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観たよ。観た。『華氏911』。レイジ・アゲインスト・マシーンのビデオクリップを見て以来、マイケル・ムーアのファンである僕に限らず、この映画に対する期待は尋常ではなかった。ともかく、ムーアの宿敵ブッシュにとって、この映画がクリティカル・ヒットになるかならないかというのは、2004年における最大の文化的トピックであることは間違い無い。とにかく客層が異様だった。映画なんてめったに観ないような中年夫婦や、普通の若いカップルや、大学生や、ラバーソール履いたパンク少女とか、いかにも「社会問題について一家言持ってます」的なイケてないオタクとか、ギャル系の女の子まで、てんでばらばら…。これだけの雑多な客を呼べる映画ってのも珍しい。内容は、これまでのムーア映画に比べると、ちょっとシリアス。ムーア自身はほとんど画面に出てこないし、ほとんど報道フィルムにかぶせてムーアが喋ってる感じ。『ザ・ビッグ・ワン』や『ボウリング・フォー・コロンバイン』のような派手な見せ場というものもない。だから映画的には、ちょっと弱い気もする。でも、そんなの一切問題ではない。これほどストレートな怒りをフィルムに焼き付けるのには、はっきりとした理由があり、それは確実に有効なのだ。それだけでいい。後半、映画館の中のそこかしこで、観客のすすり泣きが聞こえた。戦場の現場の映像の数々は、やはり衝撃的だ。例の日本人捕虜が泣き叫んでる映像もあったけど、こんなのニュースで流れなかったよね? 自主規制ってやつだろうけど。かのゴダール先生は、この映画観もしないうちに「ブッシュはそんなに馬鹿じゃない」とか「敵を利するだけ」とか「マイケル・ムーアは中途半端な知性の持ち主」とか言って批判してたけど、あんたそんなこと言ってる場合かよ! まあ、インテリってのはいつもストレートな発言をして世論に訴えようとするドンキホーテが大嫌いなんだろうけど、僕、もうそういうのうんざりです。ともかく、この映画の真価が問われるのは大統領選の結果が出てからということで……
Aug 26, 2004
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暑い…。半年ぶりくらいに東京に出てみれば、なんて気温なのだ。これは! 息苦しくて寝れやしない…。箱根はもう秋のような夜なのに…。せっかく東京に出てきたのだからというわけで、『ドリーマーズ』観ました。小田原周辺じゃやってないもんで。ベルトルッチの新作、なんだかひっそりと上映されてますよね。パリ五月革命を背景にエキセントリックな姉妹に翻弄される主人公という前評判に強く妄想を掻き立てられ、ついつい映画館に足を運んでしまったというわけですが…。これは辛いなあ。さすがはベルトルッチと言わずにおれない余りにも美し過ぎる映像は良いとして、そもそも何故、この今に五月革命なのだ? と思わずにおれません。劇中各所に引用される名画の数々のシーンとも相俟って、監督のノスタルジーがぷんぷん匂って、臭いのなんのったらない。ナルシズムに充溢したフィルムを見せ付けられてお腹一杯になってしまいました。「芸術」というお題目のもと観客を楽しませることなんか二の次で自己表現してるだけじゃないのかい? 僕は血沸き肉踊るアクション映画が観たいんだ! …と痛感しました。まず大事なのはエンタテイメントとして成り立っていること。技術的な面でいうと、「構成力」っていうものを、ちゃんと考えましょうね。だらだらしすぎだよ。テーマは頭の中で理想だの思想だの御託を並べてアナーキーを気取ってる若者が、現実に負ける。という手垢に塗れたものだけど、今更、そんなこと言ってる場合か? 綺麗な映像に粉飾された、どこまでも後ろ向きな作品だと思わざるを得ません。2004年、現実はもう60年代のそれとは違って、背景の向こう側で進行する管理という名のファシズムに、生活の細部にわたって侵食されているのである。僕らが白昼夢のような世界を生きている、その夢の裏側で行われている大量殺戮は現在進行形で語られねばならないのだ。帰宅して大好きな『CUBE』を再見。いつ観ても震える。この映画に描かれる世界観こそ、僕らの生きる世界であり、社会であり、現実だ。だからもう、「芸術」を語るのはやめてくれ。そんなもん腹の足しにはならない。「食うべき詩」こそ、我々が必要とする表現だ。
Aug 19, 2004
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泣いた…。感動のあまり涙が頬を伝った…。今更ながら『スパイダーマン2』を観てきました。早足で人物紹介だけに終わってしまった感のある前作とは比べ物にならないほどの傑作でした。サム・ライミ先生! 凄い! 凄いよ! バイトはクビになり、家賃は払えず、落第の危機に晒され、唯一の家族のメイ伯母さんも家を放り出され、やることなすこと落ち目の我らがスパイディこと、ピーター・パーカー君。ヒーロー稼業なんて良いこと無し。あげくは新聞に悪党扱いされて、「もうスパイダーマン辞める」と引退宣言。憧れのMJについに告白するものの、彼女曰く「あたし結婚するの」。…かわいそうなピーター君! そこに登場、ドクター・オクトパス! イカレタ実験を成功させるために、人工アームを駆使して銀行強盗。ついでに街中を滅茶苦茶にしてやるぜとばかりに、ファンキーな気狂い中年ぶりを発揮。たるんだビール腹が素敵だよ! 前作の悪役グリーン・ゴブリンは結局、何がしたかったんだか訳が分からなかったけど、ドクター・オクトパスの思考はいたって単純明快。スパイダーマンのいなくなったNYは絶体絶命。どうするピーター君? そこからの展開が素晴らしい…分かっちゃいるけど興奮する。というか泣く。誰もが心の中にヒーローを持っている。それがなくては生きていけない。ゴー! スパイディ! ゴー! 例え夢を諦めても、守らなければならない正義というものがある! OK。それが何なのか僕たちは、もう気付いてもいい頃だ。追記『華氏911』の予告を観ました。それまで周りでポップコーンぼりぼり食ってる音や、話し声が、その間だけ途切れ館内が静まり返っていました。…これ、絶対すごいよ!
Aug 16, 2004
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インディーズという言葉が新しい未来を孕んでいた90年代初頭。ハル・ハートリーが発表した一連の作品が世間に与えた衝撃は、いまや単なる「渋谷系オシャレ映画」として薄く安く安全に回収されようとしている。はっきり言って、ハル・ハートリーは天才だ。最近の作品のことは良く知らないが、初期の『トラスト・ミー』『愛・アマチュア』そしてこの『シンプルメン』は完璧すぎる。たまたまビデオを入手したので再見したのですが、『シンプルメン』面白いです。恋人と仲間に裏切られた強盗の兄と、ナイーブな哲学専攻の大学生の弟の、父親探しの物語。この父親というのは、元大リーグの名遊撃手のはずが、ペンタゴン爆破事件の容疑者として指名手配中の革命家。兄弟は父親の顔すら知らないが、その父親がついに逮捕されたのを知り、わざわざ会いに出向くのだった。しかし、父親はすぐに逃亡。辿りついた町で出会う二人の女。刑務所から帰ってくるサイコな夫に怯える女と、ルーマニアから来た謎の少女。ソニック・ユースでゴーゴー・ダンス? この映画に根付いているのは、グランジとかオルタナティヴとかローファイとかいった表現が、90年代初頭のアメリカが、やっと苦渋と共に吐露した、現実と絶望だ。そしてネガティヴであることがリアルであることだった数年は、カート・コバーンという男が脳天をぶち抜いた瞬間に終わった。それから、みんなようやく気付き始めた。「俺が狂っているのは、世界が狂っているからだ!」そしてシアトル暴動が起きる。グランジの聖地で、反グローバリズムの運動が暴走したのは、だから決して偶然ではない。すべては地続きに繋がっている。音楽や映画といったユースカルチャーが、それに連動していたのもたまたまじゃない。その時、文学は…? 黙して語らず。ああ…90年代初頭……その頃、僕は高校生だった!
Aug 10, 2004
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アメリカ史が無かったことにした男…その名はウィリアム・ウォーカー。「民主主義を広める」という掛け声のもと、中米を侵略するアメリカ政府のネオコン思想の体現者となったウォーカーはニカラグアを制圧し、大統領となる。訳の分からない行動原理によって、敵も味方もぼろぼろ死んでいく。差別を憎むと言っていたはずなのに、続出する反乱に対して「解決策はひとつ、奴隷制だ!」と、思いつきで宣言。戦闘の際は突撃あるのみ。アホに権力を与えてはいけません…。そしてパンク監督アレックス・コックスが、80年代にこの映画で問うたのは、当時のアメリカのニカラグアに対するコントラ援助に始る中米政策の批判なわけです。18世紀を舞台にしながら、この映画の中で人々は、マルボロを吸い、ニューズウィークを読み、リムジンが馬車を追い抜き、スラングを話し、あげくは軍用ヘリがアメリカ市民を救いに舞い降りる。そして、エンドロールにはレーガン大統領の演説や、1980年代のニカラグアの報道フィルムが流れて終わる。さて、アレックス・コックスは、それでも無力だった。ベトナム戦争も、湾岸戦争も、イラク戦争も、表現者たちの批判は届かなかった。しかし、今、ブッシュによる次の戦争を止められるかもしれない映画がある。いうまでもなく、マイケル・ムーアの『華氏911』だ。もしも、次の大統領選で共和党が政権から引きずりおとされたとしたら…それは、ある一つの表現が、世界を変えることができることができるかもしれないという、途方もない希望なのだ。僕は素直に、そうなることを願っている。とても強く。
Aug 9, 2004
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ハル・アシュビーという心優しい風刺家による佳作。ピーター・セラーズ晩年の小品。物心ついてから一歩も屋敷から出たことのない初老の庭師チャンス。世間を知らないことから純真で無垢な彼にとって、興味のあることは植物とテレビだけ。主人が死んで、屋敷を放り出された彼は偶然、経済界の大物に出会う。チャンスを事業に失敗した実業家だと勘違いした大物に気に入られた彼は、周囲の勝手な誤解と勘違いによって突然、時の人に祭り上げられ、ついには大統領候補にまでなってしまうという映画です。なるほど、一見、『フォレスト・ガンプ』風のファンタジーだと思ってしまうような作りではあるが、チャンスの正体を知る、屋敷でチャンスと働いていた黒人メイドが、テレビに出る彼を見て、「ここはやっぱり白人の国なんだ。あんな、うすのろでも、白人なら何だってなれるんだ」と唾棄するシーンを見れば、これが痛烈な風刺であることは明白だ。ラスト、チャンスの恩人である経済界の大物の葬式で、はっきりと件の大物が社会保険や福祉を憎むゴリゴリの保守派であることが明かされ、マスコミと、それら情報によって作られるイメージに踊らされる社会に対する批判だと気付かないようなら、相当やばい。この映画の公開は1979年。現実では、やがてレーガンが大統領となるのであった…。
Aug 8, 2004
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『ゴッド・ギャンブラー』を観る。亜細亜影帝ことチョウ・ユンファほど二挺拳銃が似合う男がいるのだろうか? スーツ姿のユンファにしびれる。ああ、貴方はハリウッドから香港に帰るべきなのではないのでしょうか? 『アンナと王様』なんて出てる場合じゃないでしょ? あとジョイ・ウォンは懐かしい。『チャイニーズ・ゴースト・ストーリー』とか昔、流行ってたよね…。エンタテイメントたるべし。とにかくカッコイイというのが重要なのだ。『男達の挽歌』をことあるごとに観る僕には、もうヌーヴェル・ヴァーグなんてぬるすぎる。フランス映画なんてかったるいよ。エリック・ロメールとか、本当に下らないよ!
Aug 7, 2004
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デニス・ホッパーといえば、『イージー・ライダー』ではなく『悪魔のいけにえ2』だと思う僕にとって、この「80年代のイージー・ライダー」とか言われてる『アウト・オブ・ザ・ブルー』は、デニス・ホッパーのキレ具合がイマイチだと思いつつ、しかしながら傑作なのでした。飲酒運転のあげく、スクールバスに突っ込んで服役中のデニス・ホッパーと、尻軽ウェイトレスを両親に持つエルビス・プレスリーを崇拝するパンク少女の家族崩壊物語。父親がム所から帰ってきて、家族が一緒になれば、すべて上手くいくという希望は、最初のうちは叶ったかに見えたけど、例の事故で子供が被害にあった男の差し金で、仕事をくびにされたデニス・ホッパーは事務所をパワーショベルでぶっこわし、職場に告げ口した男の脳天を叩き割り金を奪い、酔って叫んで妻を殴り、挙句は娘を犯そうとする始末。主人公のパンク少女はデニス・ホッパーを刺し殺し、母親を道連れにダイナマイトで自爆。そして流れるテーマ曲。ニール・ヤングの『マイ・マイ・ヘイ・ヘイ』。そう、カート・コバーンが遺書に引用した歌詞「消えうせるなら、燃え尽きた方がましだ」を持つパンク賛歌だ。泣く。いわく「ロックンロールは絶対に死なない」。キーポンロッキン! 転がりつづけろ。例え、救われなくてもね。
Aug 6, 2004
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…自分で書いてることに整合性がないのですが、ゴダール観ました。『彼女について私が知っている二、三の事柄』。むむむ…これは…すごい…かもしれない…。60年代における、大量消費社会へのアレゴリーというと、「今更?」な感じが否めないのだが、これ今でも通用する内容なんである。つまるところは、60年代からこっち、社会は何も変わっていないってことなんだろうな。結局、現代社会に生きる僕らは、イメージの氾濫に訳がわからなくなって、必要もない物を、必要以上に買わされているってことで、なんだか悲しくなってくるね。そして、この88分の映画を観ている間、僕は2回ほど寝た…。さらに『ファインディング・ニモ』を観る。しかも吹替え版。悪くない。海亀のクラッシュがかっこ良かった。まあ『トイ・ストーリー』や『モンスターズ・インク』に比べると弱いけど、子供が観るにはいいんじゃないかな…。
Aug 4, 2004
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