『とんとこひ・セクスアリテ』

April 26, 2006
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寅の日の旦(あした)を鍛冶の急起(とくおき)て     芭蕉

 雲かうばしき南京の地(つち)     羽笠




朔日(ついたち)を鷹もつ鍛冶のいかめしく    荷兮

 月なき空の門はやくあけ      執筆





はる雨や光りうつろふ鍛冶が鎚(つち)   桃首






 寅の日は武神毘沙門天の縁日だから、刀工たるもの、特に早朝より起き出して
仕事に励むことである。

 さかんに立ちのぼる煙に、どこかゆかしい趣がある。ここは南都奈良である
(奈良には刀鍛冶が多く、寅の日は刀を鍛えるにふさわしい。
刀工は朝早く起きて仕事にとりかかるから、夜明けの雲も紫だちて香ばしい)。




 春の日

 月の朔日はいつも心改めて迎えるのであるが、この冬は帝の巡狩のある由が
ふれ出されたので、土地の鍛冶職で自らも愛玩の鷹を所有するこの者は(鷹を
持つというから格式ある刀鍛冶であろう)、特に威儀を正してこの月を迎えた。



 空も未だ明けないうちから、いちはやく門が開かれた。月もない。
所に何代か続く鍛冶職の家。門を開いて威風あたりを払う一行が出発して行く。





 續猿蓑
 巻之下
 春の部


 春の長雨に、ふだんは手入れの行き届いた鍛冶の鎚(鍛冶職の者が使う金槌。
頭に鋼を加えて強化したもので刀剣を鍛える場合や銅器を整形する場合につかう)
も光が鈍って見える。



   参考「新日本古典文学大系」「七十一番職人歌合」(岩波書店)






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Last updated  April 26, 2006 11:51:44 AM
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