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July 13, 2010
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「物語現代経済学」 (根井雅弘:中央公論新社)である。

○「物語現代経済学」(根井雅弘:中央公論新社)



 根井氏によれば、黎明期においては、アメリカの経済学は、多様性に富んでいたという。このアメリカで経済学界の創立に深く関わったのがリチャード・イーリーという経済学者だそうだ。アメリカ経済学会設立後のアメリカ経済学は、「新古典派経済学」と「制度学派」への道に分かれるのだが、「制度学派」は第二次大戦後、急速に影響力を失っていく。

 そのような流れに一石を投じたのが、ケインズである。ケインズの有名な「有効需要の原理」は、「乗数理論」と「流動性選好説」の2つの柱からなるが、著者によれば、後者はマーシャルその他から受け継いだもので、ケインズオリジナルは「乗数理論」であるとのことだ。

 サムエルソンは、そのケインズ経済学と新古典派経済学を、「新古典派総合」として統一しようとしたが、結局はうまくいかなかった。また、ミルトン・フリードマンは、ケインズ的な裁量政策に異議を唱え、「自由市場」への確固たる信念から、ルールによる政策を主張した。

 さらに、ガルブレイスは、主流派経済学の「完全競争モデル」は、大部分の事業が大企業によって行われる現代の産業社会の現実を表すには役立たないと問題提起を行い、ハイエクは、失業の真の原因は、「総需要の分布状態」と「労働と諸資源の配分状態」の食い違いであり、バランスを回復するために、労働の再配分が必要だと主張した。

 まさに、経済思想は、大きなふれ幅を持って動いている。しかし、これは、当然のことと考えられる。経済システムの特徴は、社会構造と密接に結びついているということだろう。さから、自然科学のように、ずっと同じ法則が適用可能と考える訳にはいかないのだ。社会構造の変化に応じて、経済理論そのものも変わっていく必要があるだろう。また、社会構造をどうとらえるかによっても、主張は変わってくる。だから、極端なことを主張している理論は眉唾だと思う。○○派というのは危険だし、昔の人はこう言ったというのも危険なことだ。もう一度、経済思想とは、本来多様性を持っているものであり、それは、社会の変化や社会をどうとらえるかといったこととも密接に関係していることを認識したうえで、原理主義に陥ることなく、柔軟な考え方をしていかなければならないだろう。

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Last updated  July 13, 2010 07:37:43 AM
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