や飲食店が集中している。が、この街には信号がねぇ。横断歩道の位置を示す円いオレンジ色の板が付いているポールが立っているだけで、最初戸惑ったが、車の往来がそれほど激しくなかったので通りを横切りつつ、目的の郵便局を目指した。街の中心には小さな時計台があり、元郵便局があったのはその近くで、なるほど、確かに建物の解体工事中であった。御庭番はホテルで貰った地図を頼りにその近辺を捜したが、どうにも見つからない。やっと見つけたと思ったらアッサリ再移転しており、ようやっと再移転先の郵便局を見つけた時はもう15:40を過ぎていた。 ”POST OFFICE”と書かれたドアを開けると、カウンターの向こうに局員らしき若いネエちゃんがいるのだが、間の悪い事に御庭番の前に並んでいたバアさんに対応中であった。 『 きゃんにゅぅ どぅ ぞぅ うぉんっとぅ せんど じゃぴゃぁん てれぐらふ?』 と尋ねると、パツキンのネェちゃん、無愛想な表情で、 「No, it doesn't handle it here.It is already an end today.」 はい、終~了~(T▽T) 街を行き交う人々が長閑に歩いている中、必死の形相で走り抜けて行った御庭番の努力は徒花に終わったのであった(T▽T)。 生来の無計画さが祟って、サプライズ計画に向けた努力も徒労に終わった御庭番。ホテルに戻り、電報は国際電話で御奉公先の部下に代理発送して貰うことにして、今度は明日からのトランピングを主催するアルティメットハイクス社の説明会に行かなければならなかった。再び街の中心部へ向かったのだが・・・今度も場所がよく判りません(^▽^;) 旅行代理店から貰った地図には、”ステーションビル”と書いてあるのだが、電車なんか走ってないじゃんこの街。地図を見ながら歩いて行って、近くまで来ている筈なのだが、已む無く通り沿いに泊まっていた観光バスの運転手のオジサンに尋ねたら、時計台の手前のビルだと言う。御庭番は運転手のオジサンに礼を言って、目指すステーションビルに向かった。 説明会場には5分程遅刻して到着。受付がある2階に上ると、立看板が。説明会場に入ろうとしたら背後から、 「参加者の方ですか?」 と言う声。御庭番が振り向くと、美女が微笑みを浮かべて立っている。 『遅れて誠に申し訳ござらぬ。拙者・・・』 「麻生様ですね。お待ちしておりました。申し訳ありませんが、先に説明会を始めさせて頂きました。今DVDを流している所ですので、麻生様には後程同じDVDをご覧頂きます。少々お待ち下さい。」 静かな口調でそう説明するのはKOZUEと言う日本人の女性。どうやら彼女もアルティメットハイクスのメンバーらしく、ロゴの入ったユニフォームを着用しているのだが、服を着ていてもそれと判る程スリムな体型で、如何にも女性らしいプロポーションを維持したままダイエットしていると言う感じの健康的な美人であった。 15分後、こずえさんに促されて御庭番は説明会場へ。部屋の中には夫婦と思しき中年の男女が二組。御庭番は少し離れた席に腰掛け、こずえさんの説明を受けた。 アルティメットハイクス社が主催するガイド付ウォークは、山小屋では無くロッジに宿泊し、道中の食事はおろか、トランピング途中に食べる携行食まで用意して貰える。参加者は雨具や防寒具のみ持てば良く、コースの大半は川沿いの道を歩くので、水さえほとんど持たなくて良いと言う、日本の登山からしたら信じられない程至れり尽くせりのサービスであった。 2、3の質問をした後、先に説明を受けた四人は退室し、御庭番は一人部屋に残ってDVDを観覧。終わりになってこずえさんが入って来て、2、3の注意事項を受けて説明会は終わった。御庭番はこずえさんの薦めで、階下の登山用品店で帽子と防水スプレー、宿泊するロッジで履く足袋、そして最も重要な虫除けクリームを購入。ニュージーランドの山にはサンドフライと言う蚋がおり、これに噛まれると大きく腫れて強烈な痒みに襲われる。御庭番は日本の虫除けスプレーが効かないことを知っていたので、現地で購入したのだった。ちょっと高めだったが、日焼け止め効果がある虫除けクリームを購入。ニュージーランドは南極に近い為、陽射しは日本の約七倍もあるのである。 御庭番が買物を終えると、肩から鞄を提げたこずえさんが階段を下りてきた。仕事が終わったので帰るのだと言う。御庭番は、こずえさんに改めて遅刻したことを侘び、図々しくもこの近辺で何処か旨いモン食える店は無いか尋ねた。 「この辺ですとブリタニアが美味しくて有名です。でも、混みますから早めに行った方が良いですよ。」 『左様でござるか。それは良いことを聞き申した。それでは19:00頃にはこの店に行くことにします。』 と言って分かれたのだが、よく考えたら、御庭番が遅刻した所為でこずえさんを残業させてしまった様な気が・・・。お詫び方々食事に誘えば良かったと、後で猛烈に後悔したのであった―。 いつもの御庭番なら現地のスーパーマーケットで食材を購入し、貧しい食事に耐えるのだが、今回は違います。美人のこずえさんに教えて貰ったH.M.S ブリタニアを捜し求めて、御庭番は三度街の中心部へ向かった。 で、やっと見つけましたブリタニア。 ブリタニアは中世イギリスの帆船を彷彿とさせるインテリアが特徴のニュージーランド料理店であるが、漢独りには少々不釣合な店。しかしながら、美人のこずえさんお奨めの店とあれば入らない口は無い。御庭番が店員に独りであることを告げると、店員は階下の二人席に案内してくれた。席に着くなり御庭番はビールをオーダーし、メインにステーキとサイドメニューにクラムチャウダーとガーリックトーストを頼んだ。オーダーの際に肉の焼き方からソースの種類、サイドに付くサラダのドレッシングからクラムチャウダーを出すタイミングと細々聞かれたのだが、英語で質問されてくるのでよく判りません。 ビールの後、メインを待つ間に白ワインを追加。ニュージーランドはワインの産地としても有名なのである。続いてトーストとクラムチャウダーが来たので食するが、これがバカうま。丼の様な器に入っていたのもアッサリ平らげてしまい、メインの肉料理もガッツリ頂いた後、食事が終わってふと階上の席を見ると、先程のウェイトレスが日本人のカップルのオーダーを取っていたのだが、日本語ペラペラだぞ、おい(--;)。 どうやら彼女は日本人らしく、逆に御庭番の方が中国人か韓国人に間違われた様です。何で御庭番の様な超・日本人を間違えるのか、一遍聞いてみたいモンである。 勘定を払って店を出るが、ブリタニアのあるThe Mall st.は、パブ等が並ぶ飲食店通り。通りにはオープンスタイルの席に銘々腰掛けて酒を煽るヤンキー共の群れで一杯。御庭番は腹一杯なのでもう酒を呑む気も無く、歩いてホテルへ向かうことにした。途中ワカティプ湖の桟橋で湖の波音を聞いていたのだが、 これで21:00ですぜ? 緯度が高いので陽が完全に落ちるのは、この時期22:00を過ぎ。五時から漢の御庭番には嬉しい限りだが、翌日の集合は8:00。大して早くないと思われるかも知れないが、時差を考えると日本なら、4:00である。一時間前に起きて準備すること考えると、やはり早く寝る必要があったので、御庭番はホテルへ戻ってさっさと寝る事にした。 宿に戻って携帯糸電話の電子飛脚で日本の部下に堀衛門宛ての祝電の文面を送り、翌日以降の準備を済ませたら、既に23:00を廻っている。御庭番はホテルの部屋からバルコニーに出て、寝る前に最後の一服をすることに。流石に陽は完全に落ちて、ワカティプ湖の波音だけが聞こえる静けさの中―。事件は起こった御庭番が煙草を吸い終わり、バルコニーから部屋に戻ろうとしたその瞬間―。ガチャッ!(・・・・(-- )?)ガチャガチャガチャ!(・・・(--;)?・・・)ガチャッ!ガチャガチャガチャッ!! 何故鍵がかかってるんだバッキャロー(T▽T)部屋には御庭番以外の人間は当然誰もいない。つまりー ロックアウトですか?(T▽T) 外は初夏とは言え、日本で言うなら北海道と同じ様なもの。寝る前で半袖シャツにGパンの御庭番、このままでは凍え死んでしまいます。携帯糸電話も部屋の中で、御庭番救いを求める術がございません。 (何故・・・) 外国に来てまでこんなメに遭うんでせう(T▽T) さてさて、『御庭番笑劇の一夜』はどの様になりますでしょうか。続きは次回をご覧下さい。
2007年12月16日
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ニュージーランドは日本から東南へ約9000km離れた南太平洋に浮かぶ島国である。日本からニュージランドへのフライト時間は壱拾時間超。腰痛持ちの御庭番にはいささか不安な旅程であったが、御庭番は狭いシートに座り、只管飛行機が到着するのを待ち続けた。機内で夕食と朝食が出たが、御庭番が搭乗している飛行機には、日本人とニュージーランド人のアテンダントが同行していたものの、オバンで愛想の悪い女給ばかりで、余り快適な空の旅とは言えない旅であった。 朝食を食べ終わると、日除けを下ろした窓の隙間から光が挿し込んでいる。御庭番が日除けを開けてみると―ニュージーランドの風景が眼下に広がっています。 ”ご搭乗の皆様、おはようございます。只今より入国カードをお渡ししますので、機内にて記入をお願い致します。” 御庭番は旅行代理店から入国カードを貰っていて、既に記入済み。隣の席の日本人のオバハンが書き方が判らない様子なので書き方を教えた後は窓の外の風景に視線を落した。飛行機は晴れ渡るニュージランドの空を悠然と飛び、やがて高度を下げ始めた。眼下に広がるのは初夏の陽射しを受ける広大な平野と、大きな湖沼と川。都心部は整然と区画された道路と建物が目立つが、都市を外れると明らかに違う光景となる。間も無く飛行機は着陸の衝撃を感じること無くランディングした。 ビジネスクラス組を優先的に降ろした後、続いて貧乏人共もこぞって出口へ。ARRIVALと書かれたゲートをくぐると、オークランド国際空港の長い廊下を抜け、御庭番は入国審査を受ける為にIMMIGLATIONへ。他の便で到着していた乗客が既に列を成しており、御庭番はパスポートと入国カードを持って列の後ろに並んで順番を待った。無愛想な入国審査官の質問に片言の英語で回答すると、パスポートに許可印を押されて無事通過。続いてBAGGAGE CLAIMの”NZ90”と言う表示の前で待っていると、預けた荷物が流れて来た。御庭番は荷物を取り上げて続け様に検疫を受ける為、QUARANTINEに並んだ。 「Good Moning. Do you have something food?」 『のー。あいひゃぶなっすぃんぐ。』 「OK.Turn back please.・・・lift up the foot and show your shoes.・・・Good.Welcome to NewzeaLand.」 『せんきゅー。』 検疫も無事通過。そして―遂に御庭番はニュージーランドの地に降り立ったのである! とは言え、オークランドはあくまで通過点に過ぎない。御庭番はここから更に国内線に乗り換えなければならなかった。出発までまだ時間もあるので空港のロビーを出て一服していると、目の前に何かの像が立っている。この像のある所から国内線のターミナルへ向かう無料のシャトルバスが出ていることに気が付いた御庭番は、ロビーに戻った。オークランド空港は国際線ターミナルと国内線ターミナルが1kmも離れているので、シャトルバスに乗って移動しなければならない。空港の周辺は何も無いので、さっさと国内線への乗り換え手続きを済ませてしまおうと思ったのである。国内線の乗り換え手続きもすんなり完了し、御庭番はシャトルバスの乗り場へと戻った。長月壱拾陸日 巳之刻 之頃 先程の像の前で暫く待っていると、やがてシャトルバスが来た。他の乗客は無く、御庭番の貸切状態である。10分も経たない内に国際線のターミナルへ到着。オークランドは港町として有名な為、国際線にはヨットの帆を模したモニュメントがあったが、国内線の建物は国際線と比較して簡素な造りである。時間潰しするなら暫く国際線のターミナルで過ごした方が良かったかなとちょっと後悔したが、戻るのもバカバカしいので、国内線の空港をプラプラ歩いていると、前から来た中国人らしい女性が、英語で何やら話し掛けて来る。どうやらトイレを捜しているらしい。御庭番は一通り空港の中を歩いてトイレの位置を知っていたので、場所を教えてやったのだが拙者も同じオノボリサンなのに何故何処へ行っても他人に道を聞かれるのか不思議だ(--;)。御庭番は国外に行くと明らかに日本人で無い人に道聞かれたりする。日本でも外国人によく道聞かれる。GジャンGパン手ぶらのイデタチではとても旅行者には見えないのも無理は無いが・・・。 一時間程時間を潰していたら、やがて搭乗手続き開始のアナウンスが流れた。御庭番が搭乗する飛行機はまだ到着していなかったが、さっさと身体検査を済ませて搭乗ゲートへ。搭乗口の前のロビーには誰もいない。またも貸切状態のロビーで、ソファーに横になって飛行機の到着を待った。すると、エスカレーターを上がって来たオバチャンが、慌てた様子で従業員専用の扉をガチャガチャやっている。徒事ならぬ様子なので、御庭番が、 『めぃあぃひぇるぷゆー?』と声を掛けると、 「Yes, it searches for the lavatory. 」またトイレのご案内かい(ーー;) 御庭番が現在地から近いトイレを教えてあげると、オバチャンは小走りにトイレに向かって行った。それから一時間程経って飛行機が到着。御庭番は今度は通路側の席に座ることに。飛行機は定刻通りに出発した。さあ、次は”女王陛下が滞在するに相応しい街”Queen's Townだ!!長月壱拾陸日 未之刻 之頃 クイーンズタウンへは2時間のフライトである。窓側にはどうやら国外から来たと思われるヤンキーのカップルが座っていたが、やがて、 「Oh! Beautiful Sight!」 と窓側に座っている女が声を上げた。声に誘われて御庭番が窓の外に視線を向けると、OH!ワンダホー!! ニュージーランドは師走からが本格的な夏。つまり長月の今頃はまだ初夏である。初夏の山と言えば、残雪が日増しに強くなって来る陽の光を浴びて輝きを増す時期であり、山を愛する漢には辛抱堪らん光景であった。 やがて飛行機はクィーンズタウン空港の滑走路に滑り込む様にして到着。オークランド空港の時とは違い、御庭番は到着口から直接BAGGAGE CLAIMで荷物を受け取って、空港の外へ。クィーンズタウンも快晴でございます。 陽射しは強いが風は快地好く、御庭番の足元に寄って来る雀は日本の雀よりも一回り大きく、囀る声も何処と無く違う。御庭番が今夜泊まる宿はワカティプ湖の畔にあるリッジス。クィーンズタウン空港からはそう遠く無い距離だ。 タクシーを利用することにした御庭番は、乗り場に向かうと先頭で待っている女性ドライバーのタクシーに乗り込んだ。 「Where Do you come from?」 『とーきょー、じゃぴゃぁん』 キャシーと言うドライバーは気さくに話しかけてくるが、こちとら公式には英検4級の英語力で余り会話は上手く続きません。 「sightseen?」 『ぃやぁ。あぃる じょぃん とぅ ざ みるふぉど とらっくず とらんぴんぐ。はぅ あばぅつ つもろぅず うぇだー?』 「I think that it is fine.」 『ぐぅっど。あぃ ぅぉんとぅ ぅぃっしゅ そぅ』 キャシーは途中、”スカイラインコンプレックスから見るクィーンズタウンの景色が良い”と教えてくれたが、御庭番は早く宿に着きたかったので、『5日後に戻ったら行く。』と告げて、そのままホテルへ直行して貰った。 ホテルに到着してタクシー代を払い、ホテルのレセプションへ。旅行代理店からバウチャーを得ていたので、その予約確認書とエクスプレスカードを提示して、部屋のキーを貰った。この日のルームNo,は222。2階と言いながら、レセプションとロビーが地下1階なので、実質的には3階と言うことになる。そしてこの部屋である事件が起きるのだが、この時、御庭番はそんなことは露知らず、部屋の中に入ると荷物を紐解いて、旅行代理店から貰った資料に再度眼を通した。今日はこの後、トランピングを主催するアルティメットハイクス社に行って、明日以降の山行の説明を受けることになっている。 しかし、説明会は17:00からで、まだ時間がある。御庭番は胸に秘めていたあるミッションを遂行する為、部屋を出てレセプションへと戻った。 『いくすきゅーずみー。あーひぁー じゃぁぴゃにぃず すぴぃかー?』 シンディと言う受付嬢にそう言うと、奥の部屋からキョウコと言う日本人受付嬢が出てきた。 『あのー、日本に電報を打ちたいのだが、こちらでお願いできまするか?』』 そう、振り切って来たものの、やはり上士・堀衛門の華燭の典に華を添えるべく、御庭番はテレグラフ フロム ニュージーランドを企んでいたのである!! 「え?電報ですか?こちらでは取り扱っていません。」 想定内の返答であったので、 『では、近くに郵便局はござらぬか?直接出向く程に。』 と、大した英語力も無い癖に、御庭番は無謀なことを言った。キョウコはシンディと何やら話し込んでいたが、やがてカウンターに戻って来てこう言った。 「あのー、郵便局は街にあるんですけど・・・今工事中で場所が少し離れた所に移ったんですよ。今日は土曜日なので16:00で終了の筈なんですけど。。。」 ・・・・・(゜ー゜;)16:00ですと(T▽T)? 現在15:20分。つまりあと30分しか時間がございません。御庭番は慌てて郵便局の場所を聞いてホテルを飛び出した。明日から5日間は山の中。そしてニュージーランドから電報を送る場合、3日の時間を要する。つまり、今日を逃すと電報遅れません。 御庭番は長旅の疲れも吹っ飛ばす勢いでホテルを出て、街の中心部へ突っ走って行った―。
2007年12月15日
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知らない街を 歩いてみたいど~こか遠~くへ 行き~た~い♪知らない海を~ ながめて~い~たい♪ど~こか遠~くへ 行き~た~い♪遠~い~街~♪ 遠~い~海~♪ 夢~は~る~か~ 一人旅~♪麻生百合之介世界の旅~君は南の空にウソ十字星を見たか~ 其の壱 長月壱拾五日 午之刻 之頃 ”ショチョー”と呼ばれる上士・堀衛門の華燭の典に出るべきか、それとも思いつきで決めたニュージーランド決死行を敢行すべきか悩みながらも、御庭番は着々とニュージーランド行きの準備を進めていた。久方振り山行、しかも初の海外登山(と言う程の所でもないが)のことであったので、準備は万端にする必要があったのである。ニュージーランドは入国に際して、食物でも種子類を持ち込むことはおろか、靴に付いている泥を国内に持ち込むことすら禁じられている。御庭番は長年の相棒であった登山靴も思い切って新調し、日本とは季節が真逆の気候に対応するべく、登山用のズボンや水筒まで新調して、投資金額は日に日に膨らんで行った。 更に伍日間御奉公を連続して休むからには、やるべきことはやっておいてから国を出なければならないので、いつにも増して毎日毎日残業残業雨残業のやっつけ仕事で仕事を消化していた。 毎月恒例の御蔵米の算段も終わって―。遂にその日はやって来た。 『よし、こんなモンでござろう。』 背嚢に必要最低限の装備を詰め込んで、御庭番は足慣らしの為に新調したばかりの登山靴を履き、全身オノボリサンなイデタチで草庵を出た。御庭番が搭乗する飛行機はニュージーランド航空のオークランド直行便。成田空港第弐館から出発する。御庭番は生まれて初めて成田エクスプレスに乗り、一路成田空港へ。NEXと車体に印字されているその列車は、御庭番がこれまで一度は乗りたかった車両。車内では特に何事も無く、大都会御江戸の風景が、段々寂れた農家の風景に変わって行くのを見ていると、旅の始まりを実感したモンである。 昼過ぎに出て、成田空港に到着したのが未の刻頃。空港の地下で遅い昼飯を採った後、御庭番は海外でも通話ができる携帯糸電話を予約していたので、窓口へ向かうも、予約をしていた場合は、自動貸出預函があるので、そこで簡単に借りることができた。何でも手軽な世の中になったモンである。 御庭番が今回の旅行を申し込んだ旅行代理店の定める待ち合わせ時間は申の刻。まだ少々時間がある。 (そー言えば旅程表を確認しておかなければ・・・) 忙しさに感けて、旅程表を確認することも満足にしていなかった無計画な御庭番は、今回の行き当たりばったりな旅行を改めて確認した。元々はミルフォードサウンドの他にフォックスグレイシャー(氷河)も行ってトランツアルパインにも乗りたかったが、日程的に厳しいと言う旅行代理店の言葉に従って、泣く泣く氷河歩きと世界の車窓から的な乗り鉄を諦めて、ミルフォードサウンドのトランピング(ニュージランドではトレッキングのことをこう言う)一本に絞った旅になっていた。 一通り旅程を確認した後、最後に今日出発する飛行機のフライト時刻を何気に見てみると、酉の刻になっているじゃあーりませんか。 後参時間も何しようか(--;) 成田空港の真ん中で御庭番は手持ち無沙汰に佇んでいた。長月壱拾五日 申之刻 之頃 空港の中を散策したり、煙管を吸ったりして時間を潰していると、やがて待ち合わせの時間に。御庭番は指定された窓口に行き、愛想の悪い受付嬢から航空券を受け取ると、空港会社の窓口へ。世間は平日だと言うのに空港の窓口は長蛇の列。しかもババアばかりで若い娘がほとんどいません。年寄りは日本国内では礼儀にうるさい癖に海外のマナーを知らん輩が多いので、御庭番は少しうんざりしていた。 ニュージランド航空の窓口での手続きも、今はインターネットの普及により、簡単に済んだ。御庭番は再び空港のロビーに戻ると、朋友に電子飛脚を送ったり、煙管を吸って時間を潰していた。やがて―。”成田空港発ニュージランド航空90便オークランド行に搭乗のお客様、間も無く搭乗手続きを開始します。” と言うアナウンスが。御庭番は待ってましたとばかりに立ちあ上がり、出国審査を受ける。身に付けている金属類を外して金属探知機のゲートを潜り、一発で通過。搭乗ゲートは第弐旅客ターミナルから離れた所にあるので、シャトルに乗って搭乗口へ。まだ時間があったので、伍日間分の煙草を買い、旅の御供に酒を買った。友の名はシーバスリーガル。ジャックダニエルと並ぶ御庭番の”トモダチ”である。御庭番はトモダチを手に携えて、搭乗館の中の喫煙室へ。喫煙室の中には様々な人種・国籍のスモーカーが紫煙をくゆらせていた。御庭番が空いている席に座って煙管を吸っていると、隣のベトナム人がライターの火を着け辛そうにしている。御庭番は懐から火打石を取り出し、ベトナム人のオッサンに渡した。『ぷりーず。』「Oh,Thank you」 ベトナム人のオッサンはグエンさんと言って、日本に商用で来たのだと言う。一箇月程滞在して色々な工場にアタリを付けたが、目ぼしい収穫は無かったと言っていた。グエンさんは御庭番に火打石を返そうとしたが、御庭番は、『いっつぷれぜんととぅゆー』「Are not you embarrassed?」『あいひゃぶあなざーぴーす。でぃすわん。』 と言って、御庭番はもう一つ持っていた火打石を見せて、グエンさんを安心させた。グエンさんは礼を言ってその場を立ち去った。ただ、グエンさんが立ち去った後で御庭番が気になったことが一つ。そう言えばターボライターって飛行機に持ち込んじゃいけなかったんじゃなかったけ(^▽^;)? まあ、搭乗口にいる以上、もう出国審査は通っている訳で、御庭番も通過して来たんだから大丈夫だとは思うが・・・ベトナム国内の事情についてまでは感知しておりませんので、あしからず(悪)長月壱拾五日 酉之刻 之頃 待ち合わせの間ムダに時間を費やしていると、やがて搭乗ゲートの番号が表示され、搭乗が始まった。ビジネスクラスの御大尽の搭乗が優先され、貧乏人のエコノミークラスは後。御庭番は貧乏人軍団の先頭を切って飛行機に搭乗。窓側の席に腰を下ろした。小半刻後にはいよいよ離陸し、日本を飛び立つと、思っていたのですが ”お客様にお詫び申し上げます。既に離陸の時刻を過ぎておりますが、只今、荷物を載せる作業に時間がかかっております。もう暫くお待ち下さい。尚、只今より機内の映像システムの運用を開始します。お待ち頂く間、座席前のディスプレイでお楽しみ下さい。” と言うアナウンスが。まあ、飛行機にはよくあることと諦めて、前の座席の背凭れに付いているディスプレイの画面を操作しようと思ったら”・・・―重ねてご搭乗のお客様にお詫び申し上げます。只今、映像システムの機器が正常に作動しませんので、機器の再起動を行っております。誠に申し訳御座いませんが再起動に十分程かかります。暫くお待ち下さい。”・・・って。。。大丈夫かおい(--;) 何か整備不良とか起きてんじゃないのか。旅の初っ端からつまずいてどうする。 結局離陸は一時間程遅れ、戌の刻になって突然飛行機が動き出した。冬のことなので、既に陽は西の山の端に沈み、辺りは暗くなっていて、窓の外の風景はよく見えない。飛行機はゆっくりと旋回し、滑走路に到着すると、管制塔の指令を待っているのか、暫くその場に停車した。ら”お客様に申し上げます。只今成田空港、離発着の飛行機で大変混雑しています。管制塔から離陸の指示があるまで、暫く待機します。尚、現地到着時刻には遅れない様、速度を上げて飛行しますが、天候等に拠り若干の遅れが出る場合がございますので御了承下さい とノタマウ機長のアナウンスが。御庭番はオークランドに到着後、国内線に乗り換える必要があったので、遅れるのは困ります。乗り換え迄に間に合わなかったりしたら旅の計画が狂うじゃあーりませんか。(まー、元はと言えば無理無駄無謀無計画な旅なんでござるが^▽^;)そして暫く停泊した後、機体がゆっくりと動き出し、やがて全身に凄いGがかかり始めて―。遂に離陸!(写真は御庭番が乗った飛行機とは全く関係ありません)見送ってくれる人も無く日本を飛び立った御庭番・麻生百合之介。その行く手に世界中の人々を震撼させる出来事が待っていることを、神ならぬ身の御庭番には知る由もなかった―。(次回に続く)
2007年12月15日
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知らない街を 歩いてみたいど~こか遠~くへ 行き~た~い♪知らない海を~ ながめて~い~たい♪ど~こか遠~くへ 行き~た~い♪遠~い~街~♪ 遠~い~海~♪ 夢~は~る~か~ 一人旅~♪麻生百合之介世界の旅~君は南の空にウソ十字星を見たか~ 序章神無月弐拾壱日 酉の刻之頃『あ痛痛痛痛~ッ(T▽T)!!』 「か、硬いですねぇ・・指が入っていきませんよ。」 それは神無月初めの三連休の最後の日であった。 御庭番・麻生百合之介は、その日、今年になって引っ越した街の近くにある整体医院で体を解していた。その前の三連休、久しびしの休みに草庵でゴロゴロしていた時、さあ、もう寝ようかなと思って立ち上がった瞬間、息が詰まるほどの激痛が腰に来た。以前、同様の現象が起こった時、腰痛に悩んでいる御奉公先の先輩に相談した所、 ”偶に長期の休みを取って毎日ゴロゴロしていると、腰の筋肉が弱って腰痛になったりする” と聞いていたので、腰の筋肉が弱っているのだと勘違いした御庭番は、もう深夜だと言うのに、買ったばかりの訓練着に着替えて、腹筋・背筋に飽き足らず外に出て階段登り降りまでして、寝返りを打つことすらできない激痛に泣きながら寝床についた。 翌朝になって少し痛みが和らいだので、御庭番はまだ痛む腰を庇いながら御奉公先に向かったのだが、午前中一杯で再起不能に。 御奉公先の上士に事情を説明し、部下に肩を駆りながら早駕籠に放り込まれた御庭番は、そのまま奉公先の最寄の駅前にある藪医院に向かった。待合室で一刻以上も待たされた挙句、診察の際、容赦無く腰を捻られて出た結論が、「ギックリ腰ですな。」「ま、弐、参日もすれば治るでしょう。薬と軟膏を出しておきます故、服用して下さい。お大事に。」 冷めた口調でお決まりの決め科白を言う医師の診察室を出て処方箋を貰い、草庵に戻って薬を服用しつつ、二日間御奉公を休んだが、それでも腰痛が治まらなかったので、とうとう整体のお世話になったと言う訳なのである。『ぐっ!くくぅ~・・・』「普段身体動かしてます?こんなに身体が硬い人も珍しいですよ。」御庭番より若僧の整体師に説教されても返す言葉も無い。御庭番は毎晩毎晩残業残業また残業で腰を動かしている余裕等無かったのである。『い、以前は山に登っておったんでござるが、こ、ここんとこ御無沙汰で御座ってな・・・。』「あー、腰とか膝とか痛め易いんですよねー。また山に行く予定とかあります?」『さ、左様さ。実は近々ニュージーランドに行く予定で。』「え(゜▽゜;)?その腰で?」『うむ。実は十年間の精勤の褒美として、藩から伍日間の休みを貰えそうなので、もう手続きしちゃった。。』「そ、そうですか・・・。まあ、南半球は今から夏だから、腰には良いかもしれませんけど・・・。」『今更止める事はできぬ。何しろ今止めたらキャンセル料100%だからの。』 御庭番は藩が休みをくれるかどうか怪しかったので、直前まで旅行の予約をしていなかった。本来半年から参箇月月前には申し込みをし、壱箇月前にはもう、金を払って全ての手続きが完了している段階と言う時期に申し込みをしたのである。ニュージーランドに行こうと思ったのも、ほんの数日前のことであり、旅行代理店が慌てて飛行機の手配から、御庭番が考案した旅程表の調整をしてくれたのだった。今回御庭番が独り旅の行き先に選んだのはニュージーランドの南島にあるミルフォードサウンド。そう―世界一美しい散歩道と言われるトレッキングコースでございます。 ミルフォードサウンドは、ニュージランドの南島の南西部にあるフィヨルド地形の景勝地であり、ニュージランド政府が徹底的にその美しい自然を保護・管理している為、入山できるのは一日に伍十人限定と言う、選ばれし人々のみが歩くことのできるコースである。当初は案内人無しのコースを独りで歩こうかと思ったのだが、御庭番が申し込もうとした時は既に予約で一杯で、旅行代理店の薦めで、案内人付きのコースに何とか滑り込みで入ることができたのであった。「ニュージーランドにはどの位いらっしゃるんです?」『長月に連休があるでござろう。前後の土日と絡めると怒涛の十連休になるから十日間じゃ。実は藩の上士の華燭の典があるのだがどうせ呼ばれないからな。』 御庭番の奉公先の上士・銭田堀衛門は、齢四十路のハゲちゃびんであるが、壱五歳も齢下の娘を嫁に貰うことになった。堀衛門殿の嫁御は、以前御庭番と同じ奉公先に勤めていたので、実は旧知の仲である。堀衛門と以前呑んだ時に”お前等は呼ばない”と言っていたので、これが御庭番を海外逃亡させるキッカケと言えばキッカケであった。 「へぇ、十年の精勤に勤労感謝の日絡めて海外旅行なんて洒落てますねぇ。でも、独りで海外行くのって不安じゃないんですか?」 『男児たるもの、海外の一つや二つ独りで行けんでどうする。女子供ならいざ知らず、拙者を襲う物好きなんざ海外にもおらんであろうが。ハッハッハッ!って、痛痛痛痛ッ!』「いや。。。漢独りで寂しくないのかなって思って。。。」そりは余計なお世話だコラ(T▽T)。 一時間程身体を解した後、腰痛も大分軽くなった。御庭番は若僧整体師に高い金子を払って、家路に戻った。神無月弐拾伍日之頃”腰痛と言うより、全身に疲れが溜まってますね。筋肉に溜まった乳酸を解したので、弐、参日は疲れがドッと噴き出して、倦怠感が出ますから” と言う若僧整体師の言葉通り、全身物凄い倦怠感に襲われたが、根性出して御奉公先に向かった。その日は毎月恒例の御庭番評定と宴会もあり、幹事を仰せつかった御庭番は、吐き気を催す位の倦怠感があっても、休むことはできなかったのであった。御庭番は旅行代理店と密かに連絡を取り、”今日入金する”と約束をしていたので、出仕時間を少し遅らせて、両替商に寄って、大金を払って来ていた。金子を振り込んでから出仕した後、評定は申の刻頃から始まり、結論が出ないまま半刻で終わった。御庭番が他の御庭番衆を引率し、宴を開く店に向かって、戌の刻には宴が始まった。宴は一刻程続き、やがてお開きとなった。銘々帰宅する者、”もう一軒”と叫んでいる者、既に立ったまま寝ている者、様々な酔っ払いが繁華街に屯している。御庭番はこの日大金を払っていたので、もう一軒行く程の金子は持ち合わせておらず、草庵に戻ろうとしていた。時に「おい、百合之介。」 と、御庭番の袖を掴むゴツイ手が伸びて来た。声を掛けて来たのは誰あろう、ウワサのアイツ・銭田堀衛門である。「ちょっといいか」『は?』すると、堀衛門はどんどん人気の無い所に御庭番を連れて行くじゃあーりませんか(T▽T)。何か嫌な予感がします(--;) まさか襲われることはあるまいと思っていたが、やはり暗闇の中で人気の無い所に拉致されたのでは正直ビビリます。御庭番が堀衛門と対峙すると、夜のネオンの光が、堀衛門の頭の上に落ちて輝いている。「あのさー、カミさんがやっぱりお前にも結婚式に来て貰いたいって言っているんだよ。結婚式、お前来る?」・・・・・(゜ー゜;)。。。はい(T▽T)? あのですね、皆さん。結婚式の招待状って、普通弐箇月前とか参箇月前には貰っていません?しかも前に呑んだ時に”お前ら(注:御庭番衆)は呼ばない”って言ってただろこのハゲちゃびんめが。 御庭番だってですね、独身貴族の星とも言うべき、説教ばっかり垂れてても世話になっている上士の華燭の典を心から祝いたいと思っていたとですよ。しかしキャンセル料100%をどうしたものか(T▽T)御庭番は堀衛門から其の言葉を聞いた瞬間膝から崩れ落ち、『ちょ・・・ちょっと無理ッス(T▽T)。。。』と、力無く答えた。「え?あ、そう。じゃ、いいよ。そう言えば休むとか言ってたもんな。まあ、俺の結婚式よりも大事な用があるんなら仕方無いな。判った。ヨメさんに言っておくよ。」あのですね、上士?なんでそんな眼をするんですか(T▽T)?(拙者が悪いのか、拙者が?)『い、一応ちょっと考えさせて下され。』「いいよ無理しなくても。じゃあ、俺はもう一軒行って来るから。」と言って堀衛門は去って行った。御庭番はホロ酔い気分も一発で冷めたまま、冬の北風が吹き抜ける繁華街に独り佇んでいた。さあ、『究極の選択』に迫られた御庭番の決断は如何相成りますでしょうか。続きは次回をご覧下さい
2007年12月14日
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まだ生きてますよ。(余りにほったらかしにしていたので、御庭番は死んだとかゆーウワサがあるんだとか無いんだとか・・・)長らくのご無沙汰誠に申し訳ござりませぬ。無事ニュージーランドから(十日振りに)帰って参りました、麻生百合之介ですよ、皆さんこんばんわ。前回の日記(っつーてもテキトーな英語でカキコミしただけでござったが・・・)から一週間以上も経過して日記更新。ホントーに日本にいなかったので、不在の十日間公私共にやらなければならないことが溜まってまして、よーやっと落ち着いたんでやっとパソコン開くことができ申した。極一部の登城者の皆様、更新が遅れて御免なさい。今日から御庭番奇蹟の復活でござりまする。と、言いたい所なんでござりまするが・・・御庭番ってば・・・明日からまた。。。今度は香港に行くことにと、言うのは冗談でー(゜▽゜)長年このお城に来城されている方々(もー、ホント僅かしかいないけど)はご存知の通り、御庭番、この時期は毎月お蔵米の算段でタボー故、明日以降の日記の更新が怪しい(”またか”とか言うなーー;)ので、確実に更新できる体制が整うまでもうちっとお待ち下され。因みにお蔵米の算段は今週一杯かかるので、次の更新は多分土曜日と思ったんですが今週末は今度は愚父と愚母を連れて温泉に行かなければならぬハメに(これは本当)その辺の事情も含めて明かされる次回の更新をお待ち下さい。(決して本意ではありません。念のため(^▽^;))と言うのも冷たいので―(ここまで更新遅らせておきながらおあずけとか言ったら多分もー誰もこないだろーなー( ̄∀ ̄;)。。。)御庭番が日記をまともに更新する前に予備知識としてこちらのホームページを御覧じろ皆の衆。(本当は御庭番が撮ってきた写真を掲示する予定だったのですが、御庭番のパソコンが余りにも旧過ぎてアップできませんでしたハッハッハッハ(T▽T)#)http://homepage1.nifty.com/numata01/milford/index/top.htm・・・但しこれ見ただけでは今回の旅の全てを識ることはできませぬ。スゲー色々ありましたから(T▽T)(いや、ハッタリじゃないですよ、ホント)とにかく今回の旅の軌跡は、恐らくこのお城開闢以来最長不倒の日記になることは間違いございません。皆様、期待して(明日の更新は期待しないで^▽^;)お待ち下さい。あ、そうそう。誤解の無い様に言っておきまするが―。別に日韓戦見たいが為に日記の更新手抜きしている訳じゃないからな(^▽^;)そこの所誤解無い様ヨロピク
2007年12月02日
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