ひさびさに、ばななワールドにどっぷり浸かった感じです。何とも言えないもやもやっとした、はっきりしない、決して結論が出ないところが、読者に投げかける感じで好きです
父が知らない女と心中してしまった、という一生消えない傷を負った娘と、それを共有する母。目黒から下北沢に移り、生活していく中で、自分と母の気持ちのズレを感じていく。
冒頭にでてくる、 フジ子・ヘミング の下北沢についての言葉、
「なにも考えないで広がるにまかせた雑然とした街のつくりが、ときにとっても美しく見えるのは、鳥が花を食べたり、猫が見事な動きで飛び降りるのと同じ、人の乱雑な汚さのようで、実は人の無意識のきれいな部分のような気がする。
何か新しいことを始めると、最初は濁っている。
だがやがてそれは清流になり、自然な運動の中で静かに営まれていく。」
ここを読んだ時点で、私の頭の中は状態になってしまって、ばななの魔法にかけられたみたいに読み進んだのでした。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
この街に来てから、私はどんどん素直になっていく。知らない女と心中してしまったお父さん。残された私とお母さんは、新しい人生を始めようと思い立った─下北沢で。どこにでもある、でも、たったひとつの人と街の愛しい物語。ばななワールドからの贈り物。
『はーばーらいと』吉本ばなな 2024.01.17
『サーカスナイト』よしもとばなな 2019.12.06
『鳥たち』よしもとばなな 2015.01.03
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