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2005年04月27日
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世界遺産・醍醐寺で歌舞伎をするなんてシャレた演出だ!ということで、ゴールデンウィーク前で仕事がバタバタなのにもかかわらず、会社を半休にして飛んで行きました。真言宗ならではの密教らしい儀式とのコラボレーションや、国宝の伽藍(金堂)を背景にした舞台、そして夜の屋外公演ということで、厳かな空気に包まれた良い舞台でした!非常に面白い観劇体験ができました。

27日から3日間にわたって行われる、この薪歌舞伎ですが、午後6時開演、しかも会場が京都の中心から少し離れた醍醐寺、ということで、普通のサラリーマンにとっては半休をとって行かねばならない厳しい観劇条件でした。醍醐寺に行ったことがなかったので、歌舞伎の前にぐるりと拝観したかったのですが、連休前で仕事は次々と舞い込んできたこともあり、お寺に着いたときにはすでに受付時間を終了してました。当日の観劇チケットがあれば、境内を拝観することもできたということが後で判明して、二重に悔しい思いをしました。

さて、醍醐寺は標高450mの山のふもとにあって、西暦874年に開山された、歴史豊かな世界遺産のお寺です。秀吉が晩年にド派手なお花見(醍醐の花見)をした、桜の名所として知られています。なんでも花見の一ヶ月前に、近畿地方にある桜700本を醍醐寺に持ってこさせたんだそうです。富と権力の偏在がなければありえない荒技ですね。そんな歴史の詰まった醍醐寺ですが、歌舞伎が上演されるのは初めてのことだそうです。

お寺に着いたのは、午後5時20分頃。寺の入口では100枚限定の当日券が売られていました。雨が降った場合は、席数の少ない京都・南座に移ってしまうため、このようなチケットが発売されているということでした。金堂の入口にあたる仁王門のあたりには太い行列ができていました。開演時刻にはまだ余裕があったので、出店のエリアに足を運ぶと、栗や、精進コロッケ、ソフトクリーム、それに焼きものが売られていました。抹茶茶碗が割安だったので、思わずひとつ衝動買い。大文字焼のように蛍光に光るストラップをつけてもらいました。ラッキー! ふと歩いて気がついたのは、国宝や重要文化財の建造物が当たり前のようにそのへんにあること。これはもう一回来なくてはいけない。

開演時刻が近づき、仁王門をくぐって、舞台のある金堂に向かうわけですが、そのアプローチがすばらしい。道の両脇には白と朱のツートンカラーの幕が張られ、頭上にはもみじの新緑が張り出してきていました。アプローチ脇で、オレンジ色の袈裟を着た修行僧たちが法螺貝を持ってスタンバイをしていたのも趣を感じさせてくれました。

会場は、国宝・金堂の前に白木の舞台が組まれていました。パイプ椅子がおよそ横60席、30列にわたって配置されています。観客数は当日分も入れて約1600人。その圧倒的多数がご婦人方でした。僕の席は18列目の舞台やや上手寄りにありました。背景となる金堂や、客席の右手後ろの五重塔(どっちも国宝!)は見事にライトアップされていました。お水取りの時にも感じましたが、伽藍のライトアップは非常に味わいがあります。金堂の中に安置された3体の仏像にも照明があたっていて、普通の舞台とは全く違って仏の存在を感じさせる仕掛けになっていました。

午後6時過ぎ、いよいよ舞台が始まりますが、屋外なので幕が上がるわけではありません。ということで、先ほどスタンバイしていた法螺貝の音や、舞台後方の鐘の音が聞こえてきます。修行僧の列が客席の後ろを通過して、舞台横に並ぶと、護摩焚きが始まります。もわっと濃い灰色の煙が上がります。これは柴燈護摩といって、醍醐寺に伝わる秘法なんだそうです。修行僧の吹く法螺貝の音がフェードアウトしていくと、今度は舞台正面の琴と三味線の音がフェードイン。すると、鮮やかな水色の装束を着た、廷官役の市川海老蔵が舞台上手から登場します。ここから、今回の舞台のために用意された演目「由縁の春醍醐の桜」が始まります。真言密教の儀式とのコラボレーションがうまくかみあった冒頭の演出でした。

個々の演目の評価は難しいのでさておきまして、次の演目は市川団十郎の口上と「にらみ」、それに続く醍醐寺に伝わる声明が披露されました。「にらみ」は邪気を払うとして、団十郎の芸として代々継がれてきた独特の芸です。今回はなんと20年ぶりの「にらみ」ということです。こっちを見てくれないかな、というお客さんの視線が、団十郎に集中していました。

続いての声明は、毎年2月に行われる「仁王会法要」という行事で行われるものと同じだそうです。舞台上に30人近くの修行僧が横に並び、中央の導師のお経をリフレインしたり、合唱したり、輪唱したりしながら、次第にボルテージが上がっていきます。途中から和太鼓の拍子が入り、最後には修行僧が片手に加持棒という細長い棒を振り回します。お経は我々に親しみのある念仏系ではないため、密教的な印象を感じる儀式でした。僧侶の衣装も黄土色の布で体をぐるんと包んだもので、和服と言うよりも「ビルマの竪琴」で僧侶が着ていたものに近い形でした。この一連の演目も、お互いの伝統をふまえつつも、お互いを阻害しない形でのコラボレーションとなっていました。



この舞台で感銘をうけたことのひとつは、役者さんの衣装の色とその組み合わせ。例えば「勧進帳」に登場する義経役の衣装は、上が濃いめの紫で、下が抹茶グリーン。関所を守る役人・富樫役の衣装は、明るいグレー(一澤帆布のバッグでいうと、わさび色)。お召し物と襦袢の色合わせが、鮮やかなのに出過ぎたところがなくて上品。こういう色合わせが広く語り継がれず、今の日本の町並みに反映されていないのは本当に残念ですね。

お昼は汗ばむほどの陽気だったのに、舞台が終わる頃には、観客の大半が体の芯まで冷えていたようで、急いで家路につく人が多かったです。醍醐寺から山科・六地蔵などの駅に向かうバスには列ができていましたが、順番を無視したり、人の背中を平気で押すおばちゃんが続出しました。歌舞伎を見に来る人はもっと上品だと思っていたのに、こういうところが残念でした。

この薪歌舞伎という貴重なイベントを見に来る人の大半がおばちゃん、というのが、非常にがっかりでした。チケットの価格が2万円と高かったので、20代は見に来られないし、開始時刻が6時なので、関心があったとしても30代~40代のサラリーマンの大半も来られません。そういう意味で、客層が限定されたイベントになってしまったのが、素敵な舞台装置と伝統を尊重したコラボレーションの演出が見事なだったなだけに、惜しいと思わずにはいられませんでした。

10日前のお茶会と似たようなまとめになってしまいましたが、伝統文化の継承のために、多様な客が来られるような、設定上の工夫が必要だということを感じました。





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最終更新日  2005年04月28日 04時16分07秒
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