関西ひとりジョーズ紀行

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2006年04月15日
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カテゴリ: 伝統文化
大阪が本場の伝統芸能、文楽、もちろん無形重要文化財に指定されています。要するに、江戸時代から伝わる人形劇です。一度は行ってみたいと思っていましたが、なかなかきっかけがありませんでした。ちょうどこの日、雨まじりで冬のような寒さで、ちょうど4月公演をやっていることもあって、行ってみました。その面白さ、奥行きの深さはどういったところにあるのでしょうか?

国立文楽劇場は、地下鉄日本橋(にっぽんばし)駅からすぐのところにあります。このへんは東京の国立劇場よりもかなり便利。当日券(一等5800円)を買って入ると、おっちゃん、おばちゃん、海外からの観光客などで、ほぼ満席でした。人形劇のためのシアターなので、こぢんまりとした感じです。20列目くらいで最後尾といったところでしょうか。初めてなので、イヤホンガイドは必須。

この日の演目は(1)寿柱立万歳(2)ひらかな盛衰記(3)勧進帳、の三つ。(1)は「まんざい」と読むことからも推察できるように、いまの漫才の原型となったものです。太夫と才三という二人の男が、権力者(あるいはお金持ち)の家の繁栄を願って、言葉遊びをしながら掛け合いをします。ボケとツッコミという役割分担は、特にありませんでした。(2)は木曽義仲の遺族のその後を描いた狂言。ここで、三味線の鶴澤燕三の襲名披露がありました。文楽の世界では、親子で名前を継ぐのではなく、一門全員に認められた実力者が、前任者の名前を継ぐならわしなのだそうです。(3)は、能や歌舞伎で有名な演目。義経をかばう弁慶が、機転を利かせて関所を通過するお話です。ちょうど去年の今ごろ、歌舞伎の市川団十郎の勧進帳を見たのですが、人形も歌舞伎も、衣装の色・デザインが全く同じなんですね。

文楽では、人間よりも2まわりくらい小さい人形を、3人が呼吸をあわせて動かします。このうち最も動かすのがうまい人が、人形の表情と右手の動き、全体の動きを司り、お客さんにも顔が見えるようにして人形を操ります。残りの二人は黒子の衣装に身を包み、一人が両足と足音を出す担当、もう一人が左手と、メインの人形師の補佐をします。この3人で、人間が行うほぼすべてのアクションをすることができるそうです。すごいな、と思ったのは、悲しそうに背中が震え、ぐったりと首を傾けていく様が、表現されていたときのこと。まさに人間と同じ動きで、悲しさが伝わってきました。

人形が話すのではなく、舞台の上手(かみて)のお囃子方のナレーション兼セリフ廻しと、三味線を中心にした音楽が奏でられます。つまり音声は右耳から入ってくるのです。ユニークだと思ったのは、セリフを言った人が、その後のナレーションも続けて読むこと。例えば「『それはないだろ』と弁慶はつぶやいた」としゃべるとすれば、『それはないだろ』の部分と以降の部分が別々の人間が読むのではない、ということです。これはテレビ慣れしている僕には、少し違和感を感じました。昔ながらのスタイルということでしょうが、音声上はどうしても単調に聞こえてしまいます。

さて、16時スタートで、20時30分に終演。途中休憩が2度、計50分はあろうかと思います。客席の後ろ寄りで人形が小さく見えたことや、ナレーションの単調さ、ポワンと暖かい劇場、などが災いして、激しい睡魔に襲われる時間が長かったです。この闘いに勝つには、事前に何を見に行くか、確固たる視点をもつことや、好きな演目を選ぶこと、それからできるだけ前よりの座席で、人形の細やかな動きをじっと見つめること、などをしていかないと、ダメかなと思いました。

昔、言論や表現が統制されていた時代には、人形劇の表現によって、社会風刺や、人々の抑圧された感情を解き放つ役割があったのだろうな、と思います。歌舞伎には見られない大胆なアクションシーンなどもありますが、文楽を楽しむには、時代背景や、この芸能ならではの規制や表現の難しさを想像する力が必要だと思います。





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最終更新日  2006年04月18日 22時50分34秒
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