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2007年02月03日
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テーマ: 京都。(6437)
カテゴリ: 伝統文化
きもの好きなら誰もが憧れるという、履き物専門店「ない藤」。履き物といっても、靴やサンダルではなく、草履や下駄、木履(ぽっくり)が専門。客の足に合わせた完全オーダーメイド制で、顧客にはお茶の家元や女優さんなどが名を連ねます。今回、伝統未来塾の授業に参加して、その深い履き物の世界の話を聞くことができました。やはりプロの職人さんの話は面白かった!

今回、話を聞いたのは「ない藤」5代目の内藤誠治さん。去年5月に先代が亡くなって、後を継いだばかりです。

「ない藤」のポリシーは「売らない・つくらない・捨てない」。最初の2つは逆説的に聞こえますが、「売らない」は売り手の論理を客に押しつけないという意味で、「つくらない」は客に合ったものしかつくらないという意味で使われるのだそうです。

真っ白な草履や、東大寺のお水取りで僧侶が履く下駄など、様々な履き物を見せてくれました。側面に和紙を貼ったものや、漆を塗ったもの、全面に金箔が貼られたものなど、高い質感を感じさせるものばかり。これを履き物で使うなんて、もったいないように感じました。「ない藤」の履き物は鼻緒や台を修理して使い続けることができます。例えば、真っ白な草履が汚れてきて、すり減ってきたら、台を取り替え、漆を塗ると、全く別の草履に生まれ変わります。良いものを丁寧に長く使い続けることで、さらに価値が出てくるという好例です。

ない藤の履き物1

内藤さんは、足を見ただけでその人の人生がある程度わかると言います。今まで見た最も美しい足は、岐阜の農村のおばあちゃんの足。その足に感動した内藤さんは「おばあちゃん、よく働いたんだね」と、しみじみ話しかけたのだそうです。逆に、とある令嬢の足は、あまりにもふにゃっと柔らかく、将来が案じられるということでした。顔の骨格と足の骨格にも関連があるのだそうです。先代は、顔を見ればその人の足がわかったと言います。その道を究めた職人ならではのエピソードですね。

今から足を鍛えるにはどうしたらいいのでしょう? 「歩き出しの5歩でいいから、指先を感じて歩いてほしいということです。足の指先に力が入るようになれば、立ち上がるときによろめくことが少なくなります」「草履を履くと、所作がきれいになります」

内藤さんは「履き物は3足で充分」と言います。1足目は「格調が高くて、自分が主役のとき」の真っ白な草履。2足目は「格調が高くて、自分が脇役に回るとき」の黒い草履。3足目は「格調が高くて、自分が気楽に履けるもの」。こうすれば、着物の色に合わせて何足も持たなくて済みます。

ない藤の履き物2

履き物をつくる際には、どういう立場、どういう場面で使うかをはっきりさせること。色やデザインの好き嫌いではなく、格調の高さで選ぶこと。洋服のように好きな色で自己主張するのではなく、帯の格調を決めてから、着物、履き物を合わせていく、和服のコーディネートの仕方でいくとよいのだそうです。自己主張の欧米型と、周辺から調和させようとする日本型、足下のファッションにも文化の違いが出てくるようです。

内藤さんは、今になって、先代の言うことが少しずつわかるようになってきたと言います。「履き物づくりは伝承でないといけない」。その美意識や精神性は、マニュアルでは伝わらないからです。履き物とは「家を出てから目的地まで自分を運ぶ仮の住まい」であり、「将来の自分のイメージ」を表すもの。そういう意識をもって履き物を選び、使ってほしいということでした。







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最終更新日  2012年04月18日 02時57分36秒
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