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2005年12月21日
鳥取物語 番外編 不二一族物語 第11節●出立●
(4)
テーマ:
連載小説を書いてみようv(10278)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
──ゆたか。
あまり仰々しい出立にならなければいいがと念じながら、豊は身をかがめて屋敷の入り口をぬけ、外界に足を踏み出した。
父がいた。きらびやかな正絹の衣装で盛装した彼の姿は、闇がこごる中、灯明に照らし出されて神々しいほどであった。
その何歩か後ろに、母がいた。その後ろには一族の全員が長い長い列をつくり、おごそかにこちらを眺めていた。
彼は正式のあいさつを、現世守宿の最後の姿である父宮とかわし、小角さまは今宵、新たな守宿が立つにあたって求められる事柄についての話をはじめた。
今宵一夜は、神聖語である御詞(みことば)を使うこと。
その折には、決して制止や拒否の御詞を使わぬこと。
お仕えの仕方によっては、不二一族の行く末が決まってしまうこと──。
【荒神さま】に捧げられ、一夜にして生涯を隻腕で暮らすよう‘作り変えられた’小角さまの言葉は、深閑とする玉庭に、あまりに重く響いた。
その間、誰もが次の守宿に据えられる若者の、華奢な立ち姿から目を離すことができなかった。
彼は身じろぎもせず、頭を軽くうつむけて立っていた。
ふだんは濃色(こきいろ)の袴に白い千早の巫子装束が、今日は御魂鎮の供物としての身上をわきまえて、白一色の装束に変わっている。明日の朝より、この袴が朱の色に変わるのだ。
そして、着物に隠されてはいたが、上腕と足首には釧(くしろ)と足結(あゆひ)の鈴が付けられ、首のまわりには狐の歯を集めてつくった胸飾が下げられているのだった。
ただひとつ、正装と違ったところは、その両の腕(かいな)が後ろ手にまわっていることであった。
神に捧げられる供物にふさわしく、生贄には注連縄がかけられるのだ。
手首と、一晩を徹しての‘秘儀’に肩が抜けないように上腕と。
注連縄を掛ける役割を自ら志願したのは、焼き魚を食べるときにもメスを使う、倒錯趣味もここに極まれりといった静の所存だ。
──ずいぶんと楽しそうっちゃな、しずさん。
──失礼。ついサド心をくすぐる子で。
小角さまの話は終わりがないように思われたが、やっと最後に父宮は訊ねた。
──贄は自発的に捧げられなければ意味を為さぬ。おまえは自らすすんで御魂鎮の儀式に向かうか。
──はい。
豊が鮮やかな目さばきで視線を流すと、その瞬間、両の耳朶にひっかけられている月石が、おりからの月光にきらりと閃いて一族の目を射通した。
──よろしい。
彼はつぶやき、手を伸ばしてきて、今ひとたび豊の巫女結びを手直した。
垂れの左右をきっちり同じ長さにはせず、手解くによい左の垂れだけ心持ち長く結ぶのは、御魂鎮に捧げられる者特有の着付だった。これの意味するところに思いを至らせることのできる者はみな、これからこの若者の身に起こることを慮って、深い物思いにとらわれた。
小角さまは豊の帯を整えると、他の息子たちのほうに向き直り、前に出るようにうながした。現世守宿の命を受け、公の場に出るときの常で、顔に完璧な外面を貼り付けた四人は、謙虚に頭を下げたまま足を踏み出した。
父宮は兄たちが露払い(先導者)の支度もかいがいしく揃い立っているのを見て、豊の薄い肩に手をかけた。その仕種が一瞬、‘行くな’と引き止めるかのような逡巡を見せたのはまぼろしか。
だが、次の瞬間、小角さまは思い切るかのように末息子の背中を兄たちの方に押しやり、彼を神に捧げるため、今この場で出立するように言い渡した。
外はすっかり暗くなっていたが、いつもは立ち込めている霧も晴れ、周囲に人家のあかりがいくつも見える。どれもいまどき見事な萱葺き屋根で、敷地内に身を寄せ合うようにして立ち並んでいる。
変わったつくりの神社棟。そのまわりはすれすれまで迫った山の断崖に囲まれていて、隠れ里として息をひそめているような集落の真ん中の庭で、
──ゆたさん!
出立の頃合いを見計らったかのように、家々の戸口から、わらわらとほかの者が飛び出してきた。
十五人くらい、どれも農家のお爺さん、お婆さんにしかふつうならば見えないだろうが、呪師たちの眼からは見えてしまう。
それぞれが揺らめく青い鬼火を引きつれ、それに照らされた影がぬうっと玉砂利の上に伸びると、タヌキみたいな尻尾のある者、首が長い者、巨大な坊主頭の者──昔懐かしいおばけ屋敷みたいな、かわいく不気味なシルエットになっているのを。
ぱぁちぱぁち!!
お年寄りたちはいっせいに豊に向かって柏手を打った。
豊は困ったようにほほ笑んで会釈をし、兄たちを見上げて先を急ぐように眼で促す。
五人が鳥居を通って森へと分け入ると、出立の儀式は成立した。
一族は静かに解散し、三々五々、それぞれの屋敷へともどっていった。
その日の夜半ずっと、不二一族の家長たちが何人かずつかたまって、ひきもきらず本家の玄関口までやってきては、祝いの品を置くとすぐにまた立ち去っていった。
そうして夜も更ける頃には、賜(た)ぶものやら守宿装束に適う絢爛豪華な反物やら、たくさんの供物が屋敷の外に山と積み上げられていた。
だが、当分のあいだ、この美しい一族全体の意志は、本家の者たちの知るところではなかった。
秘儀の成る日、彼らは親族の顔もその礼品も見なかった。
守宿に立つ者以外の嗣子たちは、滝洞の入り口で夜を徹して秘儀の首尾ようを守る。父宮も拝殿にて、次世の守宿の戻るまで、徹夜の祈祷に入る。
拝殿の垂れ幕は、閉められたままであることだろう。
───
だが、実は屋敷を出る直前、兄弟たちが自分の支度に席を立っている間を惜しまず、豊は誰に知られることなく、自分の身体に小細工を施していたのであった。
明朝、一族に伝わる慣わしによって、かように自分が次代の守宿として仕立て上げられることは、火を見るよりも明らかなことであった。
もはや逃れるすべはない──それはいかな豊でも頭ではわかっていた。
だが、【うろ様】と本当に鉢合わせたときに──いったいどのツラ下げて今宵一夜限りの女(ひと)に出会えばいいのか、いまだに皆目見当がつかないが──豊はその時の言い訳のための姑息な手段として、すでに御魂鎮(みたましずめ)の祭礼の手順を踏む、その簡易版ともいえる仕儀を、秘密裏に執り行なっていたのであった。
彼は父宮が【うろ様】に徴(しるし)を受けたとされる場所と同じ部位、すなわち自ら左の肘を傷つけて、そこから流れ落ちた血潮をこの地に──そう、この屋敷の鎮守の老木である楓の根元などはちょうどいいだろう・・・・そこに滴らせておいた。
小角さまは徴を受けたことで、左の肘が奇妙に曲がってしまうほどの傷を得ていたのだが、それの縮小版であればあるほど自分にとっては都合がいい。男の万国共通のご多聞にもれず、豊も痛いのは苦手だった。安易な思いつきではあったが、自分では悪くない考えのように思えた。
しかも、神霊というものは、意外とこういった安直な方法であざむく事ができるもの・・・・豊はこれまでの厄除け人生における成功率を鑑みて、タカをくくっていた。
もし、【うろ様】の本物にまみえた際には、今日の昼時分には、すでに儀式は成ったのだと──自作自演の身体の傷を示して、そう言い逃れるつもりであった。
豊は眉も動かさず、楓の木を見据えたまま、いきなり懐刀を閃かせた。
左肘の内側になんのためらいもなく刃を突き立てると、一瞬も待たずにその腕からは禍々しいほど紅い血が滴って、ぽたぽたと楓の幹を染めていく。 痛みに思わず声をあげそうになるのとぐっと噛み殺して、豊は先程の名のある懐刀と同じく、拝殿からくすねてきた神酒の口を手荒く噛み切った。二十八年物の神酒の封印は、新しい守宿の出立の後に切るならわしだが、今はそんなことをかまっていられなかった。
彼は封印を切った酒を、口に含んだ。
──神を封じ込んで完全にダンジョン化している滝裏の洞窟、直系の清童の血と清めの酒・・・・秘儀のアイテムはバッチリ、なはず。
そして、傷口に滔々と酒を流し始めた。
豊の血と、この日のために醸され、清められた酒がひとつに混ざり、溶けてゆく。
遠き昔、《神》と《人》とが密約を交わしたという大地にゆっくりと染み入るように、やがてそれは幹から根へ、根から大地へと零れていった。
豊の腕から滴り落ちる鮮血が、禍々しいほどに真紅く、視界を染めていく。
大地が豊の血を吸っていく。
見えない舌で、きれいに舐めとっていくかのように、それは地に滴ったまま存在を消した。
そのとき、深閑とした鎮めの森に、一陣の風が吹きぬけた。
あたり一帯にひろがる血匂の、思いがけない──かぐわしさ。
そのとたん、滝裏にある小さな祠の御神体が、カタカタと不気味に振動しはじめた。
それはやがて、何事もなかったかのように静かに鎮まり、そして、いきなり爆(は)ぜた。
呼び醒ましてどーすんだッ!
今、朝6時の更新の後、もう一度更新しています。
実はさっき、包丁で左手の親指を切ってしまったのです(泣)。
私、紙で指を切ることは多いのですが、刃物は特に気をつけるので、こんなこと、本当に何年ぶりかです。しかも、(りんごをむいている時だったのですが)包丁がすべったのではなく、なにかのはずみで垂直に当たってきたのです。
山の神さまと私って、前からとっても相性が悪いので、一ヶ月も前からある願掛けをしてこの番外編に臨んでいるのですが、やっぱり・・・・?
先行き不安なこの思い。
どなたか、よ~く効くお守りがありましたら、教えていただけますか?(←切実)
明日は●道程●です。
いよいよ四人の兄さたちともお別れです。
タイムスリップして、五人の兄弟たちが辿る別れの道の、露を払いにきなしゃんせ。
◆お読みいただけたら
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最終更新日 2005年12月21日 07時20分57秒
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