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2005.05.28
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 島野はよく空を見るようになった。本当に空を見上げてなにかを観察しようとしていたのかもしれないし、そうではないものを見ようとしていたのかもしれない。わたしが彼になにを見つめているのかと問うことはなかった。わたしは彼を見るだけで話しかけることはなく、島野も話しかけてこなかった。ただ、ときおり目が合って、わたしはその度に胸の内側に流れるわけのわからないものを塞がれた気がして、目を逸らさなかった。もちろん、それは愛情ではなかったと思う。
 島野の表情が変わったことは彼の周りの状況を変え、そしてわたしの状況までも変えた。落ち葉が土にゆっくりと溶けていくように、島野は教室の影に潜むようになった。そのことは彼をクラスの声の大きな男の子から遠ざけていき、そして女の子たちを引きつけた。彼女たちの玩具として、彼は扱われた。どこかしら変わっていて、それなりに魅力的で、そして美化されうる噂の登場人物として。島野を好きだということが、それが彼女たちにとってどれだけ本当かどうだったかは別として、クラスの中での流行になった。恋人を持たず、片思いの相手に恵まれない女の子たちは、試験的に島野を好きだと言った。結局は彼女たちの誰もが、島野を手に入れることはなかった。最初から、そうした方向への可能性は閉ざされていた。彼女たちが本気でなかったからというわけではない。島野は既に、八重草に所有されていた。だから、他の誰も彼を手に入れることはできなかった。もっと正確に言えば、島野は自分が八重草のものだと信じていた。死んだ人は生きている人間を所有することはない。それは、単に死んだ人を自分が愛しているということにしかすぎない。
 わたしも島野を取り囲む好意のイミテーションの輪に、ゆっくりと縛られていった。わたしがクラスの中で興味を感じていたのは島野ぐらいだったし、それが恋愛感情であると周りが思うことも当然だった。わたしを屋上に呼び出し3人で罵った女の子たち、彼女たちがそのグループへとわたしを引き込んだ。彼女たちは、自分たちだけが本当に島野のことを心配していると言った。それがつまり、わたしを罵った理由への釈明らしかった。面倒だったので適当に頷き適当に答えているうちに、彼女たちは納得した。前はわたしの無関心が軽蔑だと勘違され、今ではわたしの無関心は、島野への真剣な思いだと見なされてしまった。結局は彼女たちもわたしに無関心だったのだろう。いつのまにか彼女たちと一緒にお弁当を食べトイレに行き、街を歩くようになった。たまに誰かから打ち明け話として、抜け駆けして島野と話したことや遊びに行ったことなどを聞いた。結局は、誰も彼もがそれなりに善人だったのだろう。少なくとも、わたしの周りには、ひどい悪人はいないようだった。だから、島野はいつまでも誰のものにもならなかった。そしてそのなかでわたしの行為も、なんの意味も持たなかった。





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Last updated  2005.05.28 23:33:12 コメント(1) | コメントを書く


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ひみ@喉

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Comments

ゆう@ とうとう出ちゃったね うわさは本当だったよ。 <small> <a hre…
ミーシャ3216 @ ひみとさんへ 最後まで、楽しく読ませていただきました…
ミーシャ3216 @ ひみとさんへ 抱かれちゃうんだ・・。
ミーシャ3216 @ Re:『かなりあ』(11)(06/07) う。。どうなるのでしょうか・・(//・_・/…
ミーシャ3216 @ うん・・。 >とりあえず、わたしはでたらめだった。…

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