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2005年11月07日
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京都御所の一般公開とあわせて、京都では「非公開文化財特別公開」と題して、ふだん拝観できない秘仏や絵画、庭園が10日間公開されます。今週末、かなり精力的に回りました。一カ所800円という拝観料は、文化財保護のためだとしても、結構キツい。というか、ボッタクリに近い印象すら受けることも。ということで、その拝観料が内容に見合ったものと思えるかどうか、全くの私見ですが、このブログでリベンジします。


☆大徳寺・聚光院
 千利休の墓や、利休好みの茶室「閑隠席」(重要文化財)のある大徳寺の塔頭。原則非公開です。狩野松栄・永徳親子による襖絵(国宝)も見られます。「閑隠席」の床柱は、聚楽第から移してきたと言われます。隣には「桝床席」があります。入口の形が全く違うのがよくわかります。地味でシンプルな中に思想が凝縮されています。特に茶道をやっている人、絵画にこだわりのある人には、見応え充分です。ただ、そういう興味のない人には割高でしょう。

☆大徳寺・黄梅院
 ここも原則非公開。公開されるのは、秋だけだということです。ここは聚光院以上に盛りだくさんでした。3カ所に分かれた庭園は、苔が青々としてとても美しいです。ここにも、千利休の師匠・武野紹鴎が作ったといわれる茶室「昨夢軒」があります。僕は閉門間際に飛び込むように入ってしまいましたが、時間があれば和尚と話せる機会もあるそうです。奥には1本10万円という立派な掛け軸が何点も売られていました。庫裏(=キッチン)は、妙心寺よりも古いのだそうです。ここは普通の人でも見どころ多く、オススメです。 

☆寶樹寺(ほうじゅじ)
 京阪・東福寺駅から北へ徒歩2分ほど。義経の母・常磐御前と3人の子の因縁を今に伝える寺で、それにちなんだ掛け軸2幅と秘仏1体が公開されてました。が、ネタはそれだけ。境内は狭く、展示物の数・質ともに、拝観料に対して少なすぎました。お茶を濁すかのように受付で数珠をいただきましたが、そんな物よりも、拝観料を半額以下にしてほしいと思いました。

☆龍吟庵(りょうぎんあん)
 東福寺の一番奥にある寺院で、これまたこぢんまりとしています。見どころは二カ所。ひとつは、方丈。日本最古の方丈建築ということで、金閣と同じ屋根が使われています。もうひとつは、昭和に作庭家・重森三玲によってつくられたという2つの庭。ふつう、枯山水の庭は白砂に波の模様が入るだけなんですが、西庭には黒い砂とコントラストを出して、稲妻や雲、龍が表現されていますし、東庭には貴船でとれたという赤い砂を使って、過去のイメージ(テレビ的にはセピア色です)が表現されています。こういう斬新な枯山水の表現は、極めて珍しいです。


☆東福寺三門
 東福寺ならではの巨大伽藍のひとつ。幅25メートル、高さ22メートルという大きさで、室町時代にできた日本最古(もちろん国宝)の三門です。ふだんは上がれません。手すりを頼りに、急な階段を上がっていくと、これがまた見晴らしがいいこと。任天堂がすぐ近くに見えます。京都市街を見下ろすような感じです。中央には、釈迦如来像がデンと座っていて、その周りに十六羅漢像が広がります。天井にも、今は色あせていますが、極彩色の画があって、女性の顔をして体が鳥、という天人の姿が描かれています。生きているうちに、この天人を見れば、極楽浄土に行けるという言い伝えがあったそうです。こういう三門に上れる機会は、南禅寺を除いてはほとんどないと言っていいので、よい機会でしょう。

☆知恩院三門
 幅およそ26.6メートル、高さおよそ24メートルという、日本最大の三門です。平成四年に修理を終えたばかりで、天井画は極彩色でした。ここも急な階段を上がっていきます。東福寺よりも知恩院の方が京都の中心にあるので、町に迫る見晴らしが得られます。二階の内部は、東福寺と同じように、中心に釈迦牟尼像があって、十六羅漢像が両脇一列に広がります。天井画の内容も、例の顔が女性、体が鳥、という天人が描いてあるところなどが同じ。違うのは、画家が狩野探幽をはじめとする狩野派一門だということ。ですから、龍が妙心寺や相国寺法堂の天井とよく似てます。
 三門をあえて山門と表記しないのは、迷いから開放されようとする者が通らなければならない門で、空門・無相門・無願門の三解脱門に例えられているからだそうです。つまり解脱したいと思っている人がいたら、三門を何度か歩いてみることをおすすめします。ちなみに僕は同じ日に東福寺と知恩院に行きました。あと南禅寺の三門に行けば、文字通り「三」冠王だったかも? いずれにしても、三門ひとつ上るのに800円って、かかりすぎじゃない?

☆智積院
 成田山新勝寺や川崎大師、高尾山の総本山にあたるという、大きな宗派・真言宗智山派の総本山。どおりで、他の寺に比べてアプローチが広くて看板が立派。ふだんは拝観料が350円なんですが、特別公開込みで800円。特別公開の部分だけで料金をとる他の寺に比べて良心的です。
 ここの見どころは、長谷川等伯一門の障壁画(桃山時代)や、堂本印象の襖絵(昭和)、当時を最も忠実に表現したとされる、一の谷合戦図の屏風(桃山時代)、などの絵画です。どれも構図がしっかりとしてわかりやすく、色もそれぞれの時代の特徴を表していて、面白かったです。堂本印象の襖絵なんて、和服にサンダル姿の女性とワンピース姿の女性が庭でお茶をしている絵ですからね。こんなポップな襖絵があるとは知りませんでした。それだけに、寺が美術館になった、と言っても過言ではないでしょう。小堀遠州作の庭園も、ダイナミックでいいですよ。


いやあ、よく回りました。この秋は合計16カ所で非公開文化財の特別拝観が行われたわけですが、その半分近くに行ったことになります。これだけ行くと、すごくいい勉強になります。絵画や庭園の歴史を知るにはもってこい。でも、やはり一カ所800円がかなりずっしりときます。万博ではないけど、年間パスでもあれば、いろんな場所を勉強できていいのに、と思うのでした。





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最終更新日  2005年11月07日 22時33分43秒
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