環境・エネルギー&気になる情報2

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2012年01月07日
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カテゴリ: エコサイクル
 水を確保することが難しい砂漠で、空気中から水を取り出す装置が各地の大学や企業で開発されている。

 実用化できれば世界中のどのような乾燥地帯でも水の調達が可能となり、現在も進行し続ける砂漠化を食い止める緑化に威力を発揮するという。

 自然災害時の飲料水確保も期待されるという優れものの装置。その開発状況を探った。

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 鳥取大学が製品化を目指しているのは、立方体のブロックを積み上げたユニークな形状の「多段式造水装置」。冬場、窓ガラスの室内側に水滴がつく「結露」の原理を利用する。

 パソコン内部の冷却にも利用され温度制御に優れた半導体素子「ペルチェ素子」を使い、積み上げたブロックのうち縦1列を冷却。すると、ブロック内の空気が凝縮して水滴ができ、無数に立てられた板に付着する。その水滴が落ちて下部のタンクに水がたまる仕組みだ。

 積み上げたブロックの天井部にはファンが設置され、下に向けて常に新しい空気を流すことで造水効率を高める。ブロックごとに解体できるので持ち運びに便利で組み立ても簡単。

 ペルチェ素子の冷却やファンの回転に電力が必要だが、それ以外には可動部がなく、砂ぼこりによる故障の心配が少ない利点があるといい、同大地域学部の田川公太朗・准教授が中心になって事業化に向けた研究を進めている。

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 洗面器を大きくしたような容器に除湿剤としても使われる塩化カルシウムの粉を大量に入れ、ファンで粉に空気を当て続ける。

 すると塩化カルシウムが空気中の水分を吸着。かき混ぜることで吸着のスピードが高まる性質を生かし、容器の中では「混合羽根」を常に回転させる。

 こうして塩化カルシウムにほぼ同じ量の水分が吸着して液体化。これを蒸留器で蒸発させて水を分離するシンプルな仕組みで、残った塩化カルシウムは何度でも再生利用が可能だ。

 湿度35%の条件で、直径1・5メートルの容器に30キロの塩化カルシウムを入れた実験では、30リットルの飲料水を4時間でつくることに成功したという。

 砂漠化による水不足や飢餓で子供たちが犠牲になるというニュースをきっかけに8年前に装置を考案し、試行錯誤を繰り返してきたという同社の菱田巌会長(82)は「現地の人が簡単に低コストで水をつくれる装置がようやくできた。砂漠に並べて貧困や水源をめぐる紛争をなくしたい」と話す。

 空気清浄機や除湿機を製造・販売するカンキョー(横浜市)では、室内の湿度を効率的に下げる自社の技術を活用し、自然エネルギーだけで稼働させる造水装置を開発中だ。

 同社の除湿機でも使われている吸湿板付きの円盤を煙突のような管の中に設置し、空気中の水分を吸着させる。

 太陽エネルギーで作った熱を吸湿板に当てて吸着した水分をいったん蒸発させた後、水蒸気を含んだこの空気を、夜間に冷え込む砂漠で作った冷水で冷却して水に戻すという。

 完成すると高さ3メートルほどの装置になり、同社は湿度40%の空気から1日200リットルの造水を目標にしている。

《産経新聞》





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最終更新日  2012年01月07日 16時43分54秒
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