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腐れ縁ヒデ悲痛「もうマツに伝えた」

　Ｕ－１６日本代表が発足した当時から、ともに歩んできた。そこからＡ代表に残ったのは、２人だけだ。

　中田氏は「腐れ縁」と表現し、松田さんは「ヒデを殴れるのはオレだけ」と語っていた。中田氏が主催した今年１月の慈善試合（宮崎）でも共演。中田氏の言葉は、２人の特別な関係を表していた。

中田氏「松には伝えた」代表で一緒にプレー

　サッカーの元日本代表の松田直樹さんが死去したことを受け、２００２年ワールドカップ（Ｗ杯）日韓大会などで一緒にプレーした中田英寿さんの所属事務所社長が４日、中田さんのコメントとして「俺はもう松には伝えたから。わざわざ他の人に言うことじゃない」とツイッターに記した。中田さんは報道陣に直接コメントすることはなかった。

　中田さんは各年代別代表や、アトランタ、シドニー両五輪で松田さんとともにプレー。０２年Ｗ杯では、ともに主力として決勝トーナメント進出に貢献した。

訃報に悲しみの横浜Ｍ　後輩の栗原は涙

　松田さんが１６年間所属した古巣、Ｊ１横浜Ｍのクラブハウスは４日午後、深い悲しみに包まれた。同じＤＦのポジションの後輩で、３日に日本代表候補合宿を終えた直後に見舞った、栗原選手の目は真っ赤だった。「それなりに覚悟はしていた。わがままばかり言う人で、最後ぐらいみんなの言うことを聞いてほしかったけれど…聞いてくれなかったですね」と話すと、こらえ切れずに涙があふれた。

　栗原選手は松田さんの兄と対面。「弟の分まで頑張って、と言われたのが、一番ずしっと来た。（リーグ）優勝してマツさんを悔しがらせたい」と、託された思いに応えようと前を向いた。

　同じく前日に入院先を訪れたＧＫ飯倉選手は「おとこ気があって、ファンにも好かれていた。ミスターマリノスだった」と沈痛な表情。横浜Ｍユースで育ち、今季川崎から加入したＭＦ谷口選手も「マツさんの試合は１００試合ぐらい見ている。残念」と目を伏せた。

　松田さんは７月３０日に大宮戦が行われたホームの日産スタジアムを訪れ、元気な姿を見せていたという。嘉悦社長は「試合のときにあいつは最後に出てきて、ハイタッチをする。それが思い出」と号泣。強化担当として付き合いが長かった下条チーム統括本部長は「あいつはやんちゃなんだ。記者会見や集合場所に連れて行くのは大変で…。怒る役はいつも俺だった」と目を潤ませた。（共同）

「本当に負けず嫌いで、いつになってもおまえに負ける気がしないと言われていた。昨日（病床に見舞ったとき）の状態を見てそれなりに覚悟はしていたが、つらいですね」

横浜Ｍ、松田さんへの献花台を設置

Ｊ１横浜Ｍは４日、同日に心筋梗塞のために亡くなった松田直樹さんへの献花を受け付ける献花台を、横浜市西区の練習場「マリノスタウン」の観戦スタンド下に設置すると発表した。

　設置期間は５日から１１日までで、時間は午前９時半から午後７時まで。

ＦＩＦＡ会長が松田さんに弔意「伝説的」
国際サッカー連盟（ＦＩＦＡ）は４日、ブラッター会長が日本協会の小倉純二会長宛てに元日本代表の松田直樹さんの死去を悼む手紙を送ったことを公式サイトで明らかにした。

　ブラッター会長は「松田選手は日本代表の伝説的なＤＦだった。ＦＩＦＡと世界のサッカーファミリーを代表して、お悔やみを申し上げたい」と記した。ＦＩＦＡは同サイトで松田さんの日本代表での経歴などを紹介し「日本で非常に愛された選手だった」と惜しんだ。

　日本代表としても活躍した松田直樹さんの訃報から１時間後の４日午後２時、日本サッカー協会は１０日のキリンチャレンジ杯・韓国戦（札幌ド）の日本代表メンバー２３人を発表。選出されたＤＦ栗原勇蔵（２７）＝横浜Ｍ＝は、兄のように慕った松田さんの“遺志”を継いで戦い続けることを誓った。アルベルト・ザッケローニ監督（５８）らも哀悼の意を表明。松田さんも打倒に燃えたライバルとの一戦は“弔い合戦”となる。

　こらえていた涙があふれると、思いは後から後から頬をぬらした。

　「わがままばっかり言う人だった。でも最後くらい…。最後くらい…みんなの言うことを聞いてほしかった…」

　代表選出の吉報の１時間前。練習を終え、クラブハウスに残っていた栗原に聞きたくなかった知らせが届いた。プロ入り後、９年間横浜Ｍでともにプレーした松田さんの死。「覚悟はしていたけれど…」。同じセンターバック。強気でやんちゃな性格もそっくりで、公私ともに後を追い続けてきた“兄貴”が逝った。

　前夜、札幌での代表合宿を終え、松本市の病院に駆けつけた。あれも言おう、これも言おうと考え続けてきた言葉は、集中治療室でベッドに横たわる松田さんの姿を見た途端、吹き飛んだ。胸が震え、顔をよく見ることさえできなかった。

　帰り際、背中を丸める栗原に、松田さんの兄が声をかけた。「弟の分まで頑張ってください」。母、姉、兄という家族構成は、栗原も同じ。「ズシッときて。頑張らないといけないと思った」。誓いを胸に刻んだ。

　負けず嫌いだった松田さんに言われた言葉が耳に残る。「いつになっても、お前に負ける気はしないよ」。横浜Ｍを３度のリーグ優勝に導き、日の丸を背負って熱いプレーを見せた松田さん。永遠に追い抜くことのできない大きな背中を目印に、栗原は走り続ける。

小嶺元監督、死を悼む「日本を担う人材」

高校サッカーの強豪、国見で長く監督を務め、Ｕ－１７日本代表監督としても松田さんを指導した小嶺忠敏・長崎総合科学大教授は「指導者としても日本を担う人材を失ってしまった」と悼んだ。

　小嶺氏は松田さんの資質を見抜き、ＦＷからＤＦにコンバート。長身と身体能力に加え「意外と素直なところがあり、ＤＦに大事な周囲との信頼関係を築ける選手だったこと」が理由だった。

　松田さんはその後「日本最高のＤＦ」と呼ばれるまでに成長し、０２年Ｗ杯日韓大会などで活躍。今季からはＪＦＬの松本山雅で再出発したが「そこまで活躍した選手がＪＦＬでやるのは勇気がいる。その経験は指導者になって生きるはずだった」と残念がった。

　最後に会ったのは「２年前くらいに横浜でやったＵ－１７代表の同窓会」という。７月には小嶺氏が１月まで社長を務めたＪＦＬ、Ｖ・ファーレン長崎が、本拠地で松本山雅と対戦。松田さんは「あいさつがしたい」と恩師の姿を探していたというが、小嶺氏は海外に出かけていて会えなかったという。

ＦＩＦＡ会長が松田さんに弔意「伝説的」

　ブラッター会長は「松田選手は日本代表の伝説的なＤＦだった。ＦＩＦＡと世界のサッカーファミリーを代表して、お悔やみを申し上げたい」と記した。ＦＩＦＡは同サイトで松田さんの日本代表での経歴などを紹介し「日本で非常に愛された選手だった」と惜しんだ。（共同

小野＆川口らトルシエ日本からも悲しみの声

　サッカー元日本代表ＤＦで、日本フットボールリーグ（ＪＦＬ）松本山雅ＦＣに所属する松田直樹選手が４日午後１時すぎ、長野県松本市の信州大病院で死去した。かつてプレーをともにした同僚らが故人を偲んだ。（共同）

小野伸二（清水）

「悲しいとしか言いようがない。サッカーだけでなく、人間としても素晴らしい選手がこの若さで亡くなるのは悲しすぎる」

川口能活（磐田）

「頭が真っ白で、今、言葉にできることはありません」

高原直泰（清水）

「マツ（松田）さんならまた戻ってプレーしてくれると信じていた。残念でしょうがない」

Ｃ大阪・森島寛晃アンバサダー（元日本代表選手）の話

「今はまだ信じられない。Ｗ杯という同じ舞台で戦い、またＪリーグでともに戦ってきたメンバーなだけに残念でならない。サッカーに対して人一倍の情熱を持っていた」

トルシエ元日本代表監督

「松田選手は五輪代表から私の采配の下でたくさんの試合に出場し、強い存在感を残してきた。４年にわたった私の「実験室」のすべてを知っていた選手。フラット３のシステムでキーマンの１人だった。今すごく、悲しんでいる」

ザッケローニ日本代表監督

「松田選手とは直接、知り合うことはなかったが、昨年Ｊリーグで見て素晴らしい選手だということは分かっていた。ご冥福をお祈りします」

栗原勇蔵（横浜Ｍ）

「本当に負けず嫌いで、いつになってもおまえに負ける気がしないと言われていた。昨日（病床に見舞ったとき）の状態を見てそれなりに覚悟はしていたが、つらいですね」

川淵三郎・日本サッカー協会名誉会長

「７月３日の信州ダービーマッチで松田選手が元気にプレーするのを見ていただけに、突然の訃報に言葉もありません。思い出は２００４年のアジア・カップ。控えだったにもかかわらず、先頭に立ってチームを盛り上げたことが優勝につながった。優勝を心から喜び、無邪気にはしゃいでいた姿が今でも強烈に残っています」

小倉純二・日本サッカー協会会長

「ＪＦＬのチームをＪリーグに昇格させるべく、新たにチャレンジしていたにもかかわらず、道半ばで逝去されたことはわれわれにとっても大きな痛手。松田選手の華麗なプレーをサッカーファミリーは決して忘れることはありません。彼の遺志を継ぎ、サッカーの発展に尽くしたい」

田嶋幸三・日本サッカー協会副会長の話

「残念で、残念でならない。スケールが大きく、独特の個性で日本人にないものを持っていた。世界に通用する選手だった」

桑原勝義・日本フットボールリーグ（ＪＦＬ）理事長の話

「松田選手が松本山雅に入団したことで例年にないメディアでの露出の多さ、観客動員など、ＪＦＬの活性化を担っていただいた。日本のサッカー界にとっても大事な宝を失い、とても残念でたまりません」

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