inti-solのブログ

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2012.04.30
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テーマ: 戦争反対(1197)
カテゴリ: 戦争と平和
【欠陥憲法】(1)戦車にウインカー 「軍隊否定」の象徴


平成23年11月6日夜、北海道苫小牧市内。東千歳駐屯地(北海道千歳市)を出発した陸上自衛隊第7師団の戦車部隊は交差点を行儀良く曲がっていった。演習先の日出生台演習場(大分県由布市など)へ向かうためだ。
戦車にウインカー-。珍しい組み合わせのように見えるが、戦場で味方に合図を送るための装置ではない。乗用車など一般車両と同じく、道路運送車両法第41条に則して装着しているのだ。視界の悪い戦車が平時に公道を移動する際は、前後に自衛隊の車両や隊員がつく。ウインカーは必要ないと思われるのだが…。
実は、自衛隊法第114条と昭和45年の防衛庁(当時)の訓令によって、戦車は平時でもウインカーを免除されている。それでもあえて、陸自の全戦車が装着しているのだ。
除外規定があっても自主的に取り付ける行動の背景には、憲法で明確に規定されていない自衛隊が戦後社会で「認知」されてこなかった厳しい歴史がある。それが一般対象の法令への過度の配慮につながる。
戦車のウインカーは戦闘に支障をもたらすものではなく、奇妙な一例という話で済むかもしれない。
しかし、憲法の「軍隊否定」「自衛隊不在」によって戦後の日本が運営されてきた結果、有事や緊急事態への対処を誤らせかねない問題は数多く残っている。
専守防衛が防衛政策の基本なのに、道路や橋は戦車の重さにお構いなしに造られる。高速道路も一部は有事に滑走路に転用できるようにしておけば合理的だが、そんな配慮はない。ミサイル防衛を唱えながらシェルター一つ造らず、原発は、テロはともかく軍事攻撃には備えていない。

東日本大震災でも、自衛隊の活動が、一般法令の制約を受ける事態が生じた。
震災直後、被災地は深刻な燃料不足に陥った。陸上自衛隊は北海道などから、救援活動に入る部隊と保有していたガソリンや軽油を民間の船舶で一気に輸送しようとした。しかし、国土交通省の省令「危険物船舶運送および貯蔵規則」で、人と燃料を同時に運ぶには制限があった。結局、まず輸送したのは軽油だけで、ガソリンは後々、海自輸送艦で運ぶことになった。“平時の法令”が緊急事態に行動する自衛隊の行動を制約したことは否めない。

もう一つ、深刻だったのは、「自衛隊が被災地のパトロールなど、公共の秩序の維持にあたることを許されなかった」(陸自幹部)ことだ。
地元の警察は全力を尽くしたが、未曾有の震災で警察自身も大きな被害を受けていた。被災地すべてに目を配る余裕はなかった。
電気も通らず、寒さに震える中で、被災者の不安は募った。自販機荒らしや金庫盗、住居侵入がなかったわけではない。自衛隊がパトロールや犯罪の取り締まりに当たり、警察を助けていれば、安心を与えることになる。
だが当時の菅直人首相は、自衛隊法第78条に基づく治安出動を命じることはなかった。大規模な騒乱に備えるだけが治安出動ではないにもかかわらず、だ。
(以下略)

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例によって産経新聞の記事です。この新聞によれば、世の不合理は何でもかんでもすべて憲法の欠陥のせいらしいのです。それにしても、戦車にウィンカーが付いているのがけしからん、それは「欠陥」憲法のせいだ、というのだから噴飯ものです。

戦車にウィンカーが付いているのは日本だけではありません。世界でも多くの戦車にウィンカーが付いています。

ドイツ・レオパルドII戦車

米国・M1A1戦車

韓国・K2戦車

旧ソ連製T72戦車(フィンランド陸軍)
※T72戦車のウィンカーは、フィンランド軍が旧ソ連から輸入する際に、フィンランドの国内法に適合するよう後付で装備されたと、ずっと昔軍事雑誌の記事で読んだような記憶があります。

だいたい、「視界の悪い戦車が平時に公道を移動する際は、前後に自衛隊の車両や隊員がつく。」なんてのはウソですから。





北海道の公道を走る戦車(他装甲車両)ですが、みんな単独で走っており、前後に他の車両や隊員など貼り付いてなどいません。こんなものが一般車に混ざって公道を走り回るのに、ウィンカーが付いててなかったら危険きわまりない、程度のことは産経新聞以外の誰にだって分かることだと思うんですけどね。

「専守防衛が防衛政策の基本なのに、道路や橋は戦車の重さにお構いなしに造られる。」
この発想も逆立ちしている。いったい世界のどこに戦車の重さにあわせて道路や橋を造る国があるのか、具体的に教えてほしいものです。北朝鮮ですか?(あの国なら、確かにありそうな気がしますが)
普通に考えて、道路や橋の耐用年数は戦車の耐用年数よりずっと長いのです。新型戦車が開発されたとき、既存の道路や橋は、その戦車の重さなど「お構いなし」に作られているに決まっているじゃないですか。だから、道路や橋の許容重量にあわせて戦車を設計するのが常道に決まっているのです。かつての大日本帝国もそうでした。


ガソリンや軽油の輸送云々の話だって、それは危険性を考慮して定められた制限なのですから、守らなければならないに決まっているのです。まして、民間の船舶で輸送というなら尚更です。

まあ、結局は「欠陥憲法」ではなく「欠陥新聞」がいつもの調子で吹き上がっているだけの記事、と言えるでしょう。こんな奴らの思うままに憲法をいじられたりしたら最悪です。





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最終更新日  2012.04.30 23:58:42
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