P-Blog アイデア&インプレッション

2007.02.23
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民法誤解して起訴したということで、話題になったニュースなのですが、世の中の問題が複雑にからんでいて、すごく深いものがあると思うんですよね。
しかも、いま増えていると言われている、日本在住の外国人、国際結婚、離婚にからんでいる。
私は法律の専門家ではないが、今の世の中の様々な面が見えてくる。



刑事部長ら3人「厳重注意」=民法誤解して起訴-大阪地検
(時事通信社 - 02月23日 17:10)
 民法の規定に従って出生届を提出した女性を誤って起訴していた問題で、大阪地検は23日、起訴した検察官と上司の刑事部長、刑事部副部長の計3人を、それぞれ「厳重注意」とする処分を発表した。 



この分野に限ったわけではないですが・・・

法律の専門家が、そこにひっかかってしまったんでしょうか。
それとも、他の要因があったのでしょうか。
いずれにしても、法律の専門家が、民法誤解して起訴しちゃった。

普通は、逆のパータンで、離婚後300日以内にに子どもを産んだ場合、前の夫との子どもにされてしまって問題になる。

たとえば、既に婚姻関係が破綻しているにも関わらず、離婚調停なりがうまくいかず時間がかかるケースがあって。同時に次の夫との事実婚があっても、その新しい夫との子どもが、今の民法では新しい夫との子どもと認められず、離婚成立から起算した日をもとに一律に前の夫との子どもとされてしまう。
だから、離婚成立後すぐに子どもが生まれたからといって、浮気をする女とはいえない。
これで悩んでいる方はとても多く、この法律をどうにかしてほしいという要望がたくさんあるんですよね。
しかも悪用も可能で、離婚相手が、故意に離婚に合意せずに、相手に新しい生活を営ませないことや、浮気性の女性というイメージを与えることも可能で、生活面だけでなく精神的にダメージを与えることが出来る。


参考記事
「前夫の子じゃない!」 民法772条と戦った悲しい経験
「離婚から300日以内の子は受理せず」の不合理
http://www.ohmynews.co.jp/News.aspx?news_id=000000004160


もう少し厳密に言うと、前夫に「(戸籍上の)父親になってほしい」と頼んだが断られたため、無断で大阪市内の区役所に出生届を出した。

ここは、予想なんですけど、妻がこういう行動に出たのは「非嫡出子への問題」が介在していたと思われる。いろんな運動などがあったりして、いろいろ改善されたとはいえ「嫡出子」と「非嫡出子」との間には、身分の差から生ずる問題が発生する。
また、場合によっては、揉め方によって出生届を出せなかった場合、無戸籍になってしまい、住民登録さえも出来ず。たとえ、特例で住民票が出る場合があるが、パスポートがでず、修学旅行に行けないということで外務省に旅券発給を要請した女子高生がいたりとか、様々な行政サービスも受けられなくなる。
そういう思いをさせたくないというのが、母心だったのかもしれない。

無戸籍について 参考ページ


http://homepage.mac.com/tsuchiya_sat/bessei/84.html

余談ですが・・・
法務省は1月26日に、民法772条の規定について、実態把握のため自治体などを通じた初の調査に乗り出すことを決めたそうだが。その時、長勢法相は「(1898年の法律施行)当時とは、家族についての意識も変わってきているかもしれないし、医療技術も発達したことが影響している」との見方を示し、「(子が無戸籍になるような)問題が比較的多く見られることは考えなければならない」と述べたって話があるけど。明治時代って、経済的な理由で、法律的に結婚しない(出来ない)人って多くて、ほぼ全員が法律的に結婚するようになったのは、昭和になる頃なんですよね。
家族や婚姻の実態が法律に合うのに約40年の時間を要したというわけです。
法的な家族の定義って、生活の実態から作られるというより、法律により家族が定義され、それによって家族の生活の実態が法律にあってくるという傾向がある。
しかし、時代と共に、法律と家族の実態がかけはなれてしまうのが面白い。
いくら法務大臣といっても、家族や社会や歴史や民俗学の専門家じゃないから、このあたりの知識がなかったんでしょうね。

今回のケースでは「非嫡出子への問題」に付加して、国籍の問題も絡んでいそうだ。
この妻は、中国人だったわけですが。子どもに日本国籍を与えたかった可能性がある。
日本は出生地で国籍を決めない国なので、親の国籍が重要視される。
国籍法の第三条に基づいて、日本人との間の嫡出子でないと、日本国籍になれないんです。
日本で生まれ育っても両親が外国人なために外国籍なために、日本国内での生活が不利になる事もあるわけで、それを避けたいために子どもに日本国籍が欲しかったという母心があってもおかしくはない。

話は戻って、そんなことで、新しい夫が自らの子と認めた上で、前の夫の名前で出生届を出してしまった。
すぐに前の夫が「嫡出の否認」を行なえば、夫の目的は達成出来たはずだが。
子どもが生まれたと知って3年経っていて。嫡出の否認が出来ないために、勝手に自分の名前を使って書類を出したと警察に届け出をした。その言い分をもとに、検察官が起訴した。

前の夫は「嫡出の否認」という方法があることを知らず、気がついたのが遅かった可能性がある。それで告発したのではないかと思われる。
2001年10月に子どもが生まれた事を知り、警察に告発したのが2005年1月ですから、3年が過ぎている。
前夫は「嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。」という、民法第777条の「嫡出否認の訴えの出訴期間」を過ぎていたために、手を打てないがために、別の方法がないかと考え、公正証書原本不実記載ということで、警察に告発した可能性がある。
2001年10月に、前夫に「(戸籍上の)父親になってほしい」と頼んだが断られたということで、その時点で夫が子の出生を知っていたから、2002年10月までに「嫡出の否認」しないといけなかったわけだ。

起訴した方々は、告発したこの前の夫の勢いに乗せられたかもしれないし。
そして、被疑者が中国人女性だったからこそ、冷静さを欠いてしまった可能性があります。実際その人はどうかは別として、拘留された経験のある人から聞いた話ですが警察やら検察や拘留施設の職員は外国人に対して厳しい傾向があると言っていました。そういう雰囲気があったというのなら、犯罪に対してのある種の正義感により被疑者・容疑者の言うことを信じないだけでなく、中国人だったということなどでバイアスがかかってしまい、冷静な法解釈を誤り、起訴してしまった可能性がある。

「厳重注意」ということなのですが、免職、停職、減給、戒告という法律上の処分の下に、訓告、厳重注意と並ぶわけで。厳重注意されたからといって、経済的損失や、昇進には関係ありません。
これが重いのか軽いのかはわかりませんし、判例としては残るかも知れませんが。
処分をするのもいいけど、今後同様のことが起こらないための原因究明と対策がなされるのかが大切だと思うんですよね。
時間がかかるのだとおもうのだけど、今のところそんなアクションについて伝わってきていません。
それが、気になります。

そして民法772条の行方は・・・


参考

民法
(嫡出の推定)第772条 妻が婚姻中に懐胎した子は、夫の子と推定する。《改正》平16法1472  婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。《改正》平16法147
(父を定めることを目的とする訴え)第773条 第733条第1項の規定に違反して再婚をした女が出産した場合において、前条の規定によりその子の父を定めることができないときは、裁判所が、これを定める。《改正》平16法147
(嫡出の否認)第774条 第772条の場合において、夫は、子が嫡出であることを否認することができる。
(嫡出否認の訴え)第775条 前条の規定による否認権は、子又は親権を行う母に対する嫡出否認の訴えによって行う。親権を行う母がないときは、家庭裁判所は、特別代理人を選任しなければならない。《改正》平16法147
(嫡出の承認)第776条 夫は、子の出生後において、その嫡出であることを承認したときは、その否認権を失う。《改正》平16法147
(嫡出否認の訴えの出訴期間)第777条 嫡出否認の訴えは、夫が子の出生を知った時から1年以内に提起しなければならない。《改正》平16法147 

国籍法
(準正による国籍の取得)第3条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で20歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。

戸籍法
第2節 出 生 
第49条 出生の届出は、14日以内(国外で出生があつたときは、3箇月以内)にこれをしなければならない。2 届書には、次の事項を記載しなければならない。
1.子の男女の別及び嫡出子又は嫡出でない子の別
2.出生の年月日時分及び場所
3.父母の氏名及び本籍、父又は母が外国人であるときは、その氏名及び国籍
4.その他法務省令で定める事項《改正》平11法1603 医師、助産師又はその他の者が出産に立ち会つた場合には、医師、助産師、その他の者の順序に従つてそのうちの1人が法務省令・厚生労働省令の定めるところによつて作成する出生証明書を届書に添付しなければならない。ただし、やむを得ない事由があるときは、この限りでない。
第52条 嫡出子出生の届出は、父又は母がこれをし、子の出生前に父母が離婚をした場合には、母がこれをしなければならない。2 嫡出でない子の出生の届出は、母がこれをしなければならない。3 前2項の規定によつて届出をすべき者が届出をすることができない場合には、左の者は、その順序に従つて、届出をしなければならない。
第1同居者
第2出産に立ち会つた医師、助産師又はその他の者
第53条 嫡出子否認の訴を提起したときであつても、出生の届出をしなければならない。 第54条 民法第773条の規定によつて裁判所が父を定むべきときは、出生の届出は、母がこれをしなければならない。この場合には、届書に、父が未定である事由を記載しなければならない。2 第52条第3項及び第4項の規定は、前項の場合にこれを準用する。

刑法
(公正証書原本不実記載等)第157条 公務員に対し虚偽の申立てをして、登記簿、戸籍簿その他の権利若しくは義務に関する公正証書の原本に不実の記載をさせ、又は権利若しくは義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録に不実の記録をさせた者は、5年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。2 公務員に対し虚偽の申立てをして、免状、鑑札又は旅券に不実の記載をさせた者は、1年以下の懲役又は20万円以下の罰金に処する。3 前2項の罪の未遂は、罰する。



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最終更新日  2007.02.24 05:01:10
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