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2008年03月02日
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カテゴリ: 伝統文化
東大寺の「お水取り」は古都・奈良に春を呼ぶ行事として有名ですが、その10日前の3月2日に、小浜では「お水送り」が行われます。「お水送り」と「お水取り」はパスの出し手と受け手のようなものです。いままで「お水取り」には3度行きましたが、「お水送り」はまだ。年に一日しかなく、今年は日曜日にあたることから、絶好のチャンスです! 

my手松明

お水送りのルーツは、なんと1250年あまり前にさかのぼります。752年、東大寺に全国の神様を招いて開かれた修二会(しゅにえ)に、若狭の遠敷(おにゅう)明神が漁に夢中になったために遅刻してしまいます。そのおわびとして、遠敷明神は、二月堂の本尊に供える閼伽水(あかすい・清浄聖水)を若狭から送ると約束します。その神通力が発揮されると、地面が割れ、白と黒の二羽の鵜が飛び出て、穴から清水が湧き出たというのです。古来、小浜と奈良は地下で結ばれていると信じられてきたのだそうです。

清水の元となった場所は「鵜の瀬」と呼ばれ、「お水送り」の行事の行われる場所となり、この湧き水が出た場所は「若狭井」と名付けられ、「お水取り」ではそこから閼伽水を汲み上げ本尊にお供えされます。こうして、お水送りとお水取りは、小浜と奈良で離れていながらも、切っても切れない行事になったのです。

神宮寺の裏口

さて、お水送りの終了予定時刻は午後9時過ぎ。この時間には大阪に戻るバスも電車もない...ということで、今回はレンタカーで向かうことにしました。夕方、小浜駅前の観光局に問い合わせると、毎年3000人近い客でにぎわうので早めに会場に向かったほうがいいということでした。あわてて、午後5時30分過ぎに臨時駐車場に着き、シャトルバスに乗り換え(運賃100円)、神宮寺に入りました。

お水送りの手松明@神宮寺

境内の入口では、たいまつを売っていました。1本1000円。マジックで願い事と氏名を記入します。この日は1600本用意され、そのほとんどが売れていました。松明を買わない人も多く、2000人から3000人の参拝客がいたことになります。

お水送り@神宮寺

階段をあがると、すでに多くの参拝客が、本堂前を埋め尽くしていました。こういうときのためにと、持参したステップスツールが活躍してくれました。

本堂が暗くなり、達陀(だったん)が始まりました。マイクを通して、暗くつぶやくようなお経が聞こえてきました。やがて、お堂の中のシルエットが明るくなったり、暗くなったり。たいまつを大きく振られるのがわかるとどよめきが起こります。「おおお、お堂が燃えてしまうのではないか?」...赤装束の僧が振り回す巨大なたいまつは、本堂の正面に出てきます。東大寺のお水取りのように、手すりに乗せるようにお堂の左右に大きく動き回ります。

達陀@神宮寺

続いて、たいまつは、砕氷船が流氷を割るかのように、本堂前の参拝客をかきわけて、境内の大護摩壇に進みます。ここで大護摩法要。いつ大護摩が燃え上がるのかと、カメラを手に待ち構えていましたが、法要は粛々と丁寧に進められていました。

護摩焚き@神宮寺

いよいよ、護摩焚きのスタート。点火と同時に、煙がもうもうと立体的に上がります。たいまつの強いにおいがして、上空には灰が上がります。頭や肩に降る灰を振り払う参拝客はほとんどいません。「お水取り」と同じように、この灰をかぶれば一年間無病息災でいられるという期待があるのかもしれません。

大松明@神宮寺



手松明の行列@神宮寺

自分も、行列の最後の方に加わりました。これは護摩壇から松明に点火するところです。

松明に点火@神宮寺

寺の階段を下りると、たいまつの列が非常に美しく見えます。

松明行列1@お水送り

1.8kmの火の帯ができていました。鵜の瀬までの美しい列が蛇行します。

松明行列2@お水送り

自分のたいまつは、神宮寺を出たところで強風にあたって一気に燃えあがりました。しまった!これでは鵜の瀬に着く前に燃え尽きてしまう...と、沿道に置かれたバケツや、道路脇の残雪を使って、火の勢いを弱めてみました。が、あまり効果がないまま、あっという間に残り30センチくらいに。泣く泣く消すことにしました。消えた残りを手に、早足で鵜の瀬へ。

お水送り@鵜の瀬2

鵜の瀬の鳥居前で、参加者全員がたいまつの火を消しますが、階段の前で参加者がたまったまま動けなくなっています。境内が狭くて、人の整理がつかないと、中に入れないというのです。かなりの時間、待ちました。

大護摩@鵜の瀬

鳥居をくぐり、階段をおりると、奥に遠敷川が流れ、手前の河原で大護摩が焚かれていました。僧侶や行者が取り囲むように、お経をあげ、鈴を鳴らしていました。大護摩のオレンジの明かりに包まれて、神秘的な雰囲気に包まれます。

お水送り@鵜の瀬

遠敷川に燃えかすが落ちるように、大きなたいまつが置かれていました。冷たい水と燃えさかるたいまつ...すごい煙に包まれて、むせかえります。

大護摩2@鵜の瀬

ちょうど、自分が入って5分くらいすると、注目の送水神事が始まりました。僧侶や行者が遠敷川をわたります。向こう岸で神事を行っているのがはっきりと見えました。白装束の水師が刀で水を切るような仕草をしたあと、送水文を読み、竹筒をかたむけ、御香水を川にそそぎました。写真は送水文を奉上しているところ。

送水神事@鵜の瀬

これから、御香水は10日間かけて、若狭から大和の国に向かいます。

御香水の竹筒

神事が終わったのは、午後9時15分ごろ。鵜の瀬前のバス停で延々とシャトルバスを待ちました。近くの国道までは一本道で混雑しているようで、小浜駅行きと、駐車場行き、いずれも迎えのバスがなかなか来ませんでした。駐車場に戻ったのは午後10時過ぎです。結局、2度の休憩をはさんで、大阪に戻ったのは午前1時過ぎでした。

「お水送り」はとても日本らしい、神仏習合ともいえる行事です。見た目にも神秘的で幻想的。自分でたいまつを手に持ち運ぶことができるので、参加意識も高まります。寒くて不便で大変ですが、とにかく見に行ってよかった、と思いました。ぜひオバマ候補にも見てもらいたい、火と水の織りなす美しいお祭りでした。





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最終更新日  2008年03月10日 01時23分01秒
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