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3 フルコートFについて
被告人は、平成3年7月ころから12月ころにかけて、福岡県嘉穂郡穂波町にある薬局「ドラッグストアコウキ」で、フルコートFという薬を頻繁に購入していたが、この薬は、かゆみを伴う湿疹等の皮膚病に効く薬で、効き目は強いが、ステロイド剤が含まれているので、長期間使用すると皮膚の抵抗力がなくなり、副作用として黒皮や皮膚の過敏等の症状が出たり、使用をやめると以前の症状が悪化することもあるというものであった(甲553、554)。
なお、 被告人は、捜査公判を通じて一貫して「ドラッグストアコウキ」で フルコートFを購入した事実は全くないと供述 し、 妻C子も公判で同様の供述をしている が、同店の経営者は、 「被告人は1か月に2、3回は店に来る得意客で、そのうち1回は フルコートFを買っていた 、フルコートFは副作用が強いので、自分からは勧めず、客が名指しした場合にのみ販売していたので、これを名指しで買っていた被告人は強く印象に残っている。」 と供述しており、また、同店の元店員も、 「被告人は常連客であり、 フルコートFを買っていたことを覚えている。 」 と供述しているのであって、同店経営者及び元店員の各供述の信用性には疑問の余地がない。したがって、フルコートFを購入した事実は全くないという被告人及び妻C子の各供述は、いずれも 明らかに虚偽であるといわざるを得ない。

少し解説しますと、被害者の体内より犯人のものと思われる血液が見つかっておりますが、被害者の衣服などには付着していなかったことから、犯人の手などからの出血ではなかったものと考えられています。手や指からの出血であれば、被害者の下着や他の場所にも付着している可能性が高いですから。
実は被告は、そのころ糖尿病による亀頭包皮炎を発症しており、亀頭の粘膜に無数の裂傷ができている可能性があった(つまり出血する可能性があった)のですね。本人も当初は、 この病気があったので、この事件のような性犯罪を自分が起こすわけがないと供述
しています
し、被告自身が亀頭包皮炎のことを周りの人にも話していたようです。
フルコートFはその病気用に購入していた薬品ですので、購入していたことが証明されると病気は完治していなかったことになりますね。ですので、被告にとっては当初の供述からすると、 隠す必要がある内容ではないはずなのです。
しかし、 被害者の体内から血液が見つかったと知らされて以降は、 なぜか「完治している」と供述を変えています。
そこで先ほどのドラッグストアの経営者と店員の証言についてですが、つまり、フルコートFを購入していたということは、 病気が完治していなかったことの証拠となり得ます ので、被告はそのことを隠そうとしたのではと考えられています。
となると、このドラックストアの経営者と店員の証言は、被告にとっては非常にまずいわけですね。
被告はフルコートFの購入を否定したかったために頑なに購入していないとの供述を繰り返したのでしょうが、 この虚偽
の証言が裁判官の心証を悪くしたのは明らかです
よね。
そして アリバイに関しても供述にぶれ
がみられます。
被告人は、公判で、妻を職場に送った後、まっすぐ実母方に向かった経路について詳細に供述している(31回96項以下)。しかし、被告人は、捜査段階では、警察官に対して、妻を送った後、午前8時30分ころ帰宅し、それから実母に米を届けに行ったと供述しており(乙2)、いったん帰宅したという点で明らかに異なる供述をしていたものである。
(中略)
このように、被告人のアリバイに関する供述は、その内容、アリバイを思い出した時期とその契機について、いずれも捜査段階と公判段階とで変遷しており、アリバイを裏付ける証拠もないのであるから、信用できない。
よって、被告人にアリバイは成立しない。
これは裁判記録を読んでいただく通りです。
フルコートFに関する供述と基本同じです。
多分、フルコートFの件がなければ、アリバイについては 単に記憶違いだったとも考えられます
が、少なくともドラッグストアの証言からも被告は奥さんとも口裏を併せていたことが明確(これは奥さんも被告が犯人であると知ったうえで虚偽の証言をしていたという意味ではなくく、奥さんは被告の無罪を信じていたからこそ被告の言うことを信じて供述したといった意味でとらえてください)ですので、 他の証言についても信頼性が揺らいでしまいます
よね。
話は変わりますが、あの有名な光市母子殺人事件で、一旦無期懲役の判決を受けた被告が、最高裁で審理差し戻しとなり、結果死刑判決が下された要因として、途中で弁護団が変更となり、これまで認めていた起訴事実を否認する方針を取ったことが原因であると分析される方もいらっしゃいますよね。被告の証言自体も「ドラえもんが何とかしてくれる」とか「ひもを蝶々結び」とか、多分弁護団は精神的に未熟だからといった戦法に切り替えたのかもしれませんが、やはり供述の内容をころころ変えてしまうと供述の信頼性が揺らぎますから、 光市母子殺人事件では、弁護団の その戦法は完全に裏目に出てしまったように感じました。
さて、私はこのブログをはじめてからも FBSの放送を何度もYouTubeで見直しましたが
、飯塚事件に関し、 被告の病気のことやドラッグストア店員の証言について触れられている場面
を ”一切見つけることができませんでした。"

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