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2014.05.24
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カテゴリ: 環境問題
予想どおりの反応ではありますが、原発推進派の各マスコミから、この判決への反発が出ているようです。

大飯再稼働認めず 非科学、非現実的判決だ  産経新聞5月23日「主張」
関西電力大飯原発3、4号機の運転差し止め訴訟で、福井地裁が再稼働を認めない判決を言い渡した。あまりに非現実的な判断ではないか。
(中略)
「具体的危険性が万が一でもあれば差し止めが認められるのは当然だ」とする福井地裁判決は突出している。「地震大国日本で、基準地震動を超える地震が到来しないというのは根拠のない楽観的見通しだ」と断じ、安全対策そのものを否定した。それこそ、科学的知見に基づかない悲観的見通しとはいえないか。
昨年7月に施行された新規制基準は、大地震だけではなく航空機テロなどあらゆる事態を想定して策定された。「世界一厳しい」とされる評価も考慮されていない。百パーセントの安全はあり得ない。これを求めては技術立国や文明社会の否定につながる。
判決は、原発の運転停止で多額の貿易赤字が出ても「これを国富の流出というべきでない」とし、「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富である」と定義した。
国富とは、国家の富であり、経済力のことである。語句の新解釈までは司法に求めていない。
「多数の人の生存そのものに関わる権利と電気代の高い低いという問題を並べて論じるようなこと自体、法的には許されない」とも言及している。
万が一のリスクについて多くが述べられながら、原発を稼働させないリスクについては、ことごとく一蹴した。「電気代の高い低い」は、多くの人や企業にとって死活問題そのものである。(以下略)

---

大飯再稼働訴訟 不合理な推論が導く否定判決  読売新聞5月23日「社説」
「ゼロリスク」に囚(とら)われた、あまりに不合理な判決である。
(中略)
昨年7月に施行された原発の新たな規制基準を無視し、科学的知見にも乏しい。
判決が、どれほどの規模の地震が起きるかは「仮説」であり、いくら大きな地震を想定しても、それを「超える地震が来ないという確たる根拠はない」と強調した点も、理解しがたい。
非現実的な考え方に基づけば、安全対策も講じようがない。
(中略)
最高裁は1992年の伊方原発の安全審査を巡る訴訟の判決で、「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」との見解を示している。
原発の審査に関し、司法の役割は抑制的であるべきだ、とした妥当な判決だった。各地で起こされた原発関連訴訟の判決には、最高裁の考え方が反映されてきた。
福井地裁判決が最高裁の判例の趣旨に反するのは明らかである。関電は控訴する方針だ。上級審には合理的な判断を求めたい。

---

まあ、お決まりの原発推進論です。
確かに、原発が動かないと直ちに電気が止まる、というなら、否応なく原発を動かさざるを得ない、というのは分かります。しかし、現実にはどうでしょうか。2012年5月から7月までと、去年9月から現在(2014年5月)まで、すべての原発が止まっています。また、2012年7月から去年9月までに稼動していた原発は、今回問題となっている大飯原発の2基だけです。2012年5月以前も、稼動していた原発は泊3号機だけで、実質的には、2012年初頭以降、2年半近くにわたって、日本の原発はほとんど停止している状態です。

でも、電気は止まっていない。言うまでもなく、原発が止まっても、火力発電や水力発電など、その他の発電手段があるからです。もちろん、震災以前と同じような電気の使い方だったら、電力不足に陥っていたかもしれません。節電意識の向上などによって電気の消費量自体が震災以前よりかなり減っていることも大きな要因の一つでしょう。

いずれにしても、電気は現代文明の維持に必要不可欠である、ということは言えます。でも、重要なことは電力が維持されることであって、電力の供給源は、はっきり言って何でも良いのです。原発が止まっていても電力不足には陥っていない、ということは、原発が経済の維持に絶対必要不可欠ではない、ということを示しています。
以前の記事で指摘した ように、実は震災以降も、化石燃料(石油、石炭、天然ガス)の輸入量はそれほど多くは増えていません。天然ガスの輸入は増えているけれど、石油と石炭の輸入はまったく増えていない。原油価格や天然ガス価格が高騰しているため、輸入「額」は大きく増えていますが、化石燃料全体の輸入「量」は、せいぜい4~5%しか増えていません。

「豊かな国土に国民が根を下ろして生活していることが国富である」と定義した。国富とは、国家の富であり、経済力のことである。語句の新解釈までは司法に求めていない。

と産経新聞は主張しますが、これはおそらく被告側が「国富の流出」を主張したため、それに対する裁判所の判断を示したものであるはずです。「国富とは、国家の富であり、経済力のことである。」というなら、まあそれでも良いのですが、ひとたび事故が起これば、その「国家の富」「経済力」が大きく失われます。広大な地域が人が、長期間住めない土地になってしまいます。
原発の周囲には事故から3年以上経った現在でも、空間線量が毎時10マイクロシーベルト(年間にして90ミリシーベルト)を越えるような地点が散見されます。このような場所に人が住めるようになるのは、いったい何年後でしょうか。

それらの、事故が起こった場合の被害の大きさと、事故が起こらない場合の燃料費の節約を比較して、しかも、原発に代わる発電手段が存在する現実を踏まえて、それでもなお原発を選択すべきというのは、私にはまったく賛同できない意見です。

読売新聞はの社説には

「地震大国日本で、基準地震動を超える地震が到来しないというのは根拠のない楽観的見通しだ」と断じ、安全対策そのものを否定した。それこそ、科学的知見に基づかない悲観的見通しとはいえないか。

という言葉がありますが、地震被害の想定は、これまで常に裏切られ続けてきたことは、歴然たる事実です。問題の基準地震動は700ガルに設定されているそうですが、近年起こった大地震はみんなこの数値を超えています。

1995年阪神淡路大震災 818ガル
2007年能登半島沖地震 945ガル
2007年新潟中越沖地震 2058ガル(柏崎刈羽原発での記録)
2004年新潟中越地震 2515ガル
2011年東日本大震災 2933ガル


日本海側で起きた3つの大地震のいずれも700ガルなんて数値は大きく超えてい。700ガルなんて数値を想定に使うのは、実際に近年起きている地震の揺れの大きさから考えて、甘すぎであることは歴然としています。当然、今後も同じような規模の地震が起こりうると考えるのは当たり前です。それを「科学的知見に基づかない悲観的見通し」とは、あまりにバカすぎる主張といわざるを得ません。

読売は、

「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」

という最高裁判決を引用していますが、原発を巡る「高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断」の結果は福島第一原発でどういう事態を招いたでしょうか。安全神話は根拠なき神話に過ぎなかったことが明らかになり、反原発派が危険性を指摘し、原発ムラの関係者が「そんなことは起こりえない」と主張していたこと(水素爆発とかメルトダウンとか)が、ことごとく現実になりました。残念ながら、その最高裁判決は、前提条件が失われてしまったと判断するしかありません。





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最終更新日  2014.05.24 13:37:51
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Re:代替可能な現実(05/24)  
Bill McCreary さん
inti-solさんも別記事で書いておられたように、現実問題としてはこの判決は高裁で棄却される可能性が高いでしょうが、でもこのような判決がでたことは心強いですね。最初の一歩じゃありませんが、司法もそんなに問答無用の棄却判決を出しにくくはなるかもしれませんね。

>「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」

福島第一原発の惨状の後でこんな文言を引用するのは単なる馬鹿ですね。 (2014.05.25 14:40:57)

Re[1]:代替可能な現実(05/24)  
Bill McCrearyさん

>inti-solさんも別記事で書いておられたように、現実問題としてはこの判決は高裁で棄却される可能性が高いでしょうが

はい、願望を排除して、可能性を考える限りは、そうなるだろうと思います。ただ、結論としては棄却されるとしても、事実認定において後ろ向きな判決にはならないことを期待しています。

>>「極めて高度で最新の科学的、技術的、総合的な判断が必要で、行政側の合理的な判断に委ねられている」
>
>福島第一原発の惨状の後でこんな文言を引用するのは単なる馬鹿ですね。

そのとおりです。残念ながら、「合理的な判断に委ねた結果」がああだったわけですから。 (2014.05.25 17:58:37)

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