桧山 良秀「クラシックの愉しみ」裏話

桧山 良秀「クラシックの愉しみ」裏話

August 9, 2015
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暦の上では立秋も過ぎたらしく、昨日あたりから夕方の風が涼しくなってきた札幌とはいえ、お盆前の盛夏の昼下がりに聴くブルックナーの7番。好きなのは最初にレコードを買ったワルターのものや、カラヤンの最後の録音になったものなどだが、今かけているのは古いシューリヒトのもの。馴染の曲には多かれ少なかれそれにまつわる思い出がつきもので、この演奏にも学生時代の夏の合宿と分かちがたく結びつくものがある。当時の北大の音楽鑑賞サークルという極めて軟派な集まりには、なぜか夏の合宿というものがあって、7月の終わりころだったか、必ず、支笏湖にあったオンボロの寮のような施設に、何人かで、何泊か、泊まりがけで出かけたものだった。皆で炊事したり、近くの山や湖沼に出かけたり、夏休みをそれなりに満喫したものだ。当然ながら、当時部室で使っていた、たしかトリオのチューナーアンプや、メーカーは憶えていないがレコードプレイヤーを持って行った。スピーカーは、その頃部室にあった手作りのものは大きすぎて運べなかったので、誰だったか部員の私物の、フォスターの10センチフルレンジの入った真四角で小ぶりなものが持ち込まれた。ソースは部員の持ち寄りであったが、人気の1番が、シューリヒトのブルックナーの7番のスケルツォであった。当時のレコードにしても、決していい音ではなかったし、今CDになったものを聴いていると、同じくいい音ではないが、その頃の気持ちのいい夏の朝と、古びた建物と、汚い畳の大部屋と、その頃居た、とくに愛想もない寮守りの老夫婦を思い出す。
昔は今ほどソースの選択肢が少なく、シューリヒトのものが、当時の学生の手に入る数種類の一つにすぎなかったのではないかとも思うが、今となってはやたら沢山出回っている同曲のソースの中でも、決して悪い方ではないとも思う。言うまでもなく、昔は誰でも彼でもレコーディングさせてもらえなかったはずだから、少ない選択肢とはいえ、大外れというものは少なかったに違いない。比べると、今はあまりにも玉石混淆。選択肢の多過ぎさが、逆に、出会いや感動への妨げにさえなっているのではないかと思ったりしてしまう。





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Last updated  August 9, 2015 04:04:47 PM
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