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2009.04.25
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カテゴリ: 映画レビュー
今日レンタルDVDで見て、とんでもない衝撃を受けたので久しぶりに。


この記事には内閣緊急対策本部よりネタバレ警報が発令されています。
この映画を見ておらずネタをばらされたくない人は、直ちに40丁目の交差点で待機している陸上自衛隊のヘリコプターで脱出してください。




 「クローバーフィールド HAKAISHA」は公開当時かなり話題の作品になっていましたが、改めてその内容を説明しますと、ニューヨークを襲う謎の惨事を、何も知らぬ一般市民目線で追い続けた疑似ドキュメンタリーです。

 私はこの映画を見終わってショックを受けました。
これが映画か!?
 否定的な意味で言っているのではありません。純粋にこれまで見てきた映画とはまるで違うものだったからです。この映画は、普通の映画でよくある全ての情報が集まる軍の司令部や、科学者による説明、そして主人公たちの深謀遠慮さえもありません。
 わけの分からぬまま異常事態に放り込まれ、とにかく恋人を助けたくて仕方がない男と、そんな友人を見捨てられない人々が何ら情報がないままに動いていく様子を描いたものです。入ってくる情報は断片的な目撃のみ、最低限の情報である光と音さえも得難い状況で人はどう動くのか。これはその時その時で僅かな情報から、決して利口とは言えない判断を下す一般市民のドキュメンタリーなのです。
 そのため、この映画は最後までスッキリとしないままに終わります。被害状況はどうなっているのか。ニューヨークを襲った災厄の正体はなんなのか。軍の作戦計画とは?全てが謎のままです。このスッキリしなさを酷評している人もレビューサイトなどで散見されますが、それもそのはず、一般市民はそんな情報をメディアが崩壊した中で得られるわけがないのです。私はむしろ、その「何がなんだかわからない」状態を最後まで貫いたことを大変評価しています。

 この映画の要素を分解すると、「巨大生物による町の破壊」「軍組織による攻撃」「通常兵器が効かない」「小さな怪獣」「巻き込まれる一般市民」「噛まれると謎の伝染病により致死」「恋人を救いにいく男」と、既に使い古されたものばかりです。一見、単なる恐怖のセオリーをつめこんだように見えるかもしれません。しかし、あえてそれら一つ一つに客観性をつけない主観に絞った切り口はとても新鮮で鮮烈なものでした。

 そう、この映画が他の映画と一線を画するのは、徹底的な主観なのです。自分で見聞きしたもの以外に一切の情報も判断材料もない、そのような状況に観客さえも追い込んでしまうのです。普通の映画の展開に慣れた人なら、このありかたに違和感があるでしょう。多くの場合観客は映画の登場人物よりも多くの情報を持っているからです。それは複数の場面を切り替えながら見ることによって得られるものでもありますし、事前にパンフレットや予告編で得られるものでもあります。


 つまるところ、この映画はストーリーを楽しむようなものではないのです。それを批判しているわけではありません。おそらく、監督はストーリーで楽しませる気など毛頭なかったのでしょう。その中でストーリーがないと批判をしても思惑通りでしかありません。では何を楽しむのか。それは、 疑似体験 です。手振れやピンボケ、振り回しなど素人っぽい映像を見ているうちに、あたかも自分も当事者であるかのような錯覚に陥ります。自分を登場人物と同じ視点におき、同じ情報を得るうちに、わけのわからない状況への恐怖に観客も巻き込まれていくのです。

 この映画を、従来の映画の評価の仕方で評価するのは不適当でしょう。おそらく、私は監督が意図した効果にまんまとはめられたのでしょう。そして、そのはめられたことを素直に喜びたい。この斬新な映像の切り口にまんまと乗せられたことに、心から賛辞を送りたい。





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Last updated  2009.04.26 02:51:54
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