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2005年12月26日
鳥取物語 番外編 不二一族物語 第16節●迷宮●
(6)
テーマ:
連載小説を書いてみようv(10277)
カテゴリ:
カテゴリ未分類
歓喜の声を上げて歪む、緑の壁を。ぶれて軋む、大地の鳴動を。
岩肌を突風が吹き抜けるたび、大気が擦れて熱を持つ。そのちりちりと疼くような不快感。
山岳を覆う神秘の幕が次々となだれ落ち、異質が剥き出しになっていくのを感じる。
──で、どこなんだここは?
つきあたりに見えた曲がり角の奥に、一層大きな空洞が口を開けている。
入った当初は気がつかなかった場所だが、足を一歩踏み入れた豊はその規模に改めて驚く。
まるで船だ。豪華客船のホールを思わせる、閉塞感のある高い天井。
これも自然の悪戯なのか、ぽっかりとひとつ、またひとつという具合に、部屋が続いている。
滝の裏の洞窟であるだけにどこからでも水が入り込むのか、あたりはじっとりと水気を帯びていて、座り込もうものなら袴が水浸しになってしまう。
しようがないからどこも濡れずに腰を落ち着けられそうなところを探しているうちに、山の神を祀る祠への道も見事に迷った。ついでにどちらが入り口だったのやら、もうさっぱりわからない。
──ええっちゃ。夜通し歩いて、暇つぶしにするさ。
天井から無数に滴る水滴が何重にも響く。それが人の金切り声に聞こえないでもない。洞窟内をぼんやりと青白く照らしているのはヒカリゴケのたぐいだろうか。動いている緑色の光は蟲だろう。
時折、どこからともなく風が吹く。時にぬるく、時に冷たい。植物の匂いかと思えば、魚の腸の匂いもする。
両側の壁は十三間からそれ以上の高さに切り立って、涼しい影が上から落ち、崖のぼりをしてきた豊にとって、はじめは生き返る心地だった。
だが岩の散らばる谷底の床を注意深く進んでいくうち、この場所がどこかしら不吉なものに思えてきた。床がだんだんせまくなり、両側の壁が迫ってくる。自分の足の筋肉が落ち着かなさげに収縮するのが感じられ、完璧な夜の静寂のなかで、豊は自分の心臓の鼓動をしだいに強く意識しはじめていた。
──こないなところで、初めてお目にかかる御仁と契りを交わすことができるっちゃなんが、守宿のお歴々はやはり常人とは別者じゃ。
ひとりごちながら、豊はいつしか、自分がなにか古代からのものに入りこんだという確信にうたれていた。それもたぶん、邪悪なものに。
彼がやはりもと来た道を引き返そうかと思い始めたとき、ふいに谷の底が大きく広がった。遠く前方、谷の両壁にはさまれた場所には潅木の木立ちが見え、梢が月光を浴びてきらめいていた。
豊は楡の木立ちのある、滝裏にできた広々とした自然の空き地のなかへと歩みを進めていった。
彼は喉の渇きを覚えると、切り立った岩壁の下まで行った。
その峡谷の行き止まりの場所で、彼は立ち止まった。
果たして、彼の足元には、木の葉と藻の膜におおわれた、小さな泉が湧いていた。
豊がそこに苦労して膝をつき、泉の縁に唇をひたそうとしたとき、ふとなにかが目に入った。
岩壁の下のほうに、ひと筋の割れ目があった。それは崖の奥のほうまで続いており、入り口は人ひとりがかがまなくても歩いて入っていけるほどの高さがあった。
それからゆっくりと時間をかけて重心をさだめながら立ち上がると、ためらいもなく、暗い割れ目のなかへ入っていった。
なかはすばらしく涼しかった。
足元の土は柔らかく、見たところまったく空のようだ。
だが、床の上に目をこらすにつれ、この場所に人間が居ついていたことがわかった。何千回となく火が熾されたあとの炭が、むしりとられた鳥の羽のように無数に散らばっている。
天井が低くなりはじめ、肘で触れてみると、濃い火の煤が着物の袖についた。
次第にぼんやりとしてきた頭のままで彼は腰をおろそうとしたが、あっという間に重心を失って尻を地面でしたたかに打ち、あっ痛ぅ・・・・と小さく声をあげた。
歩いてきたほうに顔を向けると、入り口は何間も向こうにあって、未来への窓のように見えた。窓のなかには、楡の葉が鏡のようにきらきらと光っていた。
やがて涼しさが彼を包み込んでいくと、豊は突然、恐ろしいほどの疲労感に全身が満たされるのを感じた。苔むした小さな石を枕代わりにすると、彼はなめらかな砂まじりの土の上に倒れこみ、横向きになって目だけで天井を見上げた。
固い岩の天井は煤で黒ずんでいたが、その下になにか模様があるのがわかった。岩の上に深い溝が刻まれていて、じっと眺めているうちに、豊はそれが人間の手によるものだと気づいた。
眠気が押し寄せつつあったが、彼はすっかりその模様に惹きつけられていた。夜空を眺める者が骨折って、星と星を結びながら牡牛座の輪郭を得ようとするように、彼はその形からなにかの意味を読み取ろうとした。
まもなく、頭上の模様の正体がふいに頭にひらめいた。
カモシカだった。
稚拙な絵だが、おもな特徴はみな備わっている。ちょこんと突っ立った尻尾までがちゃんと描かれていた。
鹿の隣には、ひとりの人間がいた。たぶん槍だろうが、一本の長い棒のようなものを手に持っている。その先端は鹿に向けられていた。
眠気はもう押しとどめようがなかった。
泉の水がなにかに汚染されていたのかと思いながら、おもりでも乗っているかのような彼のまぶたが、ゆっくりと下がりはじめた。
目を閉じたあとも、鹿と狩人の姿がまだ見えていた。
狩人のほうには馴染みがあった。だれかと同じ顔をしているわけではないが、そこには<山の人>を思わせるような何か、数百年にわたって綿々と伝えられてきたなにかがあった。
それから、狩人は豊自身になった。
やがて彼は、眠りに落ちた。
───
五百年に一度生まれる宿命の子。
一番守宿(いちばんすく:守宿多の初代)の名は、不二等(などか)。
二番守宿の名は、不二清(さやか)。
三番守宿の少年の名は──不二密(ひそか)といった。
時は溯って戦国の頃、滝洞(たきうろ)はすでに長い間手入れを怠ったと思われる叢林に取り囲まれて陰気な森と化しており、五百年前の御魂鎮のこの日にも、闇の訪れをいっそう早めている感じがあった。
密はその深淵の祠(ほこら)に、第二十一代守宿、そして宇宙(うつ)の星巡りが北方に移ったこの年、この方角を統べる三番守宿として自らの身を捧げに詣でたのだ。
滝洞の祠──そこには忌むべきものを封じている空間であり、あるいは聖域でもある。
白無垢の千早(ちはや)を身につけた密は、見事な鍾乳石のつらなる洞(うろ)によって仕切られた、幾つもの続き部屋を通り抜け、ひんやりとした闇に覆われた、もっとも奥まった窖(あなぐら)に、点滅する蛍火によっていざなわれていった。
──不二の若君か。
最後に、老松の様相をした鍾乳石の陰から何者かの声が掛かり、不思議に左右にそれが割り開かれた。
乳白色でしつらえてある洞(うろ)には、蛍石(ほたるいし)で灯りが補われていた。
洞のなかはあまりに薄暗く、文字があっても読めないほどだが、石を割って咲き出でた野花が桔梗であることだけは判った。桔梗の青い花弁が、ぼうっと、幽霊のように浮かびあがっている。
さらに儀式めいた薄闇のなかに、異様な人物が対座し、密を待っていた。
銀の髪。翠の瞳。そして、真っ赤な唇。
とぐろを作る豊かな髪に守られるようにした裸形──その異質が、密の肌を総毛立たせる。
──よく参ったな、さあ、ここへ。
男とも女ともつかぬ声が、少年を招き入れる。
頭を垂れたまま、密は暗闇のなかに入ると、中央にある苔むした緋毛氈(ひもうせん)の上に正座し、荒神に向けて真っすぐに視線を合わせた。
──どうやら、不二の若君の決心は、本当のものらしい。
荒神が独特の声音で囁くと、かすかに密は動揺を走らせた。
見逃すことなく、荒神はその鋭い眼穴から少年の心が放った怯えを味わった。
密は恐れを振り切るように、緋色の苔の上に指先を揃え、頭を下げた。
──不二一品宮(ふじのいっぽんのみや:守宿多の古名)、密です。よろしくお願いいたします・・・・・・。
──佳い子だ。一品宮となれば、特別に可愛がってやらねばなるまい。それで、幾つになる?
温和な調子に変わった声が頭上から聞こえると、密は畏まったまま答えた。
──十五になります。
──先代よりも五つも下か。それにしてはずいぶんしっかりとして、大人びている。
荒神は満足げに言った。
──ところで不二一品宮よ、ここに来ることで先代や先々代はどう言っていた?
──お心に添うように勤めよと、言われて参りました。
透き通った声に、思い詰めた響きが籠もっている。
──それで、若宮は、自分から進んで参ったのか?
端正な顔を上げた密は、挑むように目の前の荒神を凝視した。
──人柱がなければ、不二は建ちませんゆえ・・・・・。
突然、頤(おとがい)が解かれたかのように、哄笑が起こった。
──なかなか、勝ち気な若宮と見たぞ。それが何時まで保てるか・・・・愉しみ甲斐がありそうだ。
荒神がおもしろがって囃し立てるのを、密の方は逃げ出したい心に懸命に打ち克とうとする悲壮さを漂わせて、必死に唇を噛み縛っていた。
担わされた重責に、強くあらねばならないと懸命の様子がいっそ痛ましく醸し出されている。
──人柱とは、よくぞ言ったな。ならば我も、それなりの趣向で若の意を汲もうではないか。
冷酷な声が放たれ、まるで用意されていたかのように、どこからともなく麻縄が差し入れられてくるのが見えた。
密はとぐろを巻いた縄を見てはっとしたが、すぐに視線を外し、目を伏せた。
──では、不二の若宮の決心のほど、見せてもらおうか?
近づいてきた荒神に腕をとられた密は、両手を後ろ手に括られると、胸元まで二重に縄を掛けられ、瞬く間に上体を縛り上げられてしまった。
──こうして、雁字搦めに縛られると、ますます人柱のようではないか。
背後にまわった荒神は、自分の手際に満足しながら眺めて言う。
──いまにも沼に沈められるか、土中に埋められるか。
嗤いながら、身頃の前で結ばれた巫女結びの帯を解きにかかる。
途端、自分を見ている荒神の顔が、涙に潤んだ瞳にぼやけて映る。
密は祖父から父から、どのような求めにも決して逆らってはならないとくどいまでに言い含められていた。ひとつ「嫌」と口走り、「否」と拒めば、それだけ里が窮することになるのだと──。
──嫌なのか、不二の宮よ。
涙を見咎めた荒神が、密の耳元で囁いた。
──不二の若君の決心なぞ、この程度のものか?
密は唇をぎゅっと噛み、眉根を強く寄せた。
──嫌だというのか? 不二の宮。
荒神はふたたび囁く。唇を噛み締め、密は否定に頭を振った。
神霊と契りを交わすというのが、これほどおぞましく、切ないものだという覚悟が足りなかったことに、今更のように後悔が襲ってくる。
──いいえ、ど、どうか・・・・・、密を・・・・・・、
言葉が途切れて涙があふれ、密は肩をふるわせて泣き始めた。
──よしよし、いい子だ。そのように悲壮にならずともよい。つらい時期など、あっという間に過ぎる。
怒涛を打つ頚動脈のほど近くから、耳鳴りのように荒神の声が聞こえてきた。
明日は●破瓜●です。
不二密さん、どうして夢の中に出てきたの。
タイムスリップして、眠る豊を叩き起こして。
◆お読みいただけたら
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最終更新日 2005年12月26日 06時54分44秒
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