基本的に会社帰りの電車の中ではスマホをいじらずに読書をすることにしています。
好みのジャンルは日本史の戦国時代のものが多いのですが、かならずしもそればかり読むわけではなく、こだわりはありません。
ということで、今回はブックオフでたまたま目についた、江上剛さんの「退職勧奨」という本を購入し、読んでみました。

本のタイトルですが「退職勧奨」という物騒なもので、今年の10月に60歳になる僕の場合も年齢的に当てはまるかもしれない・・・でも退職勧奨などと、そんなことになったら困りますが・・・・・
さて、この本には短編の小説が8本掲載されていて、そのほとんどが定年前後の年齢の男性が主人公となっています。
ちなみにタイトルだけ列記すると
・耳したがう
・おうちに帰ろう
・紙芝居
・ゆるキャラ
・夫、帰る
・ハローワーク
・私の中の彼女
・跡継ぎ
の8編です。
ちなみにこの本の表紙のイラストは「おうちに帰ろう」という話しのなかでのもので、記者会見場で頭取の頭を広報部長が殴っている場面です。
つまり、子会社からの裏金を着服していた頭取が釈明会見をしたのですが、あくまでシラを切りとおそうとした頭取に対して、主人公の52歳の広報部長がついにキレてしまったというシーンです。
なお、この小説の短編の中で、僕は「ハローワーク」という話しが最も心に残っています。
というのも、ようやく定年を迎え、これから趣味を楽しもうとしている主人公に対して、その奥さんがハローワークに行くことを奨めます。
しぶしぶハローワークへと出かけた主人公ですが、働き口はまったくなく、そこで自分よりも少し前に定年になり、趣味に生きることを楽しみにしていた先輩がうつ病になったことを思い出します。
その先輩を病院に見舞った主人公に対して先輩が言った言葉が「給料なんて、少なくて良いんだ。朝起きて、会社に行って、そして自宅に帰ってくる・・・。このパターンが心の安定ももたらすのだ」ということでした。
僕も定年後はのんびりとしたいものだと思っていますが、ただ漠然と趣味を楽しもうなどと考えていると、とんでもないことになるかもしれないので、今から心しておこうと思います。
ほかにも、社内の派閥抗争に巻き込まれそうになったり、リストラを実行して社員を自殺に追い込んでしまったり、飲み屋さんで知り合った紙芝居屋さんの跡を継いだり、海外赴任から帰国したら奥さんから離婚を切り出されたり・・・といろいろな人生模様を描いた短編集になっています。
ちなみに、作者の江上 剛さんですが、実際に銀行マンとして働いていた経験があり、この小説でも銀行が舞台になっているものがいくつもありました。
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