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風流先生
日々飼い猫2匹と物欲と闘いながらお金や電子マネー、クレジットカードの事ばかり考えている2人の子持ちメガネです。 凄まじい雑記ブログです。
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2019.05.29
テーマ： 今日の出来事(289520)
カテゴリ： 旅行
梅雨入りしたばかりで
雨続きの沖縄であったが
その日は妙に天気の良い一日だった。
海軍壕公園(かいぐんごうこうえん)は
那覇市の南西、豊見城の小高い丘にあり、
東シナ海、那覇市街、首里城が展望できる。
第二次世界大戦末期には日本海軍の司令部壕置かれ、激しい戦場となってしまった。
夕方、閉館時間も近づいてきて
人影もまばら、
どうしようもなくも眩しい太陽を背にした
慰霊之塔に向かって手を合わす。
慰霊之塔の前広場からは首里城や那覇市街地が一望できる。
第二次世界大戦のさなか
壮絶極まる体験をした
歴史の証人が
沖縄の街をずっと見守ってきているように感じる。
壕の内部は以下のようになっている。
昭和19年(1944年)日本海軍設営隊(山根部隊)によって掘られた司令部壕は、
当時は450mあったと言われている。
天井をアーチ型(カマボコ型)に掘り抜いた横穴をコンクリートと坑木で固め、米軍の艦砲射撃に耐え、持久戦を続けるための
戦後しばらく放置されていたが、数回に渡る遺骨収集の後、
昭和45年3月、観光開発事業団によって
司令官室を中心に300mが復元されたという。
実際に壕に入ると
それまでの陽射しは嘘のように別の世界へと迷い込む事になる。
極度に閉塞された世界の中で
人々の希望、絶望、苦悩が創り出す
想像だにできない現実がそこにあった。
妻は、どうにもおかしな頭痛に苛まれてしまった。
私が印象に残った3箇所を紹介すれば
いかに凄まじい状況であったかということが
多少なり伝わるかと思う。
↑日本海軍の戦略を司る大事な頭脳は
コンクリートで固められた狭い幕僚室の中で
希望、勝機を
懸命に探していた。
ここで少しだけ、
歴史の年表を紐解きたい。
昭和20年3月23日
沖縄本島は米軍の爆撃にさらされるようになる。
同年3月31日
米軍、首里、那覇を砲撃。
(海軍司令部壕のある地点も標的にさらされる。)
同年4月7日
戦艦「大和」以下、沖縄救援の海上部隊、徳之島沖で壊滅。
同年5月
旧海軍司令官で大田實(みのる)少将は
米軍上陸時に約1万人の部隊を率いて沖縄本島小禄半島での戦闘を指揮。
同年5月31日
米軍、首里を占拠。
最早海軍司令部壕の喉元まで
米軍の手は迫っている。
陸海空全てにおいて包囲された。
同年6月2日
「摩文仁へ撤退せよ」との命令が出されるが、大田は従わなかった。
命令を意図的に無視したのか、
米軍に退路を断たれて撤退できなかったのかは不明である。
同年6月13日
大田實少将はじめ幹部6名は、
壕内にて最期を遂げた。
その最期を遂げた場所がこの幕僚室である。
玉砕の近い6月頃、この部屋は
立錐の余地もない程で
兵士たちは立ったままで睡眠や休息を取ったと言われている。
壕内はすべて「くわ」や「つるはし」
を使って掘られた。
紛れもなく人の手、力、想いで掘られたこの壕。
まるでもがき苦しんで引っ掻いたかのような爪痕のようなツルハシの跡がそこかしこに見られる。
どのような想いでこの壕を掘ったのだろう。
その人々の想いは壕内に紛れもなく充満している。
一見すると目を塞ぎたくなるほどの
悲劇の跡、悲しい過去、絶望の記憶
が時を超えて現実として
今もそこにある。
しかしながら、それは強烈に
「生きよう」「生きたい」ともがく
壕内を生きた人々の魂の叫びが
耳をつんざくほどに
私の身体を駆け巡っているように感じた。
生きるために、
家族のために、
自分のために、
日本のために、
勝つために、
戦う人々が、
壕内の
これ以上ないような
絶望的で過酷な環境の中でも
戦い抜いた日本人の魂が
私たち生者に対して強烈に訴え掛けているように思えるのだ。
壕内で生活するだけでも至難の業なのに
休息する間もなく戦い続けたのだ。
戦争という恐るべき歴史の
被害者であり、
儚くも大勢の方が散った
この地で戦った人々を
決して哀れだと哀しむだけではなく、
私は誇りに思い、尊敬し、心からの感謝の念を送りたい。
狭く、薄暗い爆撃の恐怖に心休まらない
壕の中で
人々は恐怖や絶望渦巻く地面に
強く逞しい勇気の華咲かせていたのだ。
そして、何より
2度と同じことを繰り返してはならない。
誇りを持って
何かを守ろうとして
死んでいった人々の想いを
綿々と語り継いでいかなければならない。
先人たちの犠牲の上に私たちは生きているのだと。
年表でも簡単に紹介させて頂いた
大田實少将が指揮した
昭和20年5月下旬の
海軍部隊と米軍との戦い。
米軍からの視点として
日本の海軍部隊との戦いを次のように記述している。
小禄半島における十日間は、
十分な訓練もうけていない軍隊が、
装備も標準以下でありながら、
いつかはきっと勝つという信念に燃え、
地下の陣地に兵力以上の機関銃をかかえ、
しかも米軍に最大の損害をあたえるためには喜んで死に就くという、
日本兵の物語であった。
— 吉田俊雄『海軍名語録』より引用
司令部壕を出る。
眩いほどに綺麗な空に目が眩む。
公園外のベンチに座る。
壮絶な光景にカラカラになった喉を
自販機で買ったやんばる茶で潤す。
鼻を抜けるような爽やかな香りに
呼吸を思い出す。
壕の前の道路に面した
優しい風が吹いている小高い丘で
美しい沖縄の空と海と景色が見える。
沖縄の旅で一番印象に残ったのは
ここから見える景色だった。
先人たちは、この景色をも守ろうとしたのだろう。
この美しい沖縄の光景に
沢山の米軍の軍艦、兵士、軍機が
ビッシリとやってきたのだ。
そして絶え間ない砲撃を浴びせかけてきたのだ。
これ以上ないほどの絶望の状況を見ても
と戦いを挑んだのだ。
あらゆるものを背負った人々の想いが
私の周りをぐるぐると回る。
妻は頭痛が良くなったと微笑んでいる。
沖縄の明るくておおらかで、
どこか切なさを感じる風が
妻に笑顔を運んできたようだ。
私はこの笑顔を守りたいと思う。
壮絶な歴史と運命を背負った、
先人たちからしたら
鼻で笑われそうな些細な事ではあるが。
大田實が自決する直前の
1945年6月6日午後8時16分に
海軍次官宛てに発信した電報は
広く知られている。
当時の訣別電報の常套句だった
「天皇陛下万歳」
「皇国ノ弥栄ヲ祈ル」などの言葉はなく、
ひたすらに沖縄県民の敢闘の様子を訴えている。
慰霊之塔に見守られた
島人の人々が暮らすこの街に
いつまでも
強く、優しい笑顔の華が咲きますように。
父・大田實海軍中将との絆 自衛隊国際貢献の嚆矢となった男の軌跡 （光人社NF文庫） [ 三根明日香 ]
沖縄県民斯ク戦ヘリ 大田實海軍中将一家の昭和史 （光人社NF文庫） [ 田村洋三 ]
【中古】 海軍名語録 / 吉田 俊雄 / 文藝春秋 [文庫]【宅配便出荷】
雨続きの沖縄であったが
その日は妙に天気の良い一日だった。
海軍壕公園(かいぐんごうこうえん)は
那覇市の南西、豊見城の小高い丘にあり、
東シナ海、那覇市街、首里城が展望できる。
第二次世界大戦末期には日本海軍の司令部壕置かれ、激しい戦場となってしまった。
夕方、閉館時間も近づいてきて
人影もまばら、
どうしようもなくも眩しい太陽を背にした
慰霊之塔に向かって手を合わす。
慰霊之塔の前広場からは首里城や那覇市街地が一望できる。
第二次世界大戦のさなか
壮絶極まる体験をした
歴史の証人が
沖縄の街をずっと見守ってきているように感じる。
壕の内部は以下のようになっている。
昭和19年(1944年)日本海軍設営隊(山根部隊)によって掘られた司令部壕は、
当時は450mあったと言われている。
天井をアーチ型(カマボコ型)に掘り抜いた横穴をコンクリートと坑木で固め、米軍の艦砲射撃に耐え、持久戦を続けるための
戦後しばらく放置されていたが、数回に渡る遺骨収集の後、
昭和45年3月、観光開発事業団によって
司令官室を中心に300mが復元されたという。
実際に壕に入ると
それまでの陽射しは嘘のように別の世界へと迷い込む事になる。
極度に閉塞された世界の中で
人々の希望、絶望、苦悩が創り出す
想像だにできない現実がそこにあった。
妻は、どうにもおかしな頭痛に苛まれてしまった。
私が印象に残った3箇所を紹介すれば
いかに凄まじい状況であったかということが
多少なり伝わるかと思う。
1.幕僚室
↑日本海軍の戦略を司る大事な頭脳は
コンクリートで固められた狭い幕僚室の中で
希望、勝機を
懸命に探していた。
ここで少しだけ、
歴史の年表を紐解きたい。
昭和20年3月23日
沖縄本島は米軍の爆撃にさらされるようになる。
同年3月31日
米軍、首里、那覇を砲撃。
(海軍司令部壕のある地点も標的にさらされる。)
同年4月7日
戦艦「大和」以下、沖縄救援の海上部隊、徳之島沖で壊滅。
同年5月
旧海軍司令官で大田實(みのる)少将は
米軍上陸時に約1万人の部隊を率いて沖縄本島小禄半島での戦闘を指揮。
同年5月31日
米軍、首里を占拠。
最早海軍司令部壕の喉元まで
米軍の手は迫っている。
陸海空全てにおいて包囲された。
同年6月2日
「摩文仁へ撤退せよ」との命令が出されるが、大田は従わなかった。
命令を意図的に無視したのか、
米軍に退路を断たれて撤退できなかったのかは不明である。
同年6月13日
大田實少将はじめ幹部6名は、
壕内にて最期を遂げた。
その最期を遂げた場所がこの幕僚室である。
2.下士官兵員室
玉砕の近い6月頃、この部屋は
立錐の余地もない程で
兵士たちは立ったままで睡眠や休息を取ったと言われている。
3.ツルハシ
壕内はすべて「くわ」や「つるはし」
を使って掘られた。
紛れもなく人の手、力、想いで掘られたこの壕。
まるでもがき苦しんで引っ掻いたかのような爪痕のようなツルハシの跡がそこかしこに見られる。
どのような想いでこの壕を掘ったのだろう。
その人々の想いは壕内に紛れもなく充満している。
一見すると目を塞ぎたくなるほどの
悲劇の跡、悲しい過去、絶望の記憶
が時を超えて現実として
今もそこにある。
しかしながら、それは強烈に
「生きよう」「生きたい」ともがく
壕内を生きた人々の魂の叫びが
耳をつんざくほどに
私の身体を駆け巡っているように感じた。
生きるために、
家族のために、
自分のために、
日本のために、
勝つために、
戦う人々が、
壕内の
これ以上ないような
絶望的で過酷な環境の中でも
戦い抜いた日本人の魂が
私たち生者に対して強烈に訴え掛けているように思えるのだ。
壕内で生活するだけでも至難の業なのに
休息する間もなく戦い続けたのだ。
戦争という恐るべき歴史の
被害者であり、
儚くも大勢の方が散った
この地で戦った人々を
決して哀れだと哀しむだけではなく、
私は誇りに思い、尊敬し、心からの感謝の念を送りたい。
狭く、薄暗い爆撃の恐怖に心休まらない
壕の中で
人々は恐怖や絶望渦巻く地面に
強く逞しい勇気の華咲かせていたのだ。
そして、何より
2度と同じことを繰り返してはならない。
誇りを持って
何かを守ろうとして
死んでいった人々の想いを
綿々と語り継いでいかなければならない。
先人たちの犠牲の上に私たちは生きているのだと。
年表でも簡単に紹介させて頂いた
大田實少将が指揮した
昭和20年5月下旬の
海軍部隊と米軍との戦い。
米軍からの視点として
日本の海軍部隊との戦いを次のように記述している。
小禄半島における十日間は、
十分な訓練もうけていない軍隊が、
装備も標準以下でありながら、
いつかはきっと勝つという信念に燃え、
地下の陣地に兵力以上の機関銃をかかえ、
しかも米軍に最大の損害をあたえるためには喜んで死に就くという、
日本兵の物語であった。
— 吉田俊雄『海軍名語録』より引用
司令部壕を出る。
眩いほどに綺麗な空に目が眩む。
公園外のベンチに座る。
壮絶な光景にカラカラになった喉を
自販機で買ったやんばる茶で潤す。
鼻を抜けるような爽やかな香りに
呼吸を思い出す。
壕の前の道路に面した
優しい風が吹いている小高い丘で
美しい沖縄の空と海と景色が見える。
沖縄の旅で一番印象に残ったのは
ここから見える景色だった。
先人たちは、この景色をも守ろうとしたのだろう。
この美しい沖縄の光景に
沢山の米軍の軍艦、兵士、軍機が
ビッシリとやってきたのだ。
そして絶え間ない砲撃を浴びせかけてきたのだ。
これ以上ないほどの絶望の状況を見ても
何くそ！負けるか！
と戦いを挑んだのだ。
あらゆるものを背負った人々の想いが
私の周りをぐるぐると回る。
妻は頭痛が良くなったと微笑んでいる。
沖縄の明るくておおらかで、
どこか切なさを感じる風が
妻に笑顔を運んできたようだ。
私はこの笑顔を守りたいと思う。
壮絶な歴史と運命を背負った、
先人たちからしたら
鼻で笑われそうな些細な事ではあるが。
大田實が自決する直前の
1945年6月6日午後8時16分に
海軍次官宛てに発信した電報は
広く知られている。
当時の訣別電報の常套句だった
「天皇陛下万歳」
「皇国ノ弥栄ヲ祈ル」などの言葉はなく、
ひたすらに沖縄県民の敢闘の様子を訴えている。
沖縄県民斯ク戦ヘリ
県民ニ対シ後世特別ノ御高配ヲ賜ランコトヲ
慰霊之塔に見守られた
島人の人々が暮らすこの街に
いつまでも
強く、優しい笑顔の華が咲きますように。
父・大田實海軍中将との絆 自衛隊国際貢献の嚆矢となった男の軌跡 （光人社NF文庫） [ 三根明日香 ]
沖縄県民斯ク戦ヘリ 大田實海軍中将一家の昭和史 （光人社NF文庫） [ 田村洋三 ]
【中古】 海軍名語録 / 吉田 俊雄 / 文藝春秋 [文庫]【宅配便出荷】
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