桧山 良秀「クラシックの愉しみ」裏話

桧山 良秀「クラシックの愉しみ」裏話

November 29, 2015
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指揮にアシュケナージ。モーツァルトの25番コンチェルトのソリストは河村尚子なので、ピアノは弾かない。彼ももう80くらいだろうから、次に、指揮姿であっても、見る機会が来るかどうかは判らないけれど、舞台への入退場の際のチョコマカしたコミカルな(本人は意識してやってるわけじゃないに違いないが)動きに衰えはなかった。彼ほどの実力と実績のある音楽家にして、ああいう聴衆や楽員たちへの接し方(例えば指揮棒を横に咥えてソリストに拍手を送ったりとか)には頭が下がるし、一層の微笑ましさを覚えた人が多かったのではないか?
演目の最初は「プロメテウスの創造物」序曲、ベートーヴェンのOP.43。先日ラハティSOを聴いたばかりだが、次のモーツァルト共、それよりももっと小さな編成の、10-8-6-4-3。比べると札響の音の方がきめ細やか。国民性と人種の違い?アシュケナージの指揮は判り易い。
河村尚子は初めて聴いたが、評判から受けていたイメージとは随分違った。予想外にガッシリした体格と態度で、ひ弱さは微塵もないベートーヴェン向きのピアノの音。指は非常に良く回るが、チャーミング不足というか、デリケートな軽やかさには乏しい。第1楽章のカデンツァの中に「ラ・マルセイエーズ」のフレーズが出て来て驚いた。先般のフランスでの惨事に対して、彼女なりに何か表現したかったんだろう。
意外なことに、モーツァルトの25番協奏曲が定期に載るのは初めてだったらしい。たしかに20番以降の中では、軍楽調で始まり、あまり気を引く曲ではないけれど(そういえばアルゲリッチとアバドの最後の共演CDにも入っていた)、第3楽章なんか愉しげで悪くない曲なんだが。
アシュケナージに促されたアンコールで、バッハの有名な世俗カンタータ208番の「羊は安らかに草を食み」(ブゾーニの弟子のペトリ編曲)を、なぜか弾いた。さっきのカデンツァのときのように、何か意味があったのかはわからない。
休憩後はショスタコの10番。この夏ゲルギエフがPMFで取り上げたばかりの曲だったが、その時に受けた印象とは全然違って、ある意味とても判り易い演奏だった。ゲルギエフと違って、アシュケナージは、ショスタコと同じように、体制に苦しめられただけ、曲の解釈が切実で、説得力が強いのではないか?札響もその想いに良く応えていたと思う。
ラハティ公演の後に降った大雪と寒気で池は結氷して、キタラへの路はすっかり冬景色に変わった。






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Last updated  November 29, 2015 04:03:44 PM
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