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Dec 15, 2004
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カテゴリ: カテゴリ未分類
――ヨシロウさんは

――それは、きっとそうですよ
あのひとは、いつもうつむいて
いましたからね
――でも、だれもとめなかったんですって
――それは、とってもいいこと
でしたね         みなわ ひとし
街角で
師走の夕暮れは、なんとなくあわただしい。


「こんばんわ」
ネットカフェに、急ぎ足のしのぶが入ってきた。
この裏のスナック「ひまつぶし」のママだ。

カウンター越しに、見慣れぬ顔がのぞく。
「あら」、喜一さんは?と聞こうとする間もなく、
「喜一さんならいませんよ。
ボク、留守番。何もわかりません」
と、ふてくされたような返事。

よく見れば、黒い袈裟姿。きりりとした眉が初々しい。
「あなた、お坊さま?」なんでまた、としのぶ。
「通りかかっただけなんですけどね、

ちょうど暇だったし、ね」
なんて、訳のわからないことを言う。

「いつごろ帰るの、かしら?」
「知りませんよ、ボクだって」
言いながら、ストーブにのったやかんを

まあ、こっちへというように、
ストーブのそばの椅子を
しのぶのほうに引き寄せる。

「困ったわ」、しのぶが腰をおろすと、
見計らったように、茶を差し出した。
「困ったって、なんです?」
真面目な表情になった。

「母がね、転んで腰を強く打ったらしいの。
田舎で、ひとりなものだから。
それで、店のカギを、頼もうって、ね。
何があるかわからないもの。
困ったわ」

「ボク、預かっときます」
でも、としのぶが言いかけると、
「ボク、横田元。万福寺で修行中。
心配なし」
にっこり笑う顔があどけない。
そうしようか、と思ったところに、
喜一が帰ってきた。

「いいですよ。ボク時々見に行きますから」
喜一にそういわれると、ほっとする。

「ボク、今、風祭さんを見送ってきたところなんです」
「え、あのヒト?」
「ええ、写真を撮るんだそうですよ。
ピンホールカメラって言ったかな、
それを自分で作ってね。
北の海を撮りたいらしいですよ」
「じゃ、すっかり元気になったのね」
「うん、きっと良い詩が書けると思いますよ」
喜一が目を細めた。

しのぶが、来た時と同じように、小走りに出て行った。

「元くん、今日はありがとう」
喜一が、帰りかける元に声をかける。
「いやいや、なんも。けど、さっきのヒト、
年増だけど、いい女だったねー」

「そのセリフはね、20年早いよ。
ボクだってまだ言えないでいるんだから」
喜一の目が笑っていた。

















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最終更新日  Dec 19, 2004 11:40:01 PM
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