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2005年11月10日
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カテゴリ: 伝統文化
お茶の世界で大徳寺・孤蓬庵(こほうあん)の茶会に参加することは、セント・アンド・リュースでゴルフをすることに似ています。その理由ですが、大徳寺が茶道発祥の地であること、孤蓬庵は茶道発展の歴史と密接な関係があること、一般の人が拝観できない場所であること、お茶室をはじめとした建物・庭を含めた全体が重要文化財であること、などなど。そういう場所でお茶をいただく機会は、そう滅多にあるものではありません。当然、出てくる道具やしつらいも超一流のものばかり。ということで、かなり張り切って行ってきました。

今回、参加したお茶会は、江雲会と呼ばれるもの。午前9時半から30分間、法要が営まれたのち、お茶会が始まります。法要ではお茶席を主催する亭主2人が焼香していました。お寺でのお茶会らしい段取りです。法要が終わった直後、お茶会の行われる茶室の前にうわっと列ができます。別に具体的な指示があるわけではないので、毎年参加して段取りを知っている人でないと、こういう動きはできないです。椅子取りゲームのようです。その9割以上が和服姿のおばちゃん。ざっと150人はいたでしょうか。僕は最年少に近く、思いっきりマイノリティです。段取りもわからないので、もちろん最後尾です。

このお茶会では、薄茶席と濃茶席の2会場に分かれていました。僕はまず、比較的待ち時間の長い濃茶席に向かいました。でも最後尾。それぞれのお茶室に入る手前の部屋を「待合」と言うわけですが、そこに入るのにも30分はかかりました。おばちゃんたちは上品に着物を着ていても図々しいのがいて、素知らぬ顔で横から割り込んでくるのもいました。それに、待合いに狩野探幽らしき枯れた感じの襖絵があるのに、「正座ができない」と言わんばかりに足をくずし、気づかずに背中の帯を襖にこすりつけてしまいそうな人がいて、すんごい醜悪でした。

ただ、退屈になりがちな待ち時間では、由緒ある庭や手水鉢をゆっくり眺めることができました。ふだん拝観できないだけあって、庭は、整備されて本当に美しい! 孤蓬庵の庭は、赤土で水を表現していると言われます。奥の灌木を山に見立てて、琵琶湖に浮かぶ舟をイメージしているのだそうです。庭の手前の手水鉢は夕方になると、西日を反射して水面がきらきらと光り、それが茶室の天井に映る…この仕掛けがしゃれている!仕掛けたのは、庭園の名人、小堀遠州。孤蓬庵の庭は、晩年の名作だということです。

濃茶席は、奥の山雲床にありました。待つこと1時間半近く、ようやく待合に入ります。そこで道具の拝見&茶菓子・濃茶へとつながります。今回は静岡のMOA美術館が亭主を務めます。ということで、道具にこだわりが現れます。掛け軸に床の間の壁と同じ狩野探幽の絵をかけたり、利休にちなんだお茶杓が出てきたり。。

続いて、薄茶席へ。こちらの亭主は松尾流。松尾流は、江戸時代に生まれた、名古屋を本拠とする流派です。印象に残ったのはお辞儀の仕方。正座をして、両膝の脇に、手首を前に見せるように手をつくのです。茶室は、忘筌(ぼうせん)という12畳の茶室。ここに27人が詰め込まれました。照明がなく、お昼時でも部屋の中は少し薄暗くなっています。そこに、先ほどの手水鉢の水面を反射した光が天井にゆらめくわけです。床の間には、やはり狩野探幽の障壁画。掛け物は、松尾流の初代の書。寄付は二代目の描いた富士山のシルエットが掛かっていました。

お茶会に行って、庭→床の間→道具と拝見していくと、亭主(主催者)の演出意図が見えてくると言います。演出は、季節感の表現であったり、お茶室そのものの歴史に対する敬意の表れであったり、参加者に対する何らかのメッセージであったりと、時と場合によって違います。自分にはまだまだよくわかりませんし、道具にどれだけの価値があるかもわかりません。ただ、こういう演出がさりげなく出てきて、それをかみしめるのが、お茶会の面白いところ。わかりやすい説明はひとつもなし。自分で察しなさい、ということらしい。そのへんが禅の世界に似ていますね。

孤蓬庵というお茶に縁の深い場所でのお茶会は、茶道の知的な世界を堪能するのにベストの場所です。会場も天気も最高だったのに、僕にはあの図々しいおばちゃんたちがなんとも目障りでした。この人たちが日本の文化を支えているとは思えない。なんとかならんのかいな。





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最終更新日  2005年11月15日 23時48分47秒
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