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一夏5413

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2026.03.26
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2024年4月刊
ロイヤルキス文庫more
著者:佐木ささめ
社交界が嫌いなウィステリア侯爵令嬢は、皮膚病が原因で結婚を諦め図書館司書として生きる道を選ぶ。遣り甲斐ある司書の仕事に邁進していると、閉架図書を探しに来た公爵令息シリルと出逢う。膨大な書物の位置を記憶するウィステリアの聡明さに惹かれたとシリルから求愛されるが、冗談に違いないと断るウィステリア。シリルは何度も真剣な眼差しで求婚してきてーー。甘い愛撫に蕩かされ、純潔を散らされる。
​      ↑楽天ブックスよりあらすじ引用

登場人物
 ウィステリア=結婚を諦め、司書として働いている侯爵令嬢。
    シリル=アディントン公爵家の跡取り。シリルを見初める。
   エスター=メリガン公爵令嬢。リアを敵視している。



幼少時に発症した皮膚病により身体中に出来た発疹が完治することなく成長した侯爵令嬢ウィステリア(リア)。亡き侯爵夫人に似た美貌ながらもその両頬に浮き出た赤い発疹は縁談を断られる理由には十分すぎるものだった。父はそんな娘を不憫に思い嫁になど行かなくていい、ずっとこの家に居ればいいと慰めてくれたが、兄のヘンリーが妻を迎えたらそうもいかないだろう。

そう決意し、王宮図書館司書の仕事を得た彼女が働き始めて早1年が経とうとしていた。

その日、アディントン公爵令息のシリルは、調べ物のため王立図書館を訪れた。しかし、目当ての本がどこかわからず、傍にいた若い女性司書に声をかけるとその本でしたらとすぐに案内してくれた。
迷う様子もなく、こちらですねと差し出した司書は随分と綺麗な顔立ちをしていた。だからこそ頬の湿疹が悪目立ちしているのが痛々しい。
貸出手続きをしていると担当司書がアディントンの名に色めきだつのを不快に感じつつも、そう言えば隣にいた彼女はそういう反応では無かったなと思い出し、シリルはあの地味な司書に好感を覚えた。

その日から図書館に通い出したシリルとは、蔵書探しに付き合っているうちに親しくなり、今では図書館近くの温室でランチを共にするように。
彼はリアがグレイゲート侯爵令嬢だと知るや驚いていた。
これなら問題なく・・できてしまうではないか。そう言って考え込んでいる。
そんな彼から医学書の翻訳の手伝いを頼まれたリアは快く承諾。専門用語も多いのでひと月くらいはかかりそうだが、アディントン公爵邸での作業を心なしか楽しみにもしていた。
一方、公爵家ではついにシリルが結婚する気になった、と公爵夫妻が大歓喜。
いやまだ結婚するとは、とシリルは否定したが、でも気になるお嬢さんなのだろう?と公爵に問われ不承不承頷く。大法官・グレイゲート侯爵のお嬢さんなんですと告げれば、それは素晴らしいと肩を叩かれ、彼女が司書をしていること、皮膚病を患い社交界にも出れずにいたことも包み隠さず話した。
もちろんシリルも今は彼女の発疹については気にしていない。

どちらかと言えば、アディントン公爵家は王妃の実家でありながらも華やかな暮らしとは縁遠い。ほぼ領地に籠り、手懸ける事業の采配を振るう主の手助けをするのが夫人の役割。故に温室育ちの令嬢では務まらない。司書を務めるくらいなら頭も良いだろう、なので容姿は二の次と言うことらしい。
でも実際に綺麗な人ですよ、とは念押ししておいた。
が、一緒に聞いていた妹の様子がおかしい。
気になって後で尋ねてみれば、リアについていい噂を聞かないので心配だと言われ目を剥く。何でも他人の婚約者を誘惑しているという内容のようだが、彼女の性格からして有り得ない話であった。

アディントン公爵邸にお邪魔する日の朝、幼馴染のクライブから花束が届いてリアはため息を吐いた。私より婚約者のエスター様に贈ってあげてよ!

それから暫く経ったある日のこと、いつものようにエスターとその取り巻きに難癖を付けられているとシリルが駆け付け、エスターたちを窘めた。先々代の王昧も降嫁し現王妃の実家であるアディントン公爵家を敵に回すバカはいない。這う這うの体で逃げ出す令嬢達を見送りシリルは大層腹を立てていた。
これが先日妹が言っていたことかと納得し、どういう経緯で起きたのか尋ねると、なんのことはないリアには何の落ち度も無かった。クライブなる幼馴染が婚約者のエスターを気に入らず、大好きな幼馴染に未練たらたら。エスターも気の毒だが、その怒りの矛先を向けられるリアも堪ったものではない。
これに懲りて大人しくなればいいが・・・。

しかし、嫌な予感は的中。
この諍いにシリルが介入したことで王妃を目の敵にしている側妃のラモーナがリアを罠に嵌め、司書を退職させただけでなく王都への出入りを禁じた。
表立って王妃やシリルには何もできないが、シリルが想いを寄せている令嬢を追い出せば意趣返しはできるだろうという目論見だったらしい。家に害が及ぶのを恐れ大人しくグレイゲート侯爵領に引っ込んでしまったリアを思い、シリルは怒りに震えた。当然それはグレイゲート侯爵もでアディントン公爵家と共に国王に猛抗議。王妃からも苦言を呈されお気に入りの側妃のやらかしに王は頭を抱えた。
結果、ラモーナは側妃の地位から降ろされ、エスターとクライブも婚約解消。クライブもまたその態度を言及されこちらも領地に謹慎となった。
首謀者の沙汰が下されるまでひと月ほどかかったが、何とか報復も終え、シリルがグレイゲート侯爵領にやって来て、リアに求婚。しかし、ラモーナの実家であるウェネル侯爵家が相当ご立腹らしく暫くは王都に戻らない方が良いだろう、だからその間、皮膚病の臨床試験を受けないかと持ち掛けた。
お抱えの医療チームのオイゲンがその道のスペシャリストらしく、もしかしたら発疹を治せるかもと聞いてリアは喜んだ。

診察の結果、何かしらの過剰反応ではないかと判り、それから細かい試験が行われた。どうか動物が原因でありませんように!愛馬を思い出し涙に暮れる日々。お茶を抜いたり、様々な食べ物の反応を確認していくうち、とある樹木から採れる油が原因だと判った。この国では大抵の料理に使われているため、それを毎日食べていたのだから治らないわけだ。違う植物から採れる油に変えた所一週間もすると肌の改善が見られ、翌月には顔の発疹はほぼ消えていた。父や兄は泣いて喜び、リアもシリルとオイゲンに感謝した。数か月後、二人の婚約披露パーティーが開かれ、リアも夢心地でいたのだが、彼女が譲り受けた母の実家の領地で伝染病が患者が見つかったと言う報せが。数年前多くの死者を出した病の名にリアは震えあがった。すぐに父や兄だけでなくアディントン側からも医療チームが赴き、患者も快方に向かっていると聞いてホッとしたがシリルが言うにはこれはウェルネ侯爵家によるテロ行為らしく・・・。


悪いのは自分のくせに逆恨みで他人の領地に病に罹った難民を送り込むとは、バレたら処罰待った無しでしょうにアホしかいないウェルネ侯爵家。
オイゲン率いる医療チームは伝染病にも明るいので、すぐさま処置に向かってくれて被害は最小限に収まります。難民の証言からウェルネ侯爵家の関与が明るみになり家はお取り潰し、ラモーネは戒律の厳しい修道院送りになるのでした。エスターは今回関与していなかったものの、婚約解消の顛末で自国では結婚が難しくなり外国の貴族に嫁ぐことに。甘えた考えで図らずも諸悪の根源となったクライブもまた地方に追いやられます。その後、無事リアはシリルに嫁ぎ相変わらず熱々な二人のやり取りが描かれて物語は幕。思ったよりも悪役たちの出番が少なく、テロ事件もあっさり解決した印象でしたが、妙な安心感があったのは主役二人が優秀過ぎるからでしょうか。恋のライバルの登場もなかったせいか、かなりのサクサク進行で読み易かったです。
おまけの書下ろしの番外編は、リアが公爵邸の図書室でシリルの曾祖母の黒歴史(同人誌)を見つけ、その内容に嵌るというコメディ調のエピソード。ぶっちゃけ本編よりこのお話の方が面白かった。そして、初回特典のペーパーは実は歌が上手かったリアにシリルが惚れ直すという内容でした。


評価:★★★★☆





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最終更新日  2026.03.26 09:00:10
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