照千一隅(保守の精神)

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「照千一隅(しょうせんいちぐう)」(一隅を守り、千里を照らす)は伝教大師・最澄の言葉。本を読み、考えたことをこのブログに書いて参ります。ご意見、ご感想など御座いましたら是非お寄せください。

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2024.08.24
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カテゴリ: 思想・哲学

《「聖俗二世界論」がなければ、君臨すれども統治せずの「立憲君主制」は論理的にありえません。従って日本の天皇制が「立憲君主制」であることはありえません》(神保哲生・宮台真司他『天皇と日本のナショナリズム』(春秋社)、 p. 288 )

 「聖俗二世界論」が有るか無いかという観念論ではなく、鎌倉期以降、実態として権威と権力が分離され、それが1つの伝統となってきたにもかかわらず、黒船来航によって存亡の危機に陥ったからといって、明治政府が恣意(しい)的に天皇を政治利用したことは是か非か、そのことが先(ま)ず問われなければならない。

 西欧列強に植民地化されぬためには「維新」することが必要であった。その判断は尊重したいが、そのために天皇の力を藉(か)り、それが日常と化し、終(しま)いには憲法の条文に天皇の政治的役割を書き込むまでに至っては、もはや反伝統的悪行と言わざるを得ない。

 日本の天皇は、謂わば「半神半人」の聖俗二面性を有する(と虚構される)伝統的存在である。したがって、天皇を俗界の権力争いに巻き込むなど言語道断なのだ。

《明治天皇や昭和天皇が立憲君主として振る舞おうとしたのだとしでも、事態は変わりません。「立憲君主制」のもとでは、まずは君主が自分は憲法(的契約)に従うと約束し、次にその約束ゆえに君主が政治的に振る舞っても「王よ、約束違反ですよ」と社会が掣肘(せいちゅう)したり、そもそも聞き入れなかったりすることが可能になります》(同、 pp. 288f )

 ヘンリー・ド・ブラクトンは言った。

The king has no equal within his realm. Subjects cannot be the equals of the ruler, because he would thereby lose his rule, since equal can have no authority over equal, not a fortiori a superior, because he would then be subject to those subjected to him. The king must not be under man but under God and under the law, because the law makes the king... for there is no rex where will rules rather than lex. -- Bracton, vol 2, p. 33

(王はその領域内では対等な存在ではない。臣下は統治者と対等であってはならない。なぜなら、対等なものは対等なものに対する権威を持つことができないからである。王は、人の下ではなく、神の下、法の下にあらねばならない。何故なら、法が王を作るからである…法より意志が支配するところに王は存在しない)― ブラクトン、第2巻

 宮台氏は、英国の「立憲君主制」を基にして天皇の存在を判断しているが、そもそも英国の権力の象徴としての国王と日本の権威の象徴としての天皇は次元の異なる存在なのであって、同一の物差しを当てることは出来ないのである。

《日本はそうじゃありません。今上(きんじょう)陛下の「桓武天皇の母君は朝鮮半島のゆかり……うんぬん」という発言にしても、サイパン島の朝鮮人墓地での御祈念にしても、園遊会で愚かな将棋指しを諌めた件にしても、天皇の政治的発言は今日でも甚大な社会的影響を及ぼしますし、だからこそ宮内庁が天皇の政治的発言が表にでないように囲いこんでいるわけです》(神保・宮台、同、 p. 289 )






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Last updated  2024.08.24 20:00:28コメント(0) | コメントを書く


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