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(2023)https://www.imdb.com/title/tt4873118/コヴェナント/約束の救出Guy Ritchie's The Covenant監督&脚本ガイ・リッチー出演ジェイク・ギレンホール 2018年、アフガニスタン紛争に派遣されていたアメリカ陸軍グリーンベレーのジョン・キンリー曹長率いるチームは、ターリバーンの拠点捜索の任務を請け負っていたが、捜索のために検問を行っている最中、部下のジャクソン軍曹と現地通訳をタリバーンの車爆弾で失い、補充のためにカーシャー二等軍曹と現地通訳のアーメッドがチームに加わる。当初はやや反抗的な態度のアーメッドに手を焼くキンリーだったが、現地の裏事情に詳しく、身重の妻と共にアメリカ在住権を得るために奮闘するアーメッドにキンリーのチームは度々助けられ、アーメッドは信用を得ていく。アーメッドは現地の人々と時には協力し、様々な手を尽くしてタリバーンの追撃をかわしながらキンリーを運び続け、遂にキンリーと共に米軍部隊に救出される。 9.11テロに端を発するアメリカのアフガン侵攻は、実際の所、第二のベトナムと化していた。撤退のタイミングも遅すぎた。戦争は、本当に止めるタイミングが難しい。国際社会に国としての体裁を整えなければならないからだ。 戦争の際に、現地の言葉がわからない米兵は、現地のアフガン人に協力を求めた。英語が流暢で米兵に協力する彼らは、米兵駐在時は優遇されたかもしれないが、去った途端にあっさりタリバンに奪回された祖国では、逃げ回るしかなかった。そうさせたのは、去った米国だった。本来なら、米国が責任をもって彼等を保護しなければならないが、殆どがほっかむりした。 エンドクレジットに写真が写るので、あ、これは実話だったのだとわかる。そして彼らは幸運にも救った/救われたのペアだったこと、彼らのほかには、救えず、現地でタリバンの脅威にさらされている人々が大勢いることも知った。 お互いに助け、助けられることのできた二人の方が、奇跡なのである。 ガイ・リッチー監督が、派手なシーンはあるものの、いつものエンタメ要素を封印。コヴェナント/約束の救出 [ ガイ・リッチー ]楽天ブックス
September 27, 2026
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みなさんこんばんは。雨ですね。ドキュメンタリー燃えあがる女性記者たちを見ました。燃えあがる女性記者たちWriting With Fireインドのカースト制度なるものは、世界史でちょっとかじってはい終わり、くらいの感覚だったが、今でも存在するし、学校の生徒の名簿に出自として載る。その最下層=アウトカーストとして差別を受けるダリトの女性たちが立ち上げた新聞社「カバル・ラハリヤ」は、独立系の草の根メディアとして、大手メディアが注目しない農村の生活や開発など地方自治の問題を報道し続けてきた。紙媒体からSNSとYouTubeの発信を主とするデジタルメディアとして新しい挑戦を始める。彼女たちは、貧困と階層、そしてジェンダーという多重の差別や偏見、さらには命の危険すらある暴力的な状況のなか、怯まず粘り強く小さな声を取材していく。 中心となるのは、14歳で結婚したミーラと、彼女が熱心に育てようとしているスニータ。14歳というと、いわゆる児童婚にあたる。学校で勉強していたら、義母が「子供が泣き止まない!」と呼びにきたそうだ。まだ若いのに、二人の子供を育てていてたくましい。考え方もしっかりしている。国や政治の欺瞞にも気づいていて、鋭い質問を投げかけるが、受ける大半の男達はにやにやしている。汚職も多い地区であり、女権を主張して目立ったジャーナリストが殺されているので、匙加減も必要だ。それ以外にも、この国で、結婚した女性が、仕事を続けることへの圧力がまだまだ強い。しかし彼女たちが発信する情報はSNSで繰り返し視聴され、影響力を持っていく。阻む壁が大きければ大きいほど、彼女たちはしなやかに強さを身に着けていく。「結婚せず娘が働いていると、いつまでも娘を働かせている親が悪いと非難される」という、こちらの感覚では信じられない理由で、若く有望な記者の未来は断ち切られてしまう。日本はまだまだ自由があってよかったね、だけの感想でいいのか、と思う。【おまけCL付】新品 燃えあがる女性記者たち / (DVD) MX-729Sヨコレコ 楽天市場店
September 26, 2026
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みなさんこんばんは。休み明けで忙しかったですね。映画理想郷を見ました。理想郷As bestas監督&脚本ロドリゴ・ソロゴイェン出演ドゥニ・メノーシェ マリナ・フォイス フランス人の夫婦アントワーヌとオルガは、スローライフを求めてスペインの山岳地帯にある小さな村に移住する。しかし村人たちは慢性的な貧困問題を抱え、穏やかとは言えない生活を送っていた。隣人の兄弟は新参者の夫婦を嫌い、彼らへの嫌がらせをエスカレートさせていく。そんな中、村にとっては金銭的利益となる風力発電のプロジェクトをめぐって夫婦と村人の意見が対立する。 田舎に移住した夫婦が閉鎖的な村で住民との対立を激化させていく姿を、スペインで実際に起きた事件を基に映画化した心理スリラー。主人公夫婦の夫を中心に描く第1部と、妻を中心にした第2部の2部構成で描く。 実話が元だったことは視聴後に知る。同様の話が映画『楽園』の佐藤浩市のエピソードであった。田舎は人口が減ると町村が回らないから移住者を受け入れたいが、移住者の主義主張がもとからいる村の人たちと対立すると、途端に邪魔者になってしまう。 ところで、粗筋には隣人兄弟の嫌がらせとあるが、常にアントワーヌのもとには、空き瓶やとんでもないものに濡れた椅子、井戸に落とされたバッテリーなど、結果だけが提示され、二人の兄弟の決定的な現場は常にない。映画はアントワーヌ側から撮られているため、酒場に現れる度にフランス野郎と罵る兄弟があたかも犯人であるかのような操作がなされているが、視聴者自体もその錯覚に知らず知らず囚われてしまっている。 決定的な犯行のみが、実質兄弟の行為であると見なされる。というのは、その前からの一連の行為が視聴者にもはっきりと示されるからだ。やられたらやり返すがとうとうこの結果になってしまった。これは個人対個人の対立だが、もっと大きくなったものが戦争である。やられたらやり返していたらいつになっても終わらない。圧倒的な勝利を見せつけるしかないのだ。第二部の妻のやり方は夫とは異なる。娘にちょっかいをかけられた時を除いては事さらに兄弟を挑発することなく、これも最後に決定的なものが見つかった時だけ、兄弟ではなく、その母に「あなたは私と同じ立場になるから、何かあったら来て」と手を差し伸べる。なかなかできた女性である。男性と女性の差というより、性格の差であるように思う。理想郷 [DVD]ポプカル 楽天市場店
September 25, 2026
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みなさんこんばんは。長い連休が終わりましたね。今日はツルゲーネフの小説が原作の映画を紹介します。初恋First Love監督&制作&脚本&出演マクシミリアン・シェル出演ドミニク・サンダ原作ツルゲーネフ 夏の日、15才になったアレキサンダーが初めてジナイーダに逢った時から、彼の前には新しい世界が開けた。大学受験の勉強のために両親と、田舎の別荘にきていたアレキサンダーは、隣の借家へ越してきたジナイーダの神秘的な美しさの虜となってしまったのだ。ジナイーダと母親のザセキナ公爵夫人を招いた昼食の時も、アレキサンダーは、両親や公爵夫人の話などまるで耳に入らず、美しいジナイーダに、ただ胸をときめかせているばかりだった。ジナイーダから帰りぎわに誘われたアレキサンダーは、約束の8時きっかりにジナイーダの家を訪れた。客間には陽気な話声が弾み、5人の男たちがジナイーダをとり囲んでいた。詩人のマイダーノフ、ルーシン医師、ベロゾルフ大尉、マレフスキー伯爵、そして退役大佐のニルマッキーだ。皆ジナイーダの取り巻き連中である。アレキサンダーの幼い恋心は、ひたすら彼女の神秘によって彩どられ、あこがれはただ増すばかりであった。ある日、アレキサンダーは、彼女の寝室に近づいた時思いがけないものを目にした。 初恋とは大抵結ばれないものだが、だからこそ一途で、誰にとっても忘れられない。アレクサンダーにとっても、自分を翻弄し、大人の男たちから「お前犬みたいに彼女にもてあそばれてるんだぞ」と言われても、ひたすらジナイーダを愛し崇拝する。相手の全てを知って受け入れる姿は、一つの愛の形といえる。 大人になって妊娠中のジナイーダの姿を一切写さないのも、初恋の幻想を壊さない形になっている。例えドミニク・サンダが演じていようと、女性は結婚して妊娠すれば体型も顔もふっくらする。あの時の透き通るような美しさはない。変わった姿を見ず、ただ消息を聞くだけにとどまったからこそ、アレキサンダーにとって彼女は永遠の女性になるのだ。【中古】 初恋 First Love 4Kレストア版/ジョン・モルダー=ブラウン,ドミニク・サンダ,マクシミリアン・シェル,ヴァレンティナ・コルテーゼ,ダンディ・ニコラス,マリウス・ゴーリング,イワン・ツルゲーネフ,マーク・ロンドンブックオフ 楽天市場店
September 24, 2026
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みなさんこんばんは。一転して暑くなりましたね。シルバーウィークも終わりです。今日はジョルジュ・シムノン作品を紹介します。フールネの市長 (シムノン ロマン・デュール選集)Le bourgmestre de Furnesジョルジュ・シムノン東宣出版 市長であり、葉巻工場の経営者でもあるヨーリス・テルリンクは、誰の後ろ盾も持たず、自らの力だけでその地位まで上り詰めた男だった。ある晩、葉巻工場に勤める青年イェフが唐突に金の無心にヨーリス宅にやってくるが、その理由を聞くと、ヨーリスの政敵レオナルト・ファン・ハメの娘リナを妊娠させてしまったという。ヨーリスは一蹴して追い返すが、その直後にイェフはリナを銃で撃ち、自らもその銃で命を絶ってしまう。この事件をきっかけに、富と権力によって町と人々を支配してきたヨーリスの揺るぎない日常は静かに崩れ始め、彼自身も予期しない形で人生を変えていく。 ヨーリスは、青年の相談を、政敵を追い詰める絶好の機会と見て、事件が起こるのを止めなかった。これで市長の地位は安泰となるはずが、家庭には火種があった。一人娘エミリアが精神疾患を抱えており、ずっと部屋に閉じこもった状態だった。使用人のマリアとの間には息子アルベールがいるが、認知はしていない。20歳の彼は素行が悪く軍隊にやられるが、そこでも問題を起こしている。妻テレサは愛人の存在とエミリアの病状に心を痛めており、家はヨーリスの安住の地ではない。 市長と秘書は、お互いを役名で呼び合う。市会議員や市民も、彼を名前でなく、ただ、ボスと呼ぶだけだ。剛腕を振るって自分のやりたいことを通す市長は、恐れられこそすれ、親しみやすい存在ではない。 彼が得たいと思った権力は、空虚さと不幸しかもたらさなかった。というより、彼が権力を得て何をしたかったかが、見えてこない。普通は、権力の頂点に立った時に、「俺の欲しいものはこれではなかった」と悟り、主人公が改心するなどの展開が考えられる。しかし本編のヨーリスには、それがない。権力の座についた途端に、わざわざ手放すような行動に出て、賄賂も受け取らず、政治の世界でうまくやっていこうという意思が見られない。そんな彼は、政治の中枢からもはじき出され、居場所を失っていく。うまく立ち回ることもできず、いっとき市長となった者が、また一介の何者でもない姿に戻る姿を描く。しかし最後に一瞬、政治家としての良心を取り戻したかに見える演説が、ヨーリスの人格を救っている。フールネの市長 (シムノン ロマン・デュール選集) [ ジョルジュ・シムノン ]楽天ブックス
September 23, 2026
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みなさんこんばんは。見違えるように晴れましたね。今日はアイルランドの映画を紹介します。コット、はじまりの夏An Cailín Ciúinクレア・キーガン原作 1981年、アイルランドの田舎町。大家族の中でひとり静かに暮らす9歳の少女コットは、赤ちゃんが生まれるまでの夏休みを遠い親戚夫婦のキンセラ家のもとで過ごすことに。寡黙なコットを優しく迎え入れるアイリンに髪を梳かしてもらったり、口下手で不器用ながら妻・アイリンを気遣うショーンと子牛の世話を手伝ったり、2人の温かな愛情をたっぷりと受け、一つひとつの生活を丁寧に過ごしていくうち、はじめは戸惑っていたコットの心境にも変化が訪れる。緑豊かな農場での暮らしに、今まで経験したことのなかった生きる喜びに包まれ、自分の居場所を見出すコット。いつしか本当の家族のようにかけがえのない時間を3人で重ねていく。 アイルランドとイタリアの家族は、よく子沢山で表現される。理由はカソリックだからである。基本的に中絶は認められていない。そのため自然、貧乏な家族が多い。コットの家族も、酒に溺れがちな父を何とか引き留めている母が妊娠中のため、一番末っ子のコットが、子供のいない親戚に預けられる。 いくら子だくさんとはいえ、父親はコットの名前を呼ばないし、せっかく持ってきた身の回りのものも、そのまま車に積んで帰ってしまう。途中で気づいて引き返すことすらしない。随分と横柄かいい加減だ。牛を賭けて母親とけんかした、というから、自堕落なのは酒だけではないのだろう。 最初は知らない大人たちの間で戸惑っていたコットだが、怒ると怖いショーンも、何くれとなく面倒をみてくれるアイリンも、実の両親よりよほど手をかけてくれるため、次第に自分のやりたいことを言えるようになっていく。実家に戻れば末っ子として姉たちのおさがりを着るしかないコットだが、ここでは店に行って新品を着せてもらえる。どんな好みでもノーと言われない。なぜこんなに優しくされるのかを、裕福で子供のいないショーンやアイリンにやっかみ半分で、あれこれとコットを通じて二人の生活を聞き出そうとする隣人から、彼等の悲しい過去を知ってしまう。自分の事を愛しているから可愛がってくれたわけではないのか、と短絡的に考えてしまうコットだが、最後にやはり二人の愛情に気づく。一心不乱にかけていくコットの先には愛する人が待っている。 主役に抜擢された新星C・クリンチが可憐な魅力を存分に披露し、史上最年少の12歳でIFTA賞の主演女優賞を受賞。アイルランド語映画史上最高の興収記録を上げ、第95回アカデミー賞の国際長編映画賞にもノミネートされた。第72回ベルリン国際映画祭で子どもが主役の映画を対象にした国際ジェネレーション部門のグランプリに輝くなど、世界中で高い評価と支持を得た。コット、はじまりの夏【Blu-ray】 [ キャリー・クロウリー ]楽天ブックス
September 22, 2026
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みなさんこんばんは。ひどい雨ですね。今日はジョルジョ・シムノン作品を紹介します。ラクロワ姉妹 (シムノン ロマン・デュール選集)Les Speirs Lacroixジョルジュ・シムノン東宣出版 ジョルジュ・シムノンは、奥様とラブラブのメグレ警視シリーズもので有名だ。しかし私生活では結婚は遅く、メグレシリーズとは別の作品では、シリアスな家族の状況について描いた作品もある。 ノルマンディー地方バイユーに佇む「ラクロワ邸」には、姉ポルディーヌと妹マチルド、それぞれの家族が暮らしている。誰も外に働きに行かなくても、賃貸収入だけで生活できる、一見平穏なブルジョワ家庭だ。しかし、外との接触がないために、長年にわたり積み重ねられた姉妹の確執は、家の空気を重く濁らせていた。ある日、マチルドの娘ジュヌヴィエーヴは突然食事中に奇妙な病に倒れ、二度と歩けなくなる。ポルディーヌはスープの味に微かな違和感を覚え、検査の結果ヒ素が混入していたことがわかり、家族の誰かが少量ずつ毒を盛っていたのではないかという疑心を抱く。やがて、いままで沈黙に覆われていた過去が徐々に浮かび上がってくる。 マチルドの夫エチエンヌは、絵画修復氏として暮らしているが、彼の存在が姉妹に緊張感を生む。そしてその事を子供たち皆が十分わかりきっている。この家の陰鬱な空気から逃れるためには、家を出るしかない。出られない一人は別の形の脱出を選び、一人は外に連れ出す人を選ぶ。そして子供たちが去った後に、姉妹の本当の闘いが始まる。誰が、なぜ、砒素で、無害に見える女性を殺そうとしているのか。ミステリなら、まずそれが主眼となるが、本作はそうではない。家の中での心理戦に焦点が当てられている。ラクロワ姉妹 (シムノン ロマン・デュール選集) [ ジョルジュ・シムノン ]楽天ブックス
September 21, 2026
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みなさんこんばんは。台風で電車が遅れていますね。今日は戦時中に行われた図書館活動について書かれた書籍を紹介します。わたしたちの図書館旅団Miss Morgan’s Book Brigadeジャネット・スケスリン・チャールズ訳髙山祥子東京創元社 同じ著者の作品『あの図書館の彼女たち』では、フランスのパリにあったアメリカ図書館で働く女性たちが描かれた。彼女たちは単なる図書館職員に過ぎなかった。しかし、やがて第二次大戦が始まると、戦地に図書を送ったり、ナチスドイツ占領下のパリで、ユダヤ人読者を守るなど、普通の図書館が、戦時下の図書館に変貌する。いきおい、彼女たちの仕事も単なる本の貸し出しだけでは収まらず、身の回りにも戦争の危険が迫ってくる。 『あの図書館の彼女たち』は、戦時中の彼女たちの活躍を、現代女性が追跡していく二段構造だったが、本作もそのスタイルを踏襲している。 1918年、フランス北部。ニューヨーク公共図書館(NYPL)の司書ジェシーは、前線からわずか65キロメートルに位置するブレランクール村に到着した。〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会(CARD)〉のメンバーとして、ドイツ軍との戦いで破壊された図書館の再建を目指すためだ。ジェシーは傷ついた住民に本を届け、兵士に戦地での慰めとなる一冊を紹介し、子どもたちに読み聞かせをおこなっていく。だがドイツ軍が村に迫ってきて。 今度は、彼女たちは、図書館ではなく、外に飛び出して読書の楽しさを教える。来る人たちを待ち受けるのではなく、啓蒙のスタンスが強い。 彼女たちの活躍を後追いするのは、1987年、アメリカ。ニューヨーク公共図書館の記憶保管課(リメンバランス)で、収蔵されている資料を保存用に撮影する仕事をしているウェンディー。彼女は、1918年に発表された〈荒廃したフランスのためのアメリカ委員会〉の会報に興味を惹かれる。第一次世界大戦中、有志の女性たちが集まって、フランス北部再建のために働いたという団体。そして戦地に渡ったジェシー・カーソンという司書の存在を知り、彼女について調べはじめる。彼女は架空の人物だ。まっさらな状態の彼女の立場でジェシー達の行動を追うことで、戦時下での図書館運営の困難さ、読書の素晴らしさを追体験させる狙いがある。 実在の人物と架空の人物がブレンドされている。架空の人物のロマンス場面が今回もあり、その部分がもしかしたら、純粋に図書館活動や読書だけを楽しみたいと考える向きには不評かもしれない。わたしたちの図書館旅団 [ ジャネット・スケスリン・チャールズ ]楽天ブックス
September 20, 2026
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みなさんこんばんは。大型台風が近づいていますね。今日は朝井まかてさんの小説を紹介します。グロリアソサエテGloria Society朝井 まかてKADOKAWA 民芸といってもぴんとこない人も多い。民と芸、民の芸術、と言われても具体的に何なのだろう?と思う。その手探りの状態から、民芸という言葉自体を作り出し、業界を広げていったのが、柳宗悦・河井寛次郎・浜田庄司らである。柳宗悦が中でも有名だ。一見、名字から中国人に思えるが、やなぎ、である。鑑賞する芸術品よりも、国民が普段使う日常品の中に芸術を見いだし、その美しさについて言及することによって、人々にその価値を認めさせる。しかし、価値が高まれば品物自体の価格にもはねあがっていく。人々に見せるためには、どこかに集めて、鑑賞させる事も必要だ。それら全てに金が要る。さあ、その金はどこから出てくるのか。 柳宗悦の父は海軍少将、母の弟が嘉納治五郎、学習院時代には優等生で、明治天皇から銀時計をもらう。武者小路実篤や志賀直哉、イギリスの陶芸家バーナード・リーチら、白樺派とも親交を深めながら、声楽を専攻していた後の妻・兼子と出会う。 柳宗悦の家に女中奉公した、サチという架空の女性の目を通じて、柳家や民芸が成立していく様を描く。無名の人物が作り出した民芸を、貴族や芸術に素養のある人物ではなく、まっさらの民の目から描くとどのように見えるかを描写するためである。また、今回兼子のキャラクターも強調されている。これも、女中として奥向きの事に関わってきたサチを語り手にした所以だ。先に挙げた金は、兼子の演奏活動から得られたものを元にしている。金に忖度しない宗悦と喧嘩する場面も描かれるが、気が強くないと、ぎりぎりの生活をしながら、子育てと音楽活動を両立させることは難しかったはずだ。そんな彼女に共感を寄せていたのがサチだ。そして、長らく傍観者とされてきたサチにも、バックグラウンドがあることが最後に明かされる。 時代背景は大正末期から昭和初期、関東大震災から2.26事件、第二次大戦直前までを描く。ちょうどドイツでヒトラーが台頭してきて、兼子の音楽活動が難しくなる件が描かれる。読者の我々は、これから時代が暗くなっていくことを知っているが、輝ける登場人物たちはまだ、上る一方の日本国を見ており、民芸の明日を信じている。そのねじれが若干切なさを生む。グロリアソサエテ [ 朝井 まかて ]楽天ブックス
September 19, 2026
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みなさんこんばんは。高市改造内閣が発表されましたね。週末は台風がくるみたい。今日は怪談ばかりを集めた短編集を紹介します。英国幽霊いまむかし (怪奇の本棚 1)南条竹則編「The Undermost Farthing最後の一厘」A・C・ベンスンハートリーは、ヘブデン・ヒルのヘクター・ベンディシーに会いに行った。屋敷にはヒュー・フォークナーという男性が死んだいわくつきの部屋があった。なぜそんな怪しい屋敷に住み続けるのか不審に思ったハートリーに、ヘクターは思いがけない話を打ち明ける。 単なるゴーストストーリーかと思いきや、欲に流れるか、それとも善に踏みとどまるか?という人間によくありがちの二者択一に。「学校綺譚」M・R・ジェイムズサンプソン先生は、生徒の一人マクラウドの書いた作文に怯える。マクラウドは、なぜ自分がこんな事を書いたのかわからない。そうこうするうち、先生の部屋に何者かがいる気配が。 そもそも先生、あなた何をしたんですか?それにしても意外と学校、日本でも海外でも怪談ネタ多いですね。「The Frontier Guards防人」H・R・ウェイクフィールドこれもよくある、「怪しい屋敷に肝試し行っちゃおうぜ」パターン。ブリントンとランダーが、幽霊が出るという噂の屋敷に行く計画を立てる。 よせばいいのにそんな事するから、ほら、あなたの隣にいたのは誰?「胡桃屋敷」J・H・リデル夫人誰もがやめろというのに、エドガー・ステイントンは幽霊屋敷と呼ばれる家に泊まる。すると案の定、怪異現象が起こるが、どうやら小さな子供の気配がする。屋敷にまつわる因縁話を調べていくうちに。 幽霊話には珍しくハッピーエンド。「The Lawyer and the Ghost弁護士と幽霊」チャールズ・ディケンズ幽霊に出会った弁護士が、得意の弁舌を振るって幽霊を退散させてしまう。これはコメディなのかな?「The House of the Brain幽霊屋敷」エドワード・ブルワー=リットンこれもまた、幽霊屋敷と言われる家に泊まろうとした男性が不思議な体験をする話。好奇心に負けて敢えて危険に飛び込もうとする主人公がいないと、怪談は成立しない。他収録作Ⅰ(中世篇)「Twelve Medieval Ghost Stories中世怪談十二話」作者不詳(M・R・ジェイムズ編) Ⅱ(近代黎明篇)「The Damons of Tedworthテッドワースの鼓手」ジョーゼフ・グランヴィル「Mrs Veal’s Ghostヴィール女史の幽霊」ダニエル・デフォー「トレヴェシン教区の怪談」エドマンド・ジョーンズ「Tam’o SHanterタム・オ・シャンタ」ロバート・バーンズ Ⅲ(十九世紀篇)「Jerry Jarvis’s Wigジェリー・ジャーヴィスの鬘」リチャード・バーラム Ⅳ(二十世紀篇)「The Ghosts幽霊達」ダンセイニ卿「The Words upon the Windows Pane窓ガラスの文字」W・B・イェイツ【3千円以上送料無料】英国幽霊いまむかし/南條竹則bookfan 1号店 楽天市場店
September 18, 2026
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みなさんこんばんは。沖縄県知事選の結果を受けた政府のやり方が露骨すぎますね。映画落下の解剖学を見ました。落下の解剖学Anatomie d'une chuteアカデミー脚本賞 カンヌ国際映画祭パルムドール 人里離れた雪積もるフランスの山荘で1人の男が不可解な転落死をし、ドイツ人作家のサンドラが殺人容疑で逮捕される。裁判では、サンドラと夫との確執や、死の前日の激しい言い争いも暴露される。そこで彼女は、現場にいた11歳の弱視の息子を唯一の証人として迎え、自らの無実を証明しようとする。 冒頭は、サンドラが学生からインタビューを受ける映像。彼らは一階でインタビューを行っているが、二階がやけにうるさい。まるで張り合っているかのようだ。しかしサンドラは注意しに行かない。上にいるのは夫だ。客が来ていることなど先刻承知のはずなのに、嫌がらせをされても黙っているサンドラの真意もわからない。 そして長い裁判が始まる。息子が事件の第一発見者である。そして事件前の目撃者にもなりうるはずだったが、彼は視覚障碍者だった。 それにしても息子が認めたとはいえ、かつ、彼が重要な証人であるとはいえ、母親が父親を殺したかもしれない裁判にずっと同席させるのは、彼の精神に影響を与えるに違いないのに、外国では認められるのか。 冒頭のインタビューを行った学生もよばれ、サンドラへのある疑いを匂わせる証言を検察側から強いられる。検察は罪を告発する側なので、追及が鋭いのは優秀な証拠である。結局は人は信じたいものしか信じない。その上で、見たものをそのまま受け取るとは限らない。このようにして冤罪が作られていくのだ、と確信。 裁判激にせよ、夫婦二人の会話にせよ、会話劇が主である。過去に遡った展開もあるが、飽きさせず最後まで牽引する。 ところで、犬がとてもいい動きをする。仮死状態になったかと思えば、語らぬ瞳で両親の不仲に苦しむ息子ダニエルを見守るような表情を浮かべることもある。パルムドッグ賞を受賞している。落下の解剖学【Blu-ray】 [ ザンドラ・ヒュラー ]楽天ブックス
September 17, 2026
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みなさんこんばんは。秋の長雨ですね。今日はウィリアム・トレヴァーの短編集を紹介します。トレヴァー短編選集1ウィリアム・トレヴァー訳栩木伸明ちくま文庫「The Day We Got Drunk on Cakeケーキを食べて酔っぱらった日」友達の所にいった僕は、友人の夫の悩み事解決を頼まれるが、何となく気が乗らない。何度となくルーシーという女性に電話すると。ルーシーという女性が僕にとってどんな存在なのか、というのが電話の経緯で次第に明らかになっており、主題は実はこれだったと気づく。それにしても、もう一押しが足りないのか、押しても結局はダメなのか。失恋は、まだ決定的ではない気がするのだが。「Raymond Bamber and Mrs Fitchレイモンド・バンバーとミセス・フィッチ」集まりで地味に座っていたレイモンド・バンバーは、ミセス・フィッチから話しかけられる。彼女は集まりのメンバーの何人かと知り合いのようだ。自分を褒めてくれるミセス・フィッチに嬉しくなって、ついつい話し込んでしまうレイモンドだったが。途中から話題が変な方に傾いていき、あれあれ、この女性危ない人?と思いきや、実は真実を言ってたりして。乗せられてしゃべったレイモンドの見立てが正しいのか、それとも周囲のミセス・フィッチ評が正しいのか、それともミセス・フィッチは本当に真実を言っているのか。いずれにも受け取れるオープンエンド。「Miss Smithミス・スミス」トレヴァーには珍しいホラー。ミス・スミスは学校の先生で、生徒のジェイムズは彼女に気に入られようとするが、なぜか裏目に出てばかりで叱られる。ミス・スミスは結婚して子供が生まれるが。直接的にジェイムズとミス・スミスの子供に関係がある描写はないが、それまでの経緯で読者を何となく誘導していくイヤミス。「Afternoon Dancing午後のダンスの集い」友人と4人でダンスをするのが楽しかったアリス。しかしその友人が亡くなってしまい、一人でダンスの集いに出向いたアリスが感じたのは。何となく感じていた好意が実はさほどでもなかったと気づく。ラストに流れる音楽がヒロインをぱしん!と打っているようで。「Autumn Sunshine秋の日射し」問題児の末っ子が彼氏を連れてくる。。これまでに娘三人が結婚し、そのうち二人が相手を連れてきたが、牧師の父親はどれも気にいらなかった。それでも亡き妻はいつも相手の良い所を見つけ出してきた。結局花嫁の父親ってこんなもの、という諦観と、今は亡き妻への愛情がうっすら感じられる。「Mulvihill’s Memorialマルヴィヒルの形見」実直なマルヴィヒルは亡くなってから危ない趣味が見つかってしまい、笑いものにされる。どころか、その秘密の趣味を会社の取引に利用されてしまう。あんまりだと思ったある人は。勧善懲悪のニュアンスもあるが、全体的にはユーモア。「ミス・スミス」の対極。「ミス・スミスMiss Smith」「アトラクタAtracta」「秋の日差しAutumn Sunshine」「聖人たちSaints」はアイルランド・ストーリーズに収録済み。トレヴァー短編選集1 (ちくま文庫 とー31-1) [ ウィリアム・トレヴァー ]楽天ブックス
September 16, 2026
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みなさんこんばんは。沖縄知事選の結果を受けた自民党の対応が露骨でしたね。映画人間の境界を見ました。人間の境界Zielona Granica監督&脚本アグニシュカ・ホランド 本作は4つの章とエピローグから構成される。各章は国境付近で異なる視点を中心に展開し、国境近くに暮らすユリア、若い国境警備員ヤン、そしてシリア難民の家族の日々が交錯する。 ベラルーシとポーランドの間、湿地の森が形成する「緑の国境」の中には、ヨーロッパを目指す中東やアフリカからの難民が数多く潜んでいた。ベラルーシの独裁者アレクサンドル・ルカシェンコがEUに混乱をもたらすために引き起こした策略である。 「ベラルーシを経由してポーランド国境を渡れば、安全にヨーロッパに入ることができる」という情報を信じて祖国を脱出した難民は、大金を払ってポーランドへ向かう。しかしポーランドは国境警備隊によって入国を拒み、彼等の財産を奪うばかりか、危害を加え、時に命まで奪う。難民には庇護されるべき国がない。やりたい放題だ。 難民は、隠れた戦争の駒として扱われ、大量にポーランドへと送り込まれる。ポーランド側も、国境を越えた難民たちをベラルーシ側へと強制的に送り返していた。結局難民たちは、本当に行きたいヨーロッパのどこかの国へは、永遠にたどり着けない。 難民を利用するベラルーシの権力者の策略に翻弄される難民。国境警備隊も、何度も何度も同じことをさせられて、次第に気持ちが荒んでいく。危険な出産を控えた妊婦がいても、医師は難民だと知れば立ち入り禁止地帯にはやってこない。彼等を国連も保護しない。難民は、どの国、と特定できないからだ。数少ない勇気の持ち主によって彼等の命は保たれる。しかし弱き子供たちや高齢者は度重なる逃亡の際に命を落とす。モノクロで描いているが、カラーならば鮮血が画面に散っただろう。 かつての、ナチスドイツから逃げるユダヤ人を彷彿とさせる。戦争が続く限り建物が破壊され、住む場所をなくした人々が多く発生する。難民を作っているのは国であり、戦争であるが、誰も責任を問わない。モノクロ画面であっても、監督の憤りが画面から飛び出しそうな衝撃作だった。人間の境界 [ ジャラル・アルタウィル ]楽天ブックス
September 15, 2026
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みなさんこんばんは。8月の記録的な大雨で住宅の浸水被害などが相次いだ富山県氷見市では避難が長期化する中、被災者の生活環境を改善するため、市が手配したホテルなどへの2次避難が始まりました。今日はイタリアの小説を紹介します。美しい夏La Bella Estateチェーザレ・パヴェ―ゼ光文社古典新訳文庫 「あのころはいつもお祭りだった。家を出て通りを横切れば、もう夢中になれたし、何もかも美しくて、とくに夜にはそうだったから、死ぬほど疲れて帰ってきてもまだなにか起こらないかしら、火事にでもならないかしら、家に赤ん坊でも生まれないかしらと願っていた、あるいはいっそのこといきなり夜が明けて人びとがみな通りに出てくればよいのに、そしてそのまま歩きに歩きつづけて牧場まで、丘の向こうにまで、行ければよいのに。」まだ見えてもいない未来に、希望と輝きしか見えていない“あのころ”を描いた、冒頭の描写が、とても良い。時代としても、第二次大戦前で、ファシズムの影が出てきていない。貧しいとはいえ、生命が脅かされるような不安は将来に全くなく、若者は、恋に仕事に夢中になれていた。 都会の洋裁店でお針子として働く16歳の少女ジーニアは、年上の美しく自由な女性アメーリアと出会い、その大人びた魅力に惹かれていく。絵のモデルとなり、男性の前で裸になることもいとわないアメーリアのことが気になるジーニアは、彼女の男友達の画家に恋をする。 大人びた女性との出会いによって、新しい世界が開け、自分がどう見られているか、どう見られたいかに気づく。そうして、少女は少しずつ大人になっていく。しかし大人になることは、わくわくした喜びと期待だけではなく、大人の世界の残酷さを知ることでもある。少女たちが体験したであろう夏のひとときを描いた一篇。国境を越えて共感が広がりそうだ。以前『丘の上の悪魔』『孤独な女たちと』とまとめて三部作扱いだったもののうちの一つを新たに新訳。ラウラ・ルケッティ監督により映画化。【3千円以上送料無料】美しい夏/パヴェーゼ/渡辺由利子/関口英子bookfan 1号店 楽天市場店
September 14, 2026
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みなさんこんばんは。内閣広報費が72億というので話題になっていますね。今日は韓国のYA小説を紹介します。クローバーナ・ヘリム、キム・キョンスク講談社 ジョンインは両親のいない中学3年生で、おばあちゃんと暮らしている。修学旅行費の家庭通知を受け取り、“行けない”修学旅行に“行かない”選択をするジョンインを、クラスメイトのテジュたちが貧乏人だとからかう。そんな彼らを避けて学校裏庭にあるゴミ捨て場でしゃがみ込んでいたジョンインは、不思議な黒猫に出会う。家までついてきたその黒猫は、休暇中に地獄から韓国に来ていた悪魔のヘレルだった。ジョンインの魂が食べたくてあの手この手で「欲」に気づかせようとする悪魔ヘレルは、「もしも」と願えば何でも叶えてあげると言い寄ってくる。 原題は「悪魔と少年」だそうで、内容からすれば、そちらの方が合っている。子供向けには、悪魔の文言がきつすぎると考えたのか。クローバーは登場するが、やはり存在感といえば、悪魔だろう。 あのキリストまで荒野で誘惑しようという位だから、人間ができてない、成長過程の少年なんてちょろい!と思いきや、意外と難航する。まあ、ねばらず次に行ったのは、悪魔もジョンインの内に秘めた強さをわかっていたのでは。貧しい中学生の男の子ジョンインが、黒猫に扮した悪魔「ヘレル」と過ごす不思議な一週間の物語。第15回チャンビ青少年文学賞受賞作。クローバー [ ナ・ヘリム ]楽天ブックス
September 13, 2026
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みなさんこんばんは。SNSの動画の自動再生や過去の閲覧履歴から予測したコンテンツの表示など中毒性のある機能から子どもの利用者を守るとする新たな法律がアメリカ西部カリフォルニア州で成立しました。今日は韓国の短編集を紹介します。わたしたちの停留所と、書き写す夜キム・イソルエトセトラブックス老いた父母と暮らしていたわたしは、これといった職業も持たないため、当然のように家事を担当している。その後、DVを受けていた妹を見かねて、その子ともども実家に連れ戻した。自分と違い、仕事を持っている妹を助けるために、甥や姪の面倒を見ることは、事の成り行き上、私の仕事になった。しかし、私個人の幸せは、置き去りにされていく。 家族のケア労働に果てなく追われ、詩人になる夢も、気になった「あの人」とのささやかな幸せもすべてを諦めて生きているわたしにとって、一日の終わりに、好きな詩を筆写することだけが自分を取り戻す時間であった。しかし、ある事がきっかけで、それすら失ってしまう立場に追い込まれてしまう。 表題は二つの短編を足したものである。停留所とは、バスを待つ人たちが並ぶ場所だが、本編の場合、仕事もなく、人生をどうしてよいか決められないでいる私がいる定位置を指す。彼女を連れて行くバスは、まだ来ない。行き先が決まっていないからだ。その間、彼女が息をつける時間が、もう一つのタイトルー書き写す夜-になっている。 家事は数値化されず、労働と認められず、家族への無償奉仕と見做される。外に出る仕事同様、疲労も達成感もあるのに、誰にも認められない。そして時間は取られるのに、自由時間は認められず「空いた時間に自分の好きなことをすればいい」と言われるが、実質そんな時間はない。そのような思いは、国や世代を越えて体験した人は多い。概ね、女性である。彼女達が抱えていた思いを言語化してくれた、と喜ぶ向きもあるはずだ。 複数のタイトルがついた作品が収録されているため、最初は短編集かと思ったが、共通する主人公40代未婚の「わたし」の移り行く日常について書かれた中・長編にあたるそうだ。各々のボリュームが少ないため、すぐに読める。わたしたちの停留所と、書き写す夜 [ キム・イソル ]楽天ブックス
September 12, 2026
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みなさんこんばんは。和歌山県にある世界遺産の高野山で、精進料理やめい想などを体験できる宿坊を営む複数の宗教法人が昨年度、大阪国税局の税務調査を受け、法人税や所得税などあわせて1億円を超える申告漏れを指摘されていたことが関係者への取材でわかりました。まったくお坊様がなんていうことなんでしょう。イギリスが舞台のミステリシリーズ最新作を紹介します。奇妙な花嫁候補 ロンドン謎解き結婚相談所 The Lady From Burma(創元推理文庫)アリスン・モントクレア 元スパイのアイリスと上流階級出身のグウェンが経営する結婚相談所に、アデラという女性が現れる。彼女は病気で余命わずかとなり、昆虫を愛する博物学者の夫が孤独な余生を送らずにすむよう、自分の死後に後添えをさがしてくれと依頼する。数日後、アデラの遺体が森で発見され、アイリスは事件性を見抜いた巡査の捜査に協力することに。 結婚相談所といえば、マッチングアプリがなかった自体、「あの人にあの人はどうかしら?」と相性の合いそうな人を出会わせるシステムだ。しかし、ことこの二人の結婚相談所は、出会いを作り出すだけでは済まない。必ず事件が後からついてくる。今日も今日とて、訳アリの女性アデラが現れて、自分が亡くなった後の夫の再婚相手を早々と依頼に来る。しかし、頼んですぐにアデラが亡くなってしまい、見抜いて彼女の自殺を止めたはずのグウェンは驚く。一方、グウェンは夫の義父が経営する会社のお家騒動にも関わることになってしまう。 良家の子女と、世の中の裏の裏を知り尽くした女性という、普通なら出会うことのない階層の二人が出会い、結婚相談所を経営しながらお互いを知り、助け合うようになるシスターフッドのミステリ。今回はアデラの夫が昆虫学者だったことから、蝶や蛾などの話題が登場。それにしても、グウェンはアイリスの友人のサリーやプレンダーガスト、富豪のアイリスはギャングのアーチ―など、言い寄る男性に事欠かない。他人をマッチングさせる仕事をしている二人が、何も活動をしないのにモテモテだ。最終的に二人は誰を選ぶのか。息子を育てる義務を負っているグウェンも、過去のトラウマに苦しむアイリスも、それぞれに乗り越えるものはあるようだが、それらを包み込んでくれるような理想の人は、どこにいるのだろう。奇妙な花嫁候補 ロンドン謎解き結婚相談所 (創元推理文庫) [ アリスン・モントクレア ]楽天ブックス
September 11, 2026
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みなさんこんばんは。映画監督「八日目の蟬」の成島出監督が亡くなりましたね。まだ若いのに。映画あのこは貴族を見ました。あのこは貴族出演門脇麦 水原 希子 高良健吾 石橋静河 佐戸井けん太 山中崇 高橋ひとみ 津嘉山正種銀粉蝶 東京で裕福な家庭に生まれた華子は、30歳を前に恋人と別れ、初めて人生の岐路に立つ。結婚を意識した彼女は婚活を始め、弁護士の幸一郎と出会う。同じく裕福な家庭で育った幸一郎と華子は婚約する。 一方、地方出身の美紀は32歳で独身。猛勉強の末に慶應義塾大学に進学するも、経済的な理由で中退。学費のために働いていたラウンジで幸一郎と出会う。美紀にとって、同じ大学に通う幸一郎は異なる世界で生きる憧れの存在だった。やがて二人は都合の良い関係となり、その関係は幸一郎が華子と婚約した後も続いていた。幸一郎を通して出会った華子と美紀は、それぞれの境遇を知る中で、自身の人生を見つめ直していく。 裕福な家の生まれの人間が必ずしも幸せになるわけでなければ、かつかつの暮らしをしている人間がずっと不幸なわけではない。異なる階層の女性たちが、男性たちから女性としての役割を押し付けられながらも共闘する話ではない。二人の女性はそれぞれの場所で生き方を模索する。 好青年高良健吾が、やんごとなき生まれで、有名校出身、弁護士で、やがて親戚の地盤を継いで代議士になる男性を演じる。美紀と関係を持ちながら華子と婚約する、女性からすればだらしない、誠意のない男性にあたるが、いずれの女性からも強く当たられることがない。育ちが良いから与えられる環境の中で生きている、何をやっても許される空気が自然とある。二人のヒロインの真ん中に立ってはいるが、どこか二次元の存在に感じた。 しかし筋金入りの箱入り娘で、特に職場経験のない華子が、音楽家のマネージャーをやることも、それだけで、首都東京で生計を立てていくことも、若干無理があるような。生家の支援があって生家で親と同居という条件づきなら納得いくが。あのこは貴族 [ 門脇麦 ]楽天ブックス
September 10, 2026
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みなさんこんばんは。野球選手で評論家の張本勲さんが亡くなりましたね。ルネサンス期のイタリアを好きな人にはお勧めの書簡文学を紹介します。遠近法Perspectove(s)ローラン・ビネ東京創元社ルネサンス期のフィレンツェ、10年以上もかけて描き続けているサン・ロレンツォ聖堂のフレスコ画の前でマニエリスムの画家ヤコポ・ダ・ポントルモが槌で殴打され、鑽で胸を刺されて殺害され、彼のアトリエにはフィレンツェ公コジモ・デ・メディチの長女マリアの顔をしたヴィーナスとキューピッドの、問題視される絵が残されていた。ポントルモを殺したのは誰か? いかがわしい絵を描いたのは彼か?コジモは、信頼する画家で建築家で美術史家のヴァザーリに、事件の解明を依頼する。ヴァザーリは、ローマでサン・ピエトロ大聖堂の建設に携わっているミケランジェロに書状を送り事件を知らせ、助言を求める。謎を解き明かすのは誰になるのか。 ヴァザーリとミケランジェロ、マリアと遠縁のフランス王妃カトリーヌ・ド・メディシス、カトリーヌ・ド・メディシスとコジモの敵であるフランス軍元帥ピエロ・ストロッツィ、ミケランジェロとヴァザーリ、ルネサンス期末のイタリアを巡る人物たちの書簡で構成ーいわゆる書簡文学である。書簡文学の有名どころはラクロの危険な関係だ。あちらが175通に対して、こちらは176通、一つ多い。 当時、イタリアには統一国家が存在しなかった。もっとも統一国家を望んだのが、ロドリーゴ・ボルジア(教皇アレクサンデル6世)の息子のチェーザレと言われる。よって有力者は婚姻によって強い絆を保とうとした。トスカーナ大公コジモが狙ったのは、イザベッラ・デステで有名なフェラーラ―侯爵領を有するデステ家だ。両家の縁談が壊れれば得をするのは、商業で栄えるイタリアの都市国家を我が物にせんと企む君主たちだ。フランスか、それとも、神聖ローマ帝国か。 書簡は基本一対一のため、主観しかない。それらを全て目にする読者だけが、俯瞰した視点を手にする。つまり、絵の一部分しか見られない登場人物に対して、遠近法を用いた絵を見ることができる。事件の謎を巡る話と並行して、『危険な関係』へのオマージュと見られる、もう一つの企みも進行する。 尚、マリアはデステ家と婚姻せず、代わりに彼女の妹ルクレツィアがデステ家に嫁ぐ。しかし相手はとかくの噂がある人物で、その顛末はルクレツィアの微笑に詳しい。ルネサンス期が好きな人にはお勧め。【3千円以上送料無料】遠近法/ローラン・ビネ/高橋啓bookfan 1号店 楽天市場店
September 9, 2026
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みなさんこんばんは。世界遺産に登録されている栃木県の日光東照宮にある国の重要文化財の建物に、温風を送り続け、害虫を駆除するという新たな技術が活用され、効果が確認されました。各地で深刻な被害が広がる文化財の害虫対策として注目されそうです。今日は実話をもとにした馬をめぐる映画を紹介します。ドリーム・ホースDream Horse出演トニ・コレット ダミアン・ルイス ウェールズで暮らすジャン(ジャネット)・ヴォークスはバーテンダーとして働いていたが、それだけでは十分に稼ぐことができず、空き時間にスーパーでレジ打ちもしていた。そんな生活にうんざりしていたある日、ジャンは競走馬を育てて大会で優勝するというアイデアを思い付いた。それを実行に移すだけの資金もノウハウもなかったジャンだが、前者は夫ブライアンや地元の人たちから少額の出資を集めることで解決し、後者はかつて競走馬を所有していた税理士、ハワードの協力を得ることで乗り越えることができた。その後、ジャンは牝馬を安価で入手することに成功し、その馬を種付けして生まれた子馬にドリームアライアンスと名付けた。出資してくれた人でさえも「これでエリート競走馬に太刀打ちできるのか」と不安視していたが、有名な調教師に預け、地道なトレーニングを始めるが。 英国映画ではレイチェル・ポートマンやパトリック・ドイルなどの映画音楽家が有名だが、本編ではレースで馬が走り始める時、レースの時に弦楽器を多用しているのが印象に残った。 まず冒頭に「based on True story」と出る。そう出ていなければ、普通なら、さびれた村の協同組合で買った馬が、大レースで優勝するなど、とても信じられない。特に優れた要素があったわけではない。例えば、『シービスケット』ならば、落ち目だが実は優れた騎手であったり、「かつては」がついた、優秀要素があった。しかし本作では、ジャン自身が優秀馬を育てたこともなく、アイデアを思い付いた先も、以前失敗した会計士で、こちらも馬のプロではない。アマチュアがプロがひしめく競馬に挑み勝ったのだから、やはり映画を作りたくなるだろう。あまりにもドラマチックだから。ちなみにドキュメンタリーも作成された。 この馬を勝たせたのは、資質か、たまたま持っていた運か、それとも、未だ見えない何らかの要素か。【送料無料】ドリーム・ホース/トニ・コレット[DVD]【返品種別A】Joshin web CD/DVD楽天市場店
September 8, 2026
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みなさんこんばんは。関東、東北など広い範囲に線状降水帯ができていますね。今日はカリン・スローターのミステリを紹介します。無垢で清らかなあなたのために (ハーパーBOOKS)We Are All Guilty Hereカリン・スローター独立記念日の夜、15歳の二人の少女マディソンとシャイアンが姿を消した。失踪直前、保安官補エミーは親友ハナの義理の娘であるマディソンに不安げに話しかけられたが、取り合わなかったことを悔やむ。ほどなく乗り捨てられた自転車と大量の血痕、さらに少女たちが隠していたおぞましい写真と多額の現金が発見される。撮影したのは、この町に暮らす成人男性に違いない。エミーは小さな町に潜む闇に対峙することとなり。 序盤に怪しそうな人物が登場するため、事件はあっさり解決かと思いきや、捜査は難航を極める。 マディソンとシャイアンは、別々にいればいい子なのに、二人揃うと大胆な事が出来たり不良行為に走る。被害者側にも犯罪に接近する要素があったことを描きつつ、彼女たちの思惑など軽く飛び越えてしまえるもっと巨大な悪の存在をその上に据える。その上で、本当に糾弾されるべき悪は誰なのかを示す。 何度となく「どうしてこんな残酷描写を?」と問われてきたスローターだが、今回も容赦ない。ダメ夫のせいで被害者になる少女を食い止めるチャンスを逸したことを悔やみ続けるエミーの執念が最後に実るが、同時に虚しさも残る。失われた命は戻ってこないからだ。エミーとは訳アリのジュードが登場してからの後半が、テンポも良く面白い。老眼鏡を目にしながらも唯一別世界からやってくるまれびとであり、自らも秘密を抱えながら、エミーの保安官としての仕事ぶりを見極め、偏見にとらわれがちなエミー達の捜査を修正する。無垢で清らかなあなたのために (ハーパーBOOKS ハーパーBOOKS H242) [ カリン・スローター ]楽天ブックス
September 7, 2026
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みなさんこんばんは。台風がきていて週末はともに雨ですね。今回は実際にチェコにいたとされる女神と呼ばれた女性たちについての小説を紹介します。ジートコヴァーの最後の女神たちZitkovske bohyneカテジナ・トゥチコヴァー 新潮社クレストブックス大国の隣は、何かと気を使う。お隣さんが、声の大きい人であった場合、何かを言うのと憚れるのと同じだ。チェコスロバキアー今では分裂したが―もまた、強大なドイツというお隣さんを持った国だ。オーストリア・ハンガリー帝国に属している間は、多様な民族が共存しうる、多少自由な空気があったが、大戦がはじまると、いち早くドイツに侵略された。 物語は、民俗学を専門とする女性ドラが、研究対象として「女神」と呼ばれる女性たちを探す場面から始まる。チェコのとある辺境の寒村には、「女神」と呼ばれる女性たちが生きていた。女神は、薬草を使って病を治し、ときに天候をコントロールし、呪いを行って、医療行為や地域のトラブル等の相談を受けていた。科学的な根拠をもとに病気を診断する、医師とは別の流れであり、それらは他国にも多かれ少なかれあったが、他国同様、それらは次第に消滅していく運命にあった。 ドラは、個人的動機からも、女神の行く末を探っていた。叔母スメルナが女神であり、母もその系譜を継いだといわれる。ならば自分にもその天分があるのではないかと考えるのが妥当である。しかし自身、少しも能力の片鱗を感じず、幸福な人生でもなかった。彼女は、学術的興味と、自身の半生への問いから、研究に打ち込んだ。 全くのフィクションかと思いきや、作中にも記事が登場するように、実在したようだ。戦争中はナチスが注目し、共産主義時代には弾圧されたこともある。社会の枠組からはみ出した存在は、時の権力との距離感をうまく取る必要があるが、それでも弾圧されるのがほとんどだ。理由は、彼女たちの能力も存在も、理屈で理解できないからだ。彼女の能力が善か悪かではなく、要は、利用する側にとって、能力が有用か、それとも害になるかが問題なのだが、使う側はそう受け取らず、彼女たちの問題にする。だから迫害に回るのだ。 女神をテーマに取り扱った作品は、曖昧な要素を残したまま、余韻を残した状態で終わる。曖昧な要素を取り払ってしまったら、また排除に回る可能性が生じるため、敢えてこのままが良い。ジートコヴァーの最後の女神たち (新潮クレスト・ブックス) [ カテジナ・トゥチコヴァー ]楽天ブックス
September 6, 2026
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みなさんこんばんは。物価が一気にあがってこわいです。映画リトル・エッラを見ました。リトル・エッラLill-Zlatan och morbror Raring 人と仲良くするのが苦手な人もいる。特にエッラにとっては難しいことだった。エッラが唯一仲良くできるのは、おじさんで“永遠の親友”であるトミーだけ。両親が休暇で出かけている間、トミーと過ごすのを楽しみにしていたエッラだったが、夢の1週間は悪夢へと変わってしまう!オランダからトミーの恋人スティーブがやってきたのだ。トミーとスティーブは英語で話すため、何を話しているのか全く分からないエッラ。のけ者にされたような気分になり、トミーを取られるのではないかと気が気でない。親友を取り戻したいエッラは、彼女と友達になりたがっている転校生オットーの力を借りてスティーブを追い出すための作戦を実行するのだが。 原作は国内外で高い人気を誇るスウェーデン出身の絵本作家ピア・リンデンバウムの『リトルズラタンと大好きなおじさん(未訳)』。 日本ではまだパートナー制度どまりだが、北欧では結婚もできて、性同一性なのかトランスセクシャルなのかわからないけど、それぞれに生きたいように人々が生きているという描写が、映画の中だけでも良い。 叔父さんが明らかに自分を第一においてくれなかったことへの、エッラの可愛い嫉妬がたまらない。しかしあれこれ策を練っても、しょせん子供の考えたことなので叔父さんには簡単にばれてしまう。同時にパートナーのスティーヴにもばれてしまうわけで、ああ自分がいるとこんなに姪っ子が反応するんだな、と優しい彼氏は身を引いてしまう。効果はあったわけだが、それでは本当に叔父さんが幸せになれない!とやはり馬力で突っ走れるのは少女のいいところ。それにしても少ししか登場しないエッラの両親は放任主義ですな。それともちょっと変わったところのある娘を、叔父に敢えて預けた態なのか。
September 5, 2026
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みなさんこんばんは。自衛隊が攻撃用の無人機を持ってたんですね。どうして攻撃用なんでしょうね。今日はドリュー・バリモアが主演した映画のリメイク作品を紹介します。炎の少女チャーリーFirestarter出演ザック・エフロン原作スティーヴン・キング音楽ジョン・カーペンター不思議なパイロキネシス(自然発火)の力を持つ少女チャーリー。その能力は成長するにつれて覚醒しはじめ、10代を迎える頃には感情の揺らぎに呼応して暴走するようになり、チャーリー本人でさえも制御できなくなっていく。父アンディは娘の能力を必死で隠し続けるが、チャーリーの存在を知った政府の秘密組織が彼女を軍事利用するためスパイを送り込む。 ETの子役など有名映画の子役を総なめしていたドリュー・バリモア主演で映画化されたスティーブン・キングの小説「ファイアスターター」を新解釈で再映画化。 『キャリー』『幻魔大戦』など、精神が不安定な思春期に特殊能力が発動するパターンが多い。超能力者は、その能力を善に向ける協力者よりも、往々にして特殊能力を悪に利用しようとする組織に追われる。組織は手段を択ばず、近しい者が危機に遭遇、するとますます能力が強大化という最悪の結果に結びつく。 自分でもコントロールできない能力に戸惑い、ただ怒りで炎を爆発させることしかできない。一度では息の根を止められないので、呪文のように“楽にしてやる”のだからと二度めの炎-相手の息の根を止める慈悲の炎-を食らわせる。ぷすぷすと煙を上げる被害者が生々しい。 ドリュー・バリモアはほっぺたぷっくり、女の子、というイメージで、きかん気の発露が炎というわかりやすいイメージだった。しかし、本作のチャーリーは、もう少し年齢が高めに設定されている。自分の能力を操ろうとする大人たち全般への不信感に満ちている。 ただ、それだけの強大な能力の持ち主なら、超能力者かなんだかわからない一人に追わせるのではなく、もっと大々的に組織らしさを出した追跡劇を出した方がスケール感が出たはずだ。尺も短く、いつ、どこで、どのようにして、チャーリーが敵と見做した相手と共闘を決めたのかもわかりづらい。炎の少女チャーリー【Blu-ray】 [ キース・トーマス ]楽天ブックス
September 4, 2026
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みなさんこんばんは。青森でも線状降水帯が発生していますね。日本中どこでもですね。今日はドイツの小説を紹介します。名前のないカフェDas Cafe onne Namen新潮クレスト・ブックスローベルト・ゼーターラー 本編の主人公は、同著者作品『ある一生』もそうだったが、孤児である。もとから周囲に人がいなかったため、自身で居場所を作り、コミュニティを形成する。 ジーモンは戦争未亡人の家に下宿させてもらいながら、市場で長らく仕事をしていたが、一念発起して店舗を借りて、カフェを開く。ウィーンでカフェ、といえば、観光客がよく行くおしゃれなものを想像するが、場所からいっても、メニューからしても、ジーモンのカフェはそのレベルではない。常連客で成り立つような、細々としたものだ。そもそも、大々的に売り出したいなら場所を選ぶし、覚えてもらいそうな名前をつける。ジーモンのカフェを開く目的が、大きく儲けるものではなかったからだ。 ミラは、中国人労働者にはじかれて、仕事を首になり、カフェの店員になる。当時のウィーンは経済成長期にあり、労働力不足になったために外国から労働者を受け入れていた。地理的状況から、主にトルコや旧ユーゴスラビアからの労働者を受け入れてきたが、アジア人は給料も安く雇い入れられ、よく働くので、挿げ替えられたとみられる。 カフェは、成長を遂げていくオーストラリア、ウィーンから、はじかれた人たちの居場所となる。やり手のレスラーとしてならしていたが、家族の不幸を機に酒浸りとなるレネ、次第に物忘れが激しくなる戦争未亡人(最後まで名前がない)、喧嘩してはくっついてを繰り返すチーズ商のハイデと、喧嘩の原因を作り出す、女性には目のない自称画家のロシア人ミーシャ、子だくさんの精肉業者、酒に目がないゲオルグ。ジーモンは、おおよそ歴史に名を遺すとは思えない人たちの居場所を、自覚的に作っている。特に褒められようとも思っていない。欲望が全くないわけではないが、叶えられなくとも、自暴自棄に陥らない。聖人とも俗人とも言い難い匙加減のキャラクターもまた、著者の持ち味だ。 始まった時と同様、淡々とカフェは閉店し、それぞれの人々は、また別の場所に向かっていく。「心配よりは希望のほうを、少し多めに持って。」名前のないカフェ (新潮クレスト・ブックス) [ ローベルト・ゼーターラー ]楽天ブックス
September 3, 2026
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みなさん、こんばんは。新学期が始まりましたね。今日は韓国の短編集を紹介します。ケアする心 (エクス・リブリス)キム・ユダム小山内園子訳ケア、というとケアマネージャー、ケアセンター、面倒を見る、世話をする、など好意的な意味で用いられる。しかし、介護にせよ看病にせよ、行為者は大変だ。木石ではないので、思うことも様々ある。ケアする側、される側に立った短編を収録。『ナツメ』屋敷のナツメの木を眺めながら、煙草をくゆらす祖母の姿は、幼い頃の私の憧れだった。しかし今では叔父の事業の失敗で屋敷は人手に渡り、祖母は重い肺がんで入院中。嫁を使用人のように使い、「私」が買ってきたナツメも吐き出す。祖母のお気に入りは男の孫、ヨンソク。ヨンソクが昔の屋敷にナツメを取りに行こうと誘う。韓国では道端でよくナツメを売っている。ご馳走なのだろうな、と思っていた。根底にあるのは、日本にも残る家父長制。娘よりも息子。しかしその息子は祖母が自分の親に何をしたか全部お見通し。これ、息子は絶対自分はこんな風にはならない、と思うのだろうか。『安』「私」には、自分を殺して旧家の長男の嫁の務めを果たしてきた叔母と、次男の嫁で、女はどんどん働くべきで、キャリアアップすべきと信じる母。結婚を機に「私」は義母というもう一人の母が登場し、自分の人生を見つめなおす。実家に戻れば、よき嫁と認められる叔母を肯定し、自分と同様キャリアアップを勧めてくる母がうっとうしい。しかしいざ結婚して長男の嫁=叔母と同じ立場になった時、果たして叔母の態度が正しかったのか?という疑問を抱く。何でも、見ているだけではわからない。『ギョンジャ』上司のパワハラがきっかけで交通事故を起こして、拘置所にいる弟のために、母は「私」に、父のいとこのギョンジャお嬢さんを訪ねて欲しいと懇願する。一族の反対を振り切って映画スターになるために上京し、生活のためにナイトショーで歌っていたギョンジャは、最終的には過去の独裁者の庇護を受ける。親族からは誹りを受けるが、一族で最も権力に近い存在であることは間違いなく、「私」はギョンジャがひとりで住むマンションを訪ねる。 ケア=介護と考えると、本編はあまり関係ない。昔、歌手志望や女子大生が、権力者に気に入られてそのまま関係を持たされるという事が、軍事政権下ではあったらしい。確かに今ではないだろうが、当事者だけに拒めというのも難しい。守ろうともしなかった家族は批判だけして、都合のいい時だけ頼ろうとする。それは確かに自分本位過ぎる。『ヨンジュの半分』かつて同期だったヨンジュは息子を3歳で亡くしていた。「私」は育休中に子どもと出かけた公園で偶然ヨンジュと再会する。頻繁に会うようになったヨンジュの存在がワンオペ育児の唯一の息抜きになっていたが、ある日、ヨンジュが子どもの面倒を見てくれていた時に、死んだ子の名前で子どもを呼んでいる場面に出くわす。 結婚で先を越されたと思っていたヨンジュが、亡くなった子供の名前で自分の名前を呼んでいたことに激怒する「私」。自身としては、「私」が過剰反応しすぎでは?と思ったが、母としてはやはり嫌なものなのか。『ケアする心』八か月の娘を抱えたミヨンは、職場復帰を前にベビーシッターを探すが、信頼できそうな人はなかなか見つからない。そんな時、同じ団地に夫婦で暮らす高齢女性、ナムヒが名乗りを上げ、自宅で子どもを預かりたいと言う。ミヨンは監視カメラを設置する条件で子どもの世話を頼むが、ある日、映らない場所の秘密を偶然目撃してしまう。 これも主人公に違和感を覚えた。ないものねだりのような気がする。他人に託すので、どこかで妥協が必要だったのでは。それとも、作劇上わざわざ相いれない人物ばかりを入れてきていて、最後とても陰鬱な気分にさせるのが目的だったのか。『私の隣人との距離』航空会社に勤め、育休中のジョンユンと、一回り下の専業主婦ヘミ。同じ地域で似た年齢の子供を育てていることで親しくなったが、ジョンユンはヘミに優越感を抱いていた。理由はジョンユンの家の方が高級だったから。しかしコロナ禍と不動産価格の高騰を経て、二人の立場が逆転する。子供同士が同じ年ということで、何となくライバル意識を持っていたら、当の相手がいつの間にか自分よりも裕福になっていた。どっちもどっちでは、という感想。『特別災難地域』イルナムは、90過ぎの実父を療養病院に入院させ、自宅では夫と二人で孫娘ガヨンを育てている。ガヨンの父は公務員試験に挑戦中だが、なかなか芽が出ない。幼い頃から女性が家事をするべきだと考えていたイルナムは、長女と馬が合わない。そこへ新型コロナウィルスのパンデミックが始まり、ガヨンに犯罪の影が。 親でなく祖父母が孫を育てるケースを祖孫家族というそうだが、韓国でも日本同様、サポートの仕組みが整っていないそうだ。これから携帯など新たな機器の用い方を覚えていく孫を、衰えていく一方の祖父母がフォローできるはずがない。危険はSNSなど新たな情報ツールにこそ潜んでいるのに。『入所』『ケアセンター天国』『台風注意報』収録。ケアする心 (エクス・リブリス) [ キム・ユダム ]楽天ブックス
September 2, 2026
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みなさんこんばんは。広島市の広陵高校の野球部で去年起きた暴力問題をめぐり、野球部や学校のあり方を見直す委員会が最終的な提言をまとめ、「甲子園至上主義」と決別することなどを求めました。今日はアレック・ギネスがヒトラーを演じた映画を紹介します。アドルフ・ヒトラー最後の10日間HITLER: THE LAST TEN DAYS出演アレック・ギネス 1945年4月20日、第二次世界大戦末期のベルリン総統地下壕。この日、ヒトラーは56歳の誕生日を迎えた。しかし祝福の言葉も虚しく、地上では連合国軍の猛攻が激しさを増し、ナチス・ドイツの崩壊はもはや時間の問題となっていた。戦況は日を追うごとに悪化し、ヒトラーの精神も次第に崩壊していく。側近たちは疲労と諦めの中で終焉を悟り、やがてヒトラー自身も敗戦を確信。最後の決断を下す。 これはもう最後がいかにもイギリス映画的。皮肉が利いている。ポイントは、ヒトラーが酒も飲まず、タバコも吸わず、とにかく禁欲的で、そんな彼を皆がどう思っていたのかがわかる。 第二次世界大戦末期、総統地下壕においてドイツ参謀本部の伝令将校を勤めたゲルハルト・ボル大尉の回想録が原作。ちょうど彼が地下壕にやってきた日がヒトラーの誕生日。国のトップが地上ではなく地下壕で誕生日を祝っており、上からは爆弾が落とされている。事態は明らかに絶望的で反転の余地なし、なのだが、ヒトラーはあくまで楽天的である。が、それがあくまで表面的で、内心は相当怯えていたことがわかる。彼の「自分は士官学校も出ていないのに、少数で敵を倒した」という勇ましい演説とは裏腹に実際のニュース映像が流れる。町では白旗が掲げられ、人々は投降し、町には人っ子一人いない。反撃のできる戦闘要員など皆無である。史実を知っているので、ゲッベルスの子供たちを抱きながらにこにこしているヒトラーという構図が恐ろしくて仕方ない。この後ゲッベルス夫人は「ヒトラーのいない世界に意味はない」として子供たちも道連れにする。現実の人間を神格化するのは危険である。脆い危うさと、暴走する危うさを持つヒトラーを、アレックギネスが好演。【国内盤ブルーレイ】【新品】アドルフ・ヒトラー 最後の10日間 HDマスター版 BD&DVD BOX[2枚組]【B2025/10/30発売】あめりかん・ぱい
September 1, 2026
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