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2006.11.29
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カテゴリ: 邦書

 推理作家鮎川哲也が本格推理短編一般公募した結果出版された短編集第13弾。12編の応募作品の他に、鮎川哲也氏のこれまで未収録だった作品が5編収録されている。残りは こちら


粗筋

「プロ達の夜会」:林康広
 劇場で大道具係が転落死。その謎を解くのはサンタクロースの格好をした刑事。女優の控え室を訪れ、長々と会話しながら推理するが……。
 ……犯人は女優の子供を人質にしてトイレに閉じこもっていた。それに気付いた刑事は、犯人に気付かれないよう、会話を装ってその女優と一緒に救出作戦を練っていたのである。
 犯人はドア越しで会話を聞いていただけなので、まさか刑事が女優のサインを求めた際、その色紙に救出作戦について書かれているとは知らなかった。
 犯人は、自分がトイレに隠れていることを指摘され、飛び出すが、控え室には多数の警官が銃を構えて待ちかまえていた。
 コンセプトとしては面白いが、読み辛い。なぜかセンテンスごとに改行してあるのだ。……と思ったら普通の文章になっていて、そのことが気になってしまい、文の内容が頭に入らなかった。
 作者は第8巻でも短編が採用されている。

「死霊の手招き」:飛鳥悟
 加納と私は寺西のマンションを訪れた。寺西はチェーンをかけたままのドアを開けた。二人を見てドアを閉じてしまう。二人は何だと思っていると中から悲鳴が聞こえた。二人はドアを破って入った。寺西の姿はなかった。ベランダに面するガラスサッシュは鍵がかかっている。にも拘わらず、ベランダに出て、下を覗くと、寺西が死んでいた。
 外から目撃していた人物によると、寺西は宙に浮かぶ人間によって手招きされ、ベランダから落下したという。
 犯人は寺西をほんの僅かの間にどうやって殺し、脱出し、ベランダの鍵をかけて去ったのか……。
 ……犯人は加納。二人でマンションのドアを破った際、寺西はトイレに隠れていた。トイレを確認したのは加納だった。トイレには誰もいない、と嘘をついたので、マンション内に誰もいない、と錯覚したのだ。
 ベランダに出て下を覗いた時、見たのは寺西の死体ではなく、人形だった。加納は私に死体を確認させたが、マンションには階段しかなかった。私が階段を下っている最中、加納は寺西と共にロープで人形を回収した。人形が宙に浮いている段階で、加納は寺西をベランダから突き落とした。その場面が、外から目撃していた人物には宙に浮く人間が手招きして寺西を落下させたように見えたのだ。
 出だしが幽霊話で始まるので、宙に浮く人間が死霊と誤解され、雰囲気を上げている。ただ、計画がここまでスムーズに行くかね、と思ってしまう。
 動機もトリックの割には地味で、何でその程度のことでこんなことを、と思ってしまう。
 作者は11巻の「完全無穴の密室」も書いている。物理的なトリックが好きなようだ。

「遺体崩壊」:城之内名津夫
 ピアニストが、ダム建設で水没する村でリサイタルをやるよう、招待される。村人のほとんどは刃物供養という祭りに行っているため、客はまばら。それでなくても乗り気でないのに、観客の態度に立腹した彼は、観客の一人と喧嘩してしまう。留置所で一晩過ごすことになった。
 ピアニストは、翌朝釈放されると、ホテルに徒歩で歩いて戻った。途中、前日にはなかったプレハブがあることに気付く。
 その中にはダム建設を強行した国会議員のバラバラ死体があった……。
 ……犯人は村人全員。国会議員を拉致し、刃物供養を装って全員で刺し殺したのだ。議員が拉致された宿も村の者だったから、「何の異常もなかった」と証言したのだ。
 これと同じような事件が実際にあったというのをテレビで観た覚えがあるので、新鮮味に乏しかった。
 探偵役が嫌味。

「猫の手就職事件」:南雲悠
 切断された猫の手が警察の科学分析部に送られる。誰が、何の目的でこんなことをしたのか……。
 ……宛先の科学分析官である大手に対する嫌がらせだった。彼はある女性をコネで採用していたのだ。その女性は瑠璃香という名前だったが、「猫の手を借りる」を逆に読むと「ルリカヲテノコネ」つまり「瑠璃香、大手のコネ」になる。
 別の女性分析官は、コネで採用された瑠璃香に嫉妬し、上司に研究用の猫の死体を送り付けた」のだ。
 暗号トリックはどれも作者の自分勝手なところがあり、真相が明らかにされても「ふーん」くらいの感想しかない。これも例外ではない。しかも「猫の手を借りる」ではなく、「猫の手も借りたい」だろうが。

「黄昏の落とし物」:涼本壇児朗
 浮浪者が投身自殺する。下にいた人を巻き込んで死亡する。この周辺では浮浪者の変死が続発していた。事故なのか、殺人なのか……。
 ……犯人は浮浪者が投身自殺したと思われるビルの管理人。彼は浮浪者を殺したかったのではなく、下にいる人間を殺したかったのである。つまり、浮浪者を凶器にしたのだ。
 浮浪者の変死が相次いでいたのは、犯人が落下地点を確認する為の実験として突き落としていたからである。
 面白いトリックだが、作者が不慣れな刑事物として書いてしまったため、どうも不発気味。もう少し上手く書いていればまともなのに仕上がっていただろうにと思ってしまう。


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解説

第13巻は12巻以上にこれはというものがなく、どこが評価されて採用されたのかが理解できなかった。


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Last updated  2006.11.29 14:43:52
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