時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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November 1, 2007
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 生命とは何だろう。多くの人は、繁殖をするもの、すなわちDNAの複製を繰り返し、次々に子孫に伝えていくものであると、思っているのではないだろうか。難しい言い方をすれば、「生命とは自己複製を行うシステムである」ということである。しかし、ここで一つ困ったことが出てくる。ウィルスである。ウィルスは、自分では栄養摂取も呼吸もしない。ある条件を与えると、結晶化もするのである。これが、生物と言えるのだろうか。しかしウィルスは増殖することができる。生物の細胞を借りて、自己のDNAを複製させることにより増えるのである。昔から、ウィルスは、生物か無生物かの二元論では割り切れないものという扱いをされていた。

 しかし、今回読んだ 「生物と無生物のあいだ」 (福岡伸一:講談社)という本では、はっきりとウィルスは生物ではないと言い切っている。この本は、分子生物学の立場から、生命とは何かについて論じたものである。

 福岡氏は、生物の定義は、「生命とは自己複製を行うシステムである」だけでは、不十分であるとして、これに「生命とは動的平衡にある流れである。」という第二の定義を付け加える。簡単に言えば、生命を構成するタンパク質は、作られる一方ではどんどん壊されていき、作られるタンパク質と壊されるタンパク質の量が釣り合っているということである。鴨長明は、方丈記で、「ゆく河の流れは絶えずして、しかも、もとの水にあらず。」と述べた。それが、そのまま、生物の体の中にも当てはまるのである。この定義を入れると、代謝をしないウィルスは生物ではないことになる。

 本書は、専門的な内容が、平易な文体で、たとえ話などを使いながら、分かりやすく書かれている。また、DNAの2重螺旋構造発見の裏話などもあり、非常に興味深くよく事ができる。新しい生命感を与えてくれる一冊である。


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「生物と無生物のあいだ」(福岡伸一:講談社)



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Last updated  June 29, 2008 06:10:39 PM
コメント(8) | コメントを書く
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噂はウィルスですね。  
アクア1971  さん
ウィルスは自己増殖するけど生物でないならば、噂もウィルスと同じですね。思考ウィルスですね。 (November 1, 2007 10:45:49 PM)

Re:噂はウィルスですね。(11/01)  
風竜胆  さん
★まあ、似たようなものかもしれませんね。ただ、ウィルスは、DNAを生物の細胞を使って複製して増えるので、基本的には同じものが増えていくのですが、噂の方は、尾ひれなどついて、どんどん進化していきますから、そこが一番の違いでしょうね(笑)



アクア1971さん
>ウィルスは自己増殖するけど生物でないならば、噂もウィルスと同じですね。思考ウィルスですね。
-----
(November 2, 2007 07:14:56 AM)

この本面白いですよね  
kuu2000  さん
この本ほんと面白いですよね。
生命とは何なのか?という命題は、宇宙とは何か?
と同様、人間の永遠の課題なのでしょうね。
こうした本を読んで、科学やエンジニアリングに興味を持つ人が、一人でも増えてほしいと思います。 (December 12, 2007 10:50:34 PM)

Re:この本面白いですよね(11/01)  
風竜胆  さん
★科学関係の本が売れるというのは、近年珍しいですね。大きな書店でも、専門書のコーナーは、どんどんなくなっていっています。これを機会に、もっともっと、自然科学の関係の本が売れるようになってほしいものです。


kuu2000さん
>この本ほんと面白いですよね。
>生命とは何なのか?という命題は、宇宙とは何か?
>と同様、人間の永遠の課題なのでしょうね。
>こうした本を読んで、科学やエンジニアリングに興味を持つ人が、一人でも増えてほしいと思います。
-----
(December 13, 2007 07:32:38 AM)

Re:生物と無生物のあいだ(11/01)  
himebun05  さん
コメント&トラックバックありがとうございます。

どんなに細かく分析されようと、生命という現象に対して、真の解明はないのだと思いました。 (January 2, 2008 04:43:09 PM)

Re[1]:生物と無生物のあいだ(11/01)  
風竜胆  さん
★どれほど、生化学や分子生物学的なことが明らかになっても、たとえば、なぜ人には心があるかといった問題は、きっと解決できないでしょうね。生命とは不思議なものです。

himebun05さん
>コメント&トラックバックありがとうございます。

>どんなに細かく分析されようと、生命という現象に対して、真の解明はないのだと思いました。
-----
(January 2, 2008 07:45:14 PM)

生命機能は使い続けることが基本?  
nannoki さん
「生物史から自然の摂理を読み解く」のブログから来ました。生物と無生物のあいだにある動的平衡の考え方はなかなか面白いですね。

常に代謝する事が生命の基本だとすれば、代謝の本質は何なのでしょう。
るいネットに代謝=反応過程を反復し続ける事で生命機能を記憶再生させ続けているという投稿がありましたが、なかなか興味深いです。

代謝=使い続ける事が生命機能維持の基本なのかも知れません。 (March 29, 2008 09:10:34 PM)

Re:生命機能は使い続けることが基本?(11/01)  
風竜胆  さん
★生命とは本当に考えれば考えるほど不思議なものですね。この本は、生命感について認識を新たにさせてくれます。
 私は工学系なので、代謝とは、生態系システムの連続した修復の過程なのかなと思ったりもします。

nannokiさん
>「生物史から自然の摂理を読み解く」のブログから来ました。生物と無生物のあいだにある動的平衡の考え方はなかなか面白いですね。

>常に代謝する事が生命の基本だとすれば、代謝の本質は何なのでしょう。
>るいネットに代謝=反応過程を反復し続ける事で生命機能を記憶再生させ続けているという投稿がありましたが、なかなか興味深いです。

>代謝=使い続ける事が生命機能維持の基本なのかも知れません。
-----
(March 30, 2008 08:51:49 AM)

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