伊豆高原で小さな宿を営むオーナーの地元情報

平穏な時代に侍の社会は，

サラリーマン社会と同様に，

組織の上下関係，

出世など私利私欲の固まりだ。

現場の最前線で

一所懸命に働く者の気持ちなど，

組織には通じない。

必死必勝の剣術

「必死剣　鳥刺し」が抜かれる時，

その遣い手は半ば死んでいるとされる。

その唯一の遣い手である

天心独名流の剣豪・兼見が，

その秘剣を悪の根源である殿様ではなく，

陰謀を企んだ上司に向けたことは，

いかにも組織人らしいと感じる。

身籠らせた世話役の姪を

知り合いの家に預からせたのは，

男の身勝手とも，

あるいは，

共に過ごすことで

彼女の命が奪われることを

避けた方策とも理解できる。

己の思いや信念を貫こうとしても

ままならない人生，

組織（社会）で己の道を歩む希望を抱きながら，

いかに生きるかを考えさせられる虚しい映画だ。

【出演】

豊川悦司（近習頭取・兼見三左エ門），

池脇千鶴（亡妻の姪・里尾），

吉川晃司（藩主家別家・帯屋隼人正），

戸田菜穂（妻・睦江），

村上淳（東北・海坂藩の藩主・右京太夫），

関めぐみ（藩主の愛妾・連子），

小日向文世，

岸辺一徳（中老・津田民部）

【原作】

藤沢周平「必殺剣鳥刺し」

【監督】

平山秀幸

【脚本】

伊藤秀裕，江良至

【画像】

掲載許可済
















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